
これは元少年探偵団の原風景です。前のブログで「ある種の風景や音楽が自殺の引き金になる」話をしたのはこの「原風景」を見てもらうためです。「自殺」は「裏目に出た結果」の一つに過ぎません。「表目に出るとどうなるか」の話です。
昭和20年代の子供時代に原体験の官能を知ってしまった我々にとって、「ある種の風景」は「潜在意識の奥底に潜む"妖しい何か"」を誘発します。この版画風景もそれです。ここには「負」の要素はありません。「妖し」の密度に満たされています。この場所は戦前の文京区は「動坂」です。今は駒込病院がある「動坂上」から谷中方面を見る按配です。谷中は空襲による焼失を免れた寺や家も多く、今も昔の面影が濃厚に漂っています。一方、この風景手前の本郷・駒込一帯は空襲でやられました。現場を見にきた山田風太郎は「何と言う凄さであろう!まさしく満目荒涼である。ついこの間まで丘とも知らなかった丘が、坂とも気づかなかった坂が、道灌以前の地形をありありと描いている・・・」と記録しています。何の「因果」かあの明暦の「振袖火事」の火元「妙正寺」も「八百屋お七の火事」の舞台「吉祥寺」もこのすぐ傍です。(尤もひねくれ者の探偵団はこの大火が幕府の区画整理の陰謀だと疑っています)
それはともかく坂が多い東京でも上野の山と白山・駒込の谷間を縫う不忍通りを挟んで「魔界」を結ぶこの谷中、千駄木、根津、本郷、駒込辺りは空想少年の聖地です。これだけでピンときた人は物凄く想像力の豊かな人か、明智小五郎の家族です。そうです。この近所にある「団子坂」こそ江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」で始めて我らが先輩「明智小五郎」が登場する場所なのです。そんな気でこの版画を見ると闇の訪れと共に、妖しの怪人やら妖怪共が跳梁跋扈する気配があります。版画の中のフクロウも只者ではありません。何よりも只者ではないのはこの版画の作者・・・あの宗像志功を凌ぐ天才「谷中安規」です。宗像志功の上昇志向に対して、谷中安規は内田百間らの援助も焼け石に水、終戦翌年の昭和21年、駒込の掘立て小屋でついに餓死・・・そんな破天荒な作家の「透明で濃密な風景」は少年探偵団を魅了して止みません。
昭和20年代の子供時代に原体験の官能を知ってしまった我々にとって、「ある種の風景」は「潜在意識の奥底に潜む"妖しい何か"」を誘発します。この版画風景もそれです。ここには「負」の要素はありません。「妖し」の密度に満たされています。この場所は戦前の文京区は「動坂」です。今は駒込病院がある「動坂上」から谷中方面を見る按配です。谷中は空襲による焼失を免れた寺や家も多く、今も昔の面影が濃厚に漂っています。一方、この風景手前の本郷・駒込一帯は空襲でやられました。現場を見にきた山田風太郎は「何と言う凄さであろう!まさしく満目荒涼である。ついこの間まで丘とも知らなかった丘が、坂とも気づかなかった坂が、道灌以前の地形をありありと描いている・・・」と記録しています。何の「因果」かあの明暦の「振袖火事」の火元「妙正寺」も「八百屋お七の火事」の舞台「吉祥寺」もこのすぐ傍です。(尤もひねくれ者の探偵団はこの大火が幕府の区画整理の陰謀だと疑っています)
それはともかく坂が多い東京でも上野の山と白山・駒込の谷間を縫う不忍通りを挟んで「魔界」を結ぶこの谷中、千駄木、根津、本郷、駒込辺りは空想少年の聖地です。これだけでピンときた人は物凄く想像力の豊かな人か、明智小五郎の家族です。そうです。この近所にある「団子坂」こそ江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」で始めて我らが先輩「明智小五郎」が登場する場所なのです。そんな気でこの版画を見ると闇の訪れと共に、妖しの怪人やら妖怪共が跳梁跋扈する気配があります。版画の中のフクロウも只者ではありません。何よりも只者ではないのはこの版画の作者・・・あの宗像志功を凌ぐ天才「谷中安規」です。宗像志功の上昇志向に対して、谷中安規は内田百間らの援助も焼け石に水、終戦翌年の昭和21年、駒込の掘立て小屋でついに餓死・・・そんな破天荒な作家の「透明で濃密な風景」は少年探偵団を魅了して止みません。