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「タイムバール」少年探偵団の時代

元少年探偵団、現ダメ社長が「記憶と夢」を語ります。

マグロと庭園の真実

2007年07月01日 | Weblog
 あり得ないようなことが起こると「瓢箪から駒」なんて言います。「サバがマグロを産む」・・・そんな諺があったけと思ったら、本当にサバがマグロを生むと聞いてびっくりです。まさかサバを読んでるんじゃなかろうな、とじっくり記事を読むと、東京海洋大学の吉崎悟朗准教授が、マグロの精子の元となる細胞「精原幹細胞」をサバに移植し、サバの自然受精によってマグロを誕生させる研究をしている。研究が成功すれば世界的な乱獲を背景に進むマグロ資源の減少に歯止めがかかる、との事です。それにしてもマグロとサバが同じサバ科に属している親戚だとは・・・そのうち「掃き溜めから鶴」が出てきたり「トンビが鷹」を生むかも知れません。

 いよいよ日本でも自然の掟をいじる動きが本格化、なんて感じながらNHKの「探検ロマン世界遺産」を見ていたら、突然、連想が働いてガキ時代からの疑問が想起します。その疑問とは「西洋の庭はなぜ人工的なのか」でした。昭和28年頃に我が家にあった写真雑誌「世界画報」で見た異国の風景は少年の空想を掻きたてます。その頃土建屋の親父が堤防工事にかこつけて「不要」になった岩を持ち帰って、庭を作りました。塩分をどう処理したか知りませんが、庭は自然の海岸を再現してそれなりに見事でした。それに較べて幾何学的な西洋の庭は変です。庭師は「奴らは左と右が揃ってないと不安なんだよ!」の一言でお終いでした。その意味が判ったのはこの番組です。

 今回の「探検ロマン世界遺産」は大好きなイタリアはトスカーナ地方の文化遺産「オルチャ渓谷」です。トスカーナを走ったことのある人は、あの緑や黄色の絨毯がうねるような丘の起伏に「官能」さえ感じことでしょう。それが「自然遺産」ではなく「文化遺産」とはどうゆう事?実は・・・この地方一帯は元々海が隆起して出来た不毛の台地だった・・・今でも真っ白い粘土層がむき出しの場所があって、その痕跡を残しています。つまり今日のトスカーナは農民が何世紀にも渡って羊の糞や何かで少しずつ改良に改良を重ねて緑の大地を「作ってきた」結果なのです。領主と農民の作物の取り分が五分と五分という契約も開墾に拍車をかけた筈です。

 「だから我々は祖先に感謝しています・・・」と語るおじさんの言葉には重みがあります。そして少年探偵団の長年の疑問も解けます。ヨーロッパの庭が「人工的」なのは不毛な大地と闘ってきた「証」に違いありません。アスファルトの裂け目から大根が出てくるような「自然力」に恵まれた日本では理解しにくい話です。文化のDNAは半端ではないことを学習しました。

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