日豪EPA道試算が波紋 生乳価格、道産の1/3 農家ら「競争できぬ」 

2006年12月05日 | 国際
 2006/12/04 06:33
 一兆三千七百十六億円-。日本とオーストラリアが経済連携協定(EPA)を締結し、両国間の関税が完全撤廃されると、肉牛、小麦、乳製品、砂糖の主要四品目関連だけで巨額の生産額減少を招くとした道の試算が波紋を呼んでいる。数字は大げさでないかとの見方が一部にある一方で、EPAの影響は極めて深刻だとの受け止めも多く、道内関係者に危機感は広がっている。
 「関税がなくなったら、畜産、小麦、ビートで支えられている十勝の農業は壊滅する」。十勝管内新得町農協の伊藤政光組合長はそう言い切った。酪農を営み、日豪の酪農事情に詳しいだけに、「最悪のシナリオ」が頭から離れない。
 オーストラリアの酪農は放牧中心で、低コストで大量飼育が可能。一キロ当たりの生乳価格は二十円台で、道産の約三分の一だ。また、道内の乳牛の肉牛としての取引価格は、最高ランクで一頭(約五百キロ)四十五万円だが、豪州産は同等で一頭十五-二十万円。伊藤組合長は「豪州産とは(価格の上で)とても競争できない」と話した。
 道は関連産業でも四千億円以上の生産額減少を見込んだ。
 例えば小麦は、製粉された加工品が低価格で輸入されるため生産停止に追い込まれ、製粉会社の生産額はゼロになると予想している。
 これに対し、道製粉工業協同組合(札幌)の安孫子建雄理事長(江別製粉社長)は「安い豪州産小麦を輸入し、消費者の需要に合った粉をつくれば採算は取れる。製粉会社の生産額がゼロになることはない」と道の試算に懐疑的だ。一方で「製粉会社の経営環境が厳しくなるのは確かだ」と言う。
 道内の地場製粉会社は近年、差別化を図るため、道産小麦を積極的に活用している。道産小麦の生産者の手取りは一トン当たり十五万円。このうち十一万円は関税などを原資にした補助金で、製粉会社の仕入れ価格は四万円で済んだ。
 関税が撤廃されれば、補助金がなくなり、道産小麦を扱う農家が減り、道産小麦の流通量が減って仕入れ価格の高騰も必至だ。
 安孫子理事長は「オーストラリアなどの外国産小麦だけを扱うとなれば、同業大手は大量に仕入れて仕入れ値を抑えるため、太刀打ちできなくなる」と厳しい見方を示した。
 道の試算について、北海学園大の太田原高昭教授(農業経済学)は「肉牛など対象四品は、もろに道内の主要農作物と重複する。道の試算は誇張した金額ではない」と指摘する。
 「安心、安全」を掲げる道産農産物に代わり、生産者の「顔」が見えない外国産農産物が大量に出回る可能性があることに、消費者も敏感だ。
 道消費者協会の辻冨美子会長は「地産地消などを通じ、道産農作物は見直されている。消費者の視点から、北海道農業を支える運動を展開したい」と話した。

北海道新聞 農林水産
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20061204&j=0044&k=200612030329




【農業】日豪FTA報告書素案、関税撤廃の交渉対象は「全品目」 オーストラリア強硬姿勢のあらわれ[12/01]
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1165009758/l50

日本とオーストラリアとの自由貿易協定(FTA)締結交渉入りの是非を判断するため、 両国で調整している共同研究報告書の素案に、 すべての品目を関税撤廃の交渉対象にするとの内容が盛り込まれていることが30日、分かった。
オーストラリアの強硬姿勢の表れだ。
対応を協議している自民党の農林水産物貿易調査会は交渉入りの前提として、 米や牛肉、乳製品、小麦、砂糖などの重要品目は「除外」か「再協議」になる明確な足がかりを迫っており、 政府は報告書作成をめぐり同国とぎりぎりの調整を続けている。
 
政府は30日夕、オーストラリアと緊急の次官級電話会談を行うなどして 素案の修正に向けた調整を続けたが、難航した。
自民党農林水産物貿易調査会は1日、党本部で会合を開き、再びこの問題への対応を協議する。
 
政府は同調査会からの強い要請を受けて、重要品目を関税撤廃の例外扱いにする 明確な足がかりとなるよう、同報告書に撤廃対象からの「除外」や「再協議」という 具体的な扱いの明記を目指している。

全国農業新聞
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/news/index1.html





【農業/関税】日豪FTA 農水分野の影響は20万戸4300億以上 既存関税分以外の農家補助金が必要との声も[11/17]
http://news18.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1163815018/l50

日本政府が豪州と自由貿易協定(FTA)交渉に入るかどうかに対し、農林水産省や農業団体が神経をとがらせている。
FTAを結んで農畜産物の関税撤廃が決まると、日本の農・酪農家計23万戸に影響が出て、4300億円以上の財政負担が必要になるとの試算もあるためだ。
日豪両国は今月上旬の次官級会合で、FTA交渉に入るかどうか判断するための最終調整を急ぐことで合意。
豪州は牛肉、小麦、乳製品など日本が関税で生産者を保護している重要品目の輸出大国だ。関税撤廃となると、輸入農産物への関税を国内生産者に回して保護する日本の仕組みが成り立たなくなる。
また、豪州産農産物の競争力が圧倒的に強く、日本の肉牛生産者9万4000戸、小麦生産者8万8000戸、サトウキビ生産者2万8000戸など北海道や九州・沖縄地方の農家を中心に大きな打撃を受ける可能性があるという。
農水省は重要品目をFTA交渉の例外扱いにするよう主張するが、豪州側は拒否しているとされる。豪州政府は年内の交渉入り合意を求めて圧力をかけている。

http://www.asahi.com/business/update/1117/153.html





豪、干ばつ被害深刻に・国土の3分の1「非常事態」

 【シドニー=高佐知宏】干ばつ被害の拡大を受け、オーストラリア政府は国土の約3分の1を「非常事態地域」に認定した。農家への減収分の補てんなど1000億円規模も援助する。今後収穫する穀物も前年割れするとして、来年1月から4年ぶりに小麦を輸入する。干ばつは家畜用飼料にも影響を与えており、牛肉や酪農品の国際市況価格を押し上げる要因になりそうだ。
 豪政府は今回の干ばつが「100年に1度」の深刻な事態として、国土のほぼ3分の1を「非常事態地域」に認定し、11億2000万豪ドル(約1000億円)の追加支出を決めた。被害を受けた農家など中小事業者の減収分を補てんする。
(07:01)

NIKKEI NET:国際 ニュース
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20061205AT2M0401A04122006.html




【正論】衆議院議員、弁護士 稲田朋美 「美しい国」に逆行する日豪EPA
 ■日本の農業犠牲で国益あるか
 ≪EPA自体が目的でない≫
 日本の農業を犠牲にしてまで得るものは何か。その疑問をどうしても払拭(ふっしょく)できない。日豪間で年明けにも正式交渉に入る自由貿易協定(FTA)を柱とする経済連携協定(EPA)のことである。
 日本にも社交ではない「外交」というものがあるとすれば、EPA自体が目的ではなく、EPAによってめざす国益というものがあるはずである。その国益のために日本の農業を犠牲にしなければならないというのなら、それは一つの見識たりうる。ところが、どうもそうではない。
 豪州の強い働きかけでEPAについての政府間共同研究が開始され、5回の共同研究会合の後、「最終報告書」が作成された。
 豪州側の利益は明白で、対日貿易主要4品目の牛肉、乳製品、小麦、砂糖の輸出拡大と、そのための関税撤廃である。農水省の試算では、4品目の関税撤廃で国内生産の減少額は約8000億円である。また影響は4品目以外にも、さらに農業以外の関連産業にも及び、日本の農業は壊滅的打撃を受ける。
 一方日本側のメリットは、経産省と外務省の説明では資源、エネルギー、食料の安定的供給と安全保障を含む外交戦略的関係の強化(仲間づくり)だという。
 しかし、資源エネルギー分野の関税は既にゼロだし、EPAがないと豪州から石炭、鉄鉱石などが輸入できないという状況ではない。輸入による食料の安定的供給というが、関税撤廃により、先進国中最低の日本の食料自給率がさらに低下することは必定である。
 一つ確実なことは、豪州の利益を自国の国益よりも優先することで、豪州から日本は「いい国」だと思われることがあるが、これを日本の利益と呼ぶべきだろうか。
 ≪WTOへの影響を懸念≫
 もともと世界の自由貿易体制の基幹は148加盟国による世界貿易機関(WTO)交渉であり、2国間のEPAはあくまでもその補完にすぎない。WTO交渉は、食料輸入国と輸出国が重要品目の数と取り扱いで激しい対立関係にあり、7月に中断した。ここで日本(輸入国の代表)と豪州(輸出国のリーダー)が農産品の関税撤廃をすれば、WTOの存在意義が問われることになる。日本は食料輸入国グループの信頼を失うだけでなく、米国からも関税撤廃を要求されることは必至である。
 EPAの目的といわれる「仲間づくり」戦略につき、豪州とは農産物についての利害対立はあるが、価値観を共有する強い絆で結ばれた仲間だというが、豪州は既に日本と価値観を共有しない中国とEPA交渉に入っている。日本では中国の交渉入りにあせりを感じ、早く交渉入りすべきだという本末転倒の議論すらあった。価値観共有が前提なら、豪州と中国の共有する価値観とは何か。また日本は将来にわたり中国とのEPAはないといいきるのか。
 ≪関税に「体重別」基準を≫
 そもそも関税をかけて、国内農産物の重要品目を保護することは「悪」ではない。レスリングが体重別で争われるように、圧倒的な条件格差がある場合、国内農業を関税によって守ることには理由がある。豪州は日本に対し、国土面積20倍、農地用面積89倍、平均経営面積1881倍、国民1人当たり農地面積573倍とまさに小人と巨人である。この圧倒的な(構造改革などの努力で埋められない)格差での勝負では、関税をかけることこそ合理的である。
 しかも日本の農政は戦後最大の大変革期にある。平成19年産から導入される品目横断的経営所得安定対策、農地、水、環境保全対策、新たな米政策は、頑張る意欲と能力のある認定農業者と集落営農組織に焦点をあてて支援し、保護される対象から自立する強い農業へと生まれ変わるための政策であり、農業第一線に携わる人々もその実現へ痛みを伴う改革に取り組んでいる。
 仮に「仲良くしたい」という安易な動機でEPA交渉を推進すれば、結局農業を犠牲にすることになる。その結果、農政改革は頓挫し、耕作放棄地は増え、食料安全保障を他国にゆだねる結果となり、日本の安全保障も大きく損なわれることになる。
 安倍総理が目指す「美しい国」とは小さくても強く、伝統と文化を重んじる国である。稲作を中心とする農業は日本の文化の原点であり、日本の景観を形作る水田、田園風景は日本の美の象徴である。また食物自給は安全保障でもあるから、農業を守り強くすることなくして、「美しい国、日本」はない。安易な日豪EPA交渉推進は美しい国づくりに逆行するのだ。(いなだ ともみ)
(2006/12/09 05:04)
http://www.sankei.co.jp/ronsetsu/seiron/061209/srn061209000.htm




中国へのコメ輸出解禁へ 農産物輸出拡大に弾み

 安倍晋三首相が今月中旬、フィリピンで開かれる東アジアサミットの際に見込まれる日中首脳会談で、日本から中国へのコメ輸出解禁を要請することが5日、明らかになった。中国側も前向きに応じる見通しで、日本政府が掲げる農林水産物の輸出拡大に弾みがつきそうだ。 中国の著しい経済成長で富裕層が増え、すしなど日本料理の人気が高まっている。コシヒカリやあきたこまちなどの銘柄米の輸出が本格的に始まる可能性がある。 10月の日中農業担当省次官級の定期対話で、農水省の小林芳雄事務次官がコメ輸出の早期実現を要請、「事務レベル協議は(輸出に向け)最終段階」(日本の農水省幹部)に来ている。日中の外交関係改善を背景に「首脳会談で中国側は応じる姿勢を示す」(日本政府筋)との見方が強い。 日本は2003年初めまで中国にコメを輸出していたが、年間数トンと極めて限定的な量だった。03年2月に「貯蔵米で発生する日本特有の害虫が確認された」とする検疫上の理由で中国が輸入を止めて以来、禁輸状態が続いている。 日本のコメの小売価格は中国産に比べ10倍以上になるとみられるが、農水省は輸出されれば大きく伸びる可能性があるとしており、実務者協議を続けてきた。 政府は、農林水産物などの輸出額を13年までに現在の3倍に当たる1兆円規模に増やす目標を掲げている。コメについては現状で全体の0・2%程度で、台湾やシンガポールなどで現地の日本人や富裕層向けに輸出実績がある。

上毛新聞:FLASH24:経済
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=RANDOM&PG=STORY&NGID=econ&NWID=2006120501000735




独人口の13%が貧困 1060万人と統計庁

 【ベルリン6日共同】ドイツ連邦統計庁は5日、「貧困の危機」にさらされている国民が人口の13%に当たる約1060万人に上るとの調査結果を発表した。ドイツでは富裕層と貧困層の「格差」が拡大しているとの論議が広がっており、失業対策強化などを求める声がさらに高まりそうだ。 国民の平均的な所得の「60%未満」しか得ていない人を、貧困のリスクがあると規定。16歳未満の子どもが170万人を占めた。特に「親が1人」「学校中退」「失業者」「旧東ドイツ地域在住」などのケースで貧困が目立った。 欧州連合(EU)が決めた調査では、世帯所得を構成家族に割り振って、子どもを含む1人当たりの疑似所得を算出。その中間値の6割を貧困のボーダーラインとした。

宮崎日日新聞:FLASH24:国際
http://flash24.kyodo.co.jp/?MID=MYZ&PG=STORY&NGID=intl&NWID=2006120601000166
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