日本の森と水、むさぼる外資 埼玉や山梨でも山林買収を打診

2010年03月29日 | news
日本の森と水、むさぼる外資 埼玉や山梨でも山林買収を打診
2010.3.29 01:07

 埼玉や山梨、長野、岡山県など全国各地の水源に近い山林について、中国などの外国資本が買収の打診をしてきていることが、東京財団がまとめた「グローバル化する国土資源(土・緑・水)と土地制度の盲点」と題した調査報告書で明らかになった。類似した事例は昨年、三重県大台町、長野県天竜村でも確認され、林野庁が調査に乗り出す事態にもなった。

 報告書は外国資本進出の背景に、水資源などの資源獲得競争がグローバルに展開されている世界的潮流があると指摘。「日本の土地制度には、国土を守る意味で多くの問題がある」と警鐘を鳴らしている。

 報告書によると、ほとんどが森林で占められる5ヘクタール以上の土地取引は、平成20年の統計で、10年前に比べ面積で倍以上、件数で1・5倍の増。また、具体的な事例を並べたうえで、山林買収は事実関係の把握が困難とも指摘した。

 背景として、世界の水需給の逼迫(ひつぱく)が予測され、日本の「水」が狙われている可能性に言及。特に中国の水需要が2004年までの7年間で4倍以上伸びており、日本から水を調達するために買収に触手を伸ばしている可能性を指摘している。

 また、今後、環境問題の取り組みが世界的に強化されるなかで、二酸化炭素(CO2)吸引源とされる森林やその生態系に新たな価値が付加されるとにらむ期待投資で森林売買が加速する可能性も指摘した。

 報告書では、日本の土地制度が諸外国に比べて極めて強いとも指摘。いったん外国資本に所有されると、それを手放させることが難しいため、事前の実態把握と事前届け出など諸規制を提言している。

 また、水源林以外にも、香港資本や豪資本の買収によって地価上昇率が3年連続全国一となった北海道ニセコ町の例や、廃屋化したホテルなど買収、更地化して分譲マンションを建設中の長野県白馬村での豪資本の動きを例示。公益や安全保障などの観点から、国土資源(土地・森林・水)を守るために十分な備えが諸外国並みに必要だと説いている。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100329/crm1003290107000-n1.htm

中国資本が日本の水源地を買収 危機感強める林野庁、調査開始
「水盗人」に狙われる日本

狙われる国土、森、水、なぜ日本は手をこまぬいているのか
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100326/213636/?P=1







中国マネーが日本を買い漁る

●「松屋」買収話から軽井沢や水資源まで

 日本が中国に買い占められる? そんなバカな……と思うかもしれないが、近ごろの中国マネーの動きを見ていると、そんな予感がしてくるのだ。
 今月28日、中国の自動車メーカー・吉利汽車が、米フォード傘下のボルボを約1660億円で買収すると発表した。今月上旬には中国の大手ホテルが、米国37州ほか世界約230カ所でホテルを運営する米上場会社を買収すると報じられた。おそらく日本は最大のターゲットだ。中国家電大手の蘇寧電器が昨年秋、家電量販店ラオックスの株式約27%を約8億円で買収し筆頭株主に躍り出た。蘇寧電器は、銀座の「松屋」買収や、閉鎖の決まった有楽町西武の跡地進出などでも名前が取りざたされ、流通業界では「日本を買い漁る中国の黒船」として恐れられ始めた。
 自動車関連の金型大手で知られるオギハラ(群馬県)の館林工場も中国メーカーが買収する。買収金額は明らかになっていないが、4月1日に土地、建物、設備、さらに約80人の従業員が中国企業に引き渡される。
「日本人の雇用が維持され、日本企業には売却資金が入る。最初はメリットがあるでしょうが、いつの間にか中国人労働者は増え、利益のほとんどが海外流出しかねません。国力の衰退につながります」(三井住友銀行チーフストラテジストの宇野大介氏)
 東京財団が今年1月にまとめた「グローバル化する国土資源(水・緑・水)と土地制度の盲点」に驚愕(きょうがく)の項目がいくつも出てくる。「北海道日高町の牧場を買収したのはアラブ首長国連邦ドバイ」「北海道ニセコのスキー場は香港資本やオーストラリア資本が入る」「三重県や長野県、埼玉県などの森林を海外(中国)が買いたがっている」といった具合だ。

●森林買収に乗り出した狙いは…

 森林買収は、水不足に悩む中国が日本の水資源を狙いだしたといわれる。林野庁は調査に乗り出した。
「森林組合などに対し、そうした動きがあったら報告してほしいと要請しています。今のところ中国資本に森林を売却したという事実はありません」(林野庁森林整備部計画課)というが、先のことは分からない。何しろ日本の法律では「地下水は、土地保有者のもの」と決まっている。日本の貴重な水が、ごっそり中国に運ばれるなんて事態が十分に起こり得るのだ。
 リゾートで知られる軽井沢も変わってきた。地元不動産業者がこうつぶやく。
「台湾や香港の観光客が激増しています。軽井沢の土地を購入する人はまだ全体の1%程度ですが、今の勢いだと数年後に軽井沢は中国などアジア勢の避暑地に変貌してしまうかもしれません」
 中国の外貨準備高は2兆2700億ドル(09年6月)と過去最高を更新。もちろん世界トップである。日本の2倍以上もある。大量の米国債を保有しているが、その一部を放出し日本向けの投機マネーに流れたらどうなるか。日本が、中国マネーに支配され始めたのは間違いない。

(日刊ゲンダイ2010年3月31日掲載)
http://news.livedoor.com/article/detail/4697656/

リゾート投資に沸くチャイナマネーの 標的は「パウダースノー」「富士山」「温泉」
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/sapio-20100318-01/1.htm
あの老舗デパート跡地も標的に!?銀座が中国人観光客向けの「免税店街」になる日
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/sapio-20100315-01/1.htm








流出する金型技術と国内産業の未来
投稿者 竹本能文

金型最大手のオギハラ(群馬県太田市)の国内5工場の1つが4月1日付で中国の電池・自動車大手比亜迪(BYD)に買収された。

金型は日本の製造業の競争力の源泉ともされるが、国内需要の低迷と自動車・電機メーカーによる安価な中国・韓国製金型の採用で苦境に直面。海外から格好の買収対象となっている。

オギハラは自動車のボディーやボンネットなど車体を構成する鋼板の加工に使われる大型の金型メーカー。零細企業が多い金型業界で、オギハラは従業員が約800人と異例の“大規模”で、一時は世界最大手の金型専業メーカーでもあった。国内需要の低迷で2009年にタイの自動車部品大手、タイサミットの傘下に入っていた。

今回買収されたのは館林工場(群馬県館林市)で、同工場の従業員80人などは当面雇用が維持される見通し。館林工場は一部従業員が昨秋から近隣の富士重工業の工場に出向するなど、需要低迷による余剰人員の処遇が課題となっており「低価格で売却された可能性がある」(業界関係者)との声も出ている。

国内の金型業界は縮小の一途をたどっている。日本金型工業会(東京都文京区)によると「1990年には全国1万3000カ所あった事業所が2007年には1万カ所に減少。生産高もピークの2兆円から1兆7000億円まで落ちている」(中里栄・常務理事)。

原因は電機・自動車メーカーの海外シフトだ。特に電機大手は、国内のメーカーの金型図面を中国メーカーに渡して安価に作らせるなどの「意図せざる情報流出」を促進させたともされ、経済産業省が金型メーカーに注意を喚起した経緯もある。

自動車メーカーは「人間の命がかかわる製品なので、品質へのこだわりから安価な海外製金型の採用に慎重だったが、10年ぐらい前から、自動車メーカー内で技術者より購買担当者の権限が強くなり、1円でも安い金型を使うため海外製を使う傾向が出てきた」(中里理事)という。

経産省によると、日本の金型は精度が高いため、金型と寸分たがわないプレス加工が容易という。金型製造に使われる工作機械は中国の方が最新設備を投入しているが、機械加工の後に数百時間も手で削る工程が必要で、そこで差が生ずるという。「100分の1ミクロンなど精度の高い部分と、ゆるい基準の加工でよい部分の峻別などのノウハウが必要なためだ」と経産省・製造産業局素形材産業室の金子敬一・課長補佐は述べている。

しかし、現状では日本からの金型技術流出は静かにかつ確実に進行中だ。電機メーカーなどは「中国の生産拠点で金型の保守に必要だとして図面の提供を求めることが多い。金型メーカーは立場が弱いので、文句言うと仕事を切られてしまう」(金型工業会・中里理事)という。

国内需要が低迷する中で「定年後に年金支給までの60歳から65歳までの間、アルバイトのため海外で技術指導するOBが多い」(経産省・金子補佐)。経産省は、雇用者側に従業員の退社時に秘密保持誓約書を書かせるよう啓もう活動を行っているが、金型メーカーも退職者の懐事情を理解しているため、アルバイトをとがめることも少ないという。

体力の弱っている日本の金型メーカーを買収するため「韓国では専用ファンドも設立されている」(経産省・金子補佐)という。国内製造業の基盤がじわりと浸食されてゆく可能性が懸念される。

2010年04月06日 3:03 pm JST
http://blogs.jp.reuters.com/blog/2010/04/06/%E6%B5%81%E5%87%BA%E3%81%99%E3%82%8B%E9%87%91%E5%9E%8B%E6%8A%80%E8%A1%93%E3%81%A8%E5%9B%BD%E5%86%85%E7%94%A3%E6%A5%AD%E3%81%AE%E6%9C%AA%E6%9D%A5/











日本に仕掛ける「焦土作戦」 サムスン電子
選択3月23日(火) 10時 4分配信

「またしても日本製の半導体が入っていない。今回もすべてサムスン製じゃないか!」
 昨年二月に発売されたアマゾンの電子書籍リーダー「キンドル2」を分解した日本の半導体メーカーのエンジニアは落胆の声を上げた。近年のデジタル家電製品で数少ないメガヒットとなった米アップル社の携帯音楽プレーヤー「iPod」から日本製半導体が消え、国内業界に衝撃を与えたのが二〇〇二年。これに続き、昨年ヒットした「キンドル2」でもまた、日本製半導体が使われていなかったのだ。代わりにプロセッサーやメモリーなどの主要半導体部品は韓国サムスン電子製の半導体で占められていた。
 昨今、日本のエレクトロニクス産業が世界市場で競争力を失い、「一人負け」の様相となっている。それとは対照的に、韓国企業、特にサムスン電子の「強さ」がまた一段と注目を集めている。昨年十月末に発表されたサムスンの〇九年第3四半期決算は、業績不振に苦しむ日本勢をよそに、営業利益を前年同期比約三倍に膨らまし、三千億円台に乗せた。決算内容を信じる限り、サムスンはウォン安などを逆手にとって最大限に輸出を伸ばし、事業基盤の安定と市況回復を効率よく吸収する仕組みを確立したようだ。
 日本の電機大手八社の営業利益を合計してもサムスンのそれの半分にも満たないという現状を受け、日本の各メディアも、「背中は遠のき、もはや手の届かない存在」と嘆いている。しかし、サムスンの本当の恐ろしさを実感するのは、これからだ。サムスンはいま、虎視眈々と日本に対する「焦土作戦」を仕掛けようとしている。

標的はまたしても日本に

「実はサムスンは、主力事業である半導体や液晶パネルをもはや成長事業とは考えていない。これらの事業の戦略は、次なる成長事業を育成するまでの時間稼ぎへと軸足が移りつつある」
 こう語るのは、長年サムスン電子を見続けてきた半導体業界関係者だ。韓国では李明博大統領の誕生を機に、「科学技術開発の国家戦略重点項目」が発表された。そこでは環境・エネルギー分野への技術移転を進めるとの方針が発表されたが、注目すべきメッセージはむしろ、これまで国家的産業と位置づけてきたエレクトロニクスを除外したことにある。半導体や液晶パネル産業で世界を席巻する韓国においてさえ、将来の成長産業という認識は薄れつつあるというわけだ。技術の成熟化が進み、将来予想される単価や出荷の落ち込みをカバーできる新技術などの成長材料が見当たらないことが、理由のようだ。
「眼下のビジネスに安住するな。キャッシュがあるうちに半導体、液晶パネルの代わりを探せ」。リーマンショック後の〇八年末、サムスンではこのような大号令がかけられ、「脱エレクトロニクス」という明確な目標が掲げられた。
 しかし、サムスンといえども、新産業の育成など一朝一夕にできるものではない。それまでの期間、成熟化したエレクトロニクス市場でどのように成長を維持するか。サムスンは伝統的に、最も与しやすい相手から新たな市場を奪う。標的はまたしても日本である。
 昨年夏、来日したサムスンの上級幹部の注目すべき発言が伝わっている。その内容は、「主要部品を内製化し、一眼レフカメラの完全内製化を実現したい」というもので、その際「ニコン、キヤノンの日本勢の牙城を崩したい」と断言したという。これまでサムスンはペンタックスとの共同開発品を発売してきたが、独自製品の開発実績はない。昨年三月の国際展示会で試作品を披露していたが、彼らが計画を口にした場合、大抵は一年以内に製品化の準備ができたことを意味する。この発言で日本のカメラ各社はさぞかし肝を冷やしたに違いない。
 サムスンが「デジタル一眼レフ」に白羽の矢を立てたのは極めて象徴的である。確かにサムスンの主力四事業(薄型テレビ、携帯電話、半導体、液晶パネル)に比べれば、事業規模で見劣りする一眼レフだが、そのインパクトは決して小さくない。業界アナリストは指摘する。
「イメージセンサーのほかレンズ、光学部品、各種電子部品など基幹部品が搭載されており、これらはいずれも現在に至るまで日本勢の独壇場だった。電子部品は長年、村田製作所やTDKといった日本企業が席巻しており、市場シェアの九割以上を占める品目もある。電子部品の市場規模は二十兆円以上とも言われており、彼らにとっては熟した隣家の果実そのもの。金額もさることながら、いまだサムスンの手つかずの市場を彼らに奪われるダメージは計り知れない」
 こうした「日の丸」電子部品は、材料の配合や焼成技術など職人技とも呼べる技術的蓄積のかたまりだ。また、光学系部品は極めて高度なすり合わせ技術を要する。これらの製品は、技術上の差別化よりもコスト削減と果敢な集中投資で競争をリードするデジタル時代のサムスンの常勝パターンからは外れるもので、本来彼らが最も不得手とする領域である。
 こうした分野にまで彼らの手は伸びてきているのだ。日本勢が優位を示せる「最後の市場」に対するサムスンの戦略は、日本勢を徳俵にまで追い詰めるものにほかならない。

再開した日本人技術者の引き抜き

 電子部品の内製化は、日本に深刻な事態をもたらすだろう。特にサムスンの飛躍を支えた携帯電話端末などは、内蔵されるコンデンサーやSAWフィルター、水晶部品といった基幹電子部品は相変わらず日本製である。ウォン安で輸出が増えるほど日本からの輸入も増え、為替の逆ザヤが発生するジレンマを抱える。彼らにとってこれら電子部品は、このジレンマを解消するうえでどうしても自前で欲しい部品であり、さらに外販攻勢に転ずることができれば、再び日本勢の市場を食い荒らし、成長を手にできる一石二鳥のアイテムとなる。まるでオセロの目が次々と裏返るように、日本は顧客と市場を同時に失うことを意味する。
「サムスンは例外なくシェアナンバー1を取る。目をつけられたら逃げられない」(前出アナリスト)
 彼らの「焦土作戦」が始まるのは時間の問題であり、彼ら独自の「一眼レフカメラ」の発売がその始まりを告げることになるはずだ。
 このサムスンの対日作戦を支える原動力は、最近、彼らが再び活発化させている「お家芸」ともいえる日本人技術者の買い上げだ。サムスンはここ数年、前述の電子部品や光学系部品分野を精力的に開拓し、有能な企業や技術者個人に的を絞り、獲得に向けて動いていた形跡がある。
 昨年夏、またもや日本の有能な技術者たちがサムスンの軍門に下ったことは、業界内でもほとんど知られていない。電子部品業界の雄、村田製作所から最前線の技術エンジニア数名がサムスンに移籍した。村田製作所からは数年前にも、幹部クラスの人材がサムスンに引き抜かれている。今回はこの人脈を利用し、最新の製造技術に携わるエンジニアの獲得に成功したようだ。
 また光学系部品では、住田光学ガラスやタムロンといった、一般の日本人がその名を知らないような中小企業にまで食指を伸ばしたという情報もある。住田光学は、一眼レフカメラ用レンズを中心に、幅広く高度な光学部品を手がける埼玉県の有力メーカー。一方のタムロンは、ソニー製ビデオムービーのカメラレンズなどを手がけるやはり埼玉県の有力技術系企業である。
 前述のサムスン上級幹部の自信の背景には、こうした着々と進む人材獲得の実績もあるのだ。
 サムスンの人材戦略は、技術が人に付いて容易に移動可能であることを知らしめた。初期は隠密行動であった人材買い上げも時間が経つにつれてエスカレートし、現在では公然の事実となっている。
 チーフエンジニアクラスで三年契約一億~二億円という相場で、日本の先行きに見切りをつけてサムスンの傭兵となる技術者が後を絶たないのが現実なのである。


中国勢の急成長に怯える

「脱エレクトロニクス」を図る今後の成長戦略で、再び照準を日本に絞ったサムスン。足元の業績を見ても、その死角を見出すのは難しいようにみえるが、決して彼らも盤石ではない。彼らは今、中国勢の台頭に戦々恐々としている。中国の技術水準の上昇スピードは予想以上で、最近では「このままではサムスンとて中国企業に負けてしまう」と指摘し始める業界関係者も出始めた。かつて、自らが日本から技術と市場を奪い取って急成長を果たしたが、今度は、中国勢が猛追するという姿が重なる。サムスンの危機感は人一倍だ。先を走る日本と急速に追い上げる中国に挟まれ、身動きが取れなくなる状態を表現した「韓国経済のサンドイッチ危機論」とは、サムスンの李健熙前会長が指摘した有名な言葉である。
 実際、中国の景気刺激策「家電下郷」によって台頭した地元企業によって、サムスンは家電製品分野で中国市場から駆逐され始めている。〇八年に市場シェア一一%でトップを快走していた液晶テレビは、〇九年上期で同五%、八位に後退した。代わって台頭した上位五社はいずれも中国勢であった。
 また半導体や液晶パネルといった先端分野でも、その兆候が現れている。半導体では中芯国際集成電路製造(SMIC)、グレース・セミコンダクター(GSMC)、上海先進半導体製造(ASMC)などが存在感を急速に増しており、液晶パネルでも吉林彩晶や上海広電集団(SVA)などの中国企業が生産量を伸ばしている。
 こうした中国勢の台頭に危機感を抱くサムスンでは、半導体など先端分野の技術情報の流出に異様なほど神経を尖らせている。特に技術情報が集まる生産工場での対策は徹底している。ソウルから車で一時間、半導体の主力工場の一つである器興工場を訪れた日本人ビジネスマンによると、「正門と建物とを結ぶ道路脇に面会専用施設が設けられている。サムスン社内の人間と外部の人間との接触は、すべてその施設内に限られ、原則社屋への立ち入りを一切許可していない。外部訪問者のみならず、敷地を出入りする全社員にまで撤底したボディチェックと赤外線カメラによる空港の通関同様の厳重な持ち出し物検査など物々しい軍事施設並みの検査が義務付けられていた」という。
 これまでも韓国は「スパイ防止法」などで国家の重要技術の流出を懸命に防いできた。有名な事件としては数年前、サムスンのエンジニアが中国企業に携帯電話端末の技術情報を漏洩したとして、逮捕、起訴された。エンジニアが利用したタクシーの運転手の通報によって事態が明るみにでたということで、韓国の情報管理の凄まじさを物語る逸話である。
 しかし、このような徹底した情報管理をもってしても、完全には技術を守れないことは、彼ら自身が誰よりも知っている。
「隣国に技術が盗み放題の国(日本)がある限り、我々がいくら技術情報を防衛したところで意味はない」(サムスン関係者)との皮肉も聞かれる。また中国勢台頭の背後には、最近、技術提携が本格化している台湾企業の存在があることもサムスンの苦悩を深めている。台湾・馬英九政権による通商政策の転換から、台湾企業の大陸進出が緩和されたこともあり、台湾から中国への技術流出はもう止められない段階にきている。

日本企業への浸食はまだまだ続く

 韓国では今年、韓国のシリコンバレーと呼ばれる大徳バレーにおいて、世界最大規模の重イオン加速器の建設が着工される。このプロジェクトでは、次世代素材開発など「脱エレクトロニクス」を標榜している。サムスンを除いて、こうした基礎技術を事業化する仕組みが現在の韓国にはない以上、これは事実上、「国策企業」であるサムスンのためのプロジェクトにほかならない。三兆五千億ウォン(約二千七百億円)が投入される計画だ。国内外の研究者三百名で構成される五十の研究チームが新産業の創出に資する基礎開発研究を競うもので、九名のノーベル賞受賞者を含む八十一名のトップレベルの研究者を世界中から招聘する計画だという。時あたかも、科学技術予算の削減が大きな話題となっている日本から見ると、国家レベルの戦略的成長戦略が際立つ。
 日本企業を何よりの手本としてきたサムスンは、その失敗の研究も当の日本企業以上に重ねているはずだ。産業のリーダーとなり、今度は技術の牽引役とならねばならず、日本企業の苦しみを追体験するだろう。確かにサムスンの真価が問われるのはこれからだが、まだ足元に模倣できる市場がある限り、日本はまだまだ彼らの浸食を受け続けなければならない。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100323-00000302-sentaku-bus_all

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