『司馬遼太郎と東京裁判』

2006年09月02日 | Books
 いまの日本の読書界に依然として残る不思議な現象は、「乱世史観」なる出鱈目な世迷い分析をもって歴史小説などと吹聴した司馬遼太郎の作品が、まだ市場に供給されていることである。
 司馬遼太郎は乃木大将を愚かときめつけ、殉死の切腹を“犬死”と罵った。
所謂「太平洋戦争は悪い戦争だった」とも言って、歴史家から嘲笑された。川下と川上は文化が同じだとか(橋が架かっていない時代に?)、知りもしないことを言ってテンと恥じない御仁でもあった。
 日本に本物のインテリが少なくなった証拠だろうか。
その亜流の半藤一利が、まだ日本の読書界に活躍する隙間がある様をみても、この国の狂気が奈辺にあるか、そのゆがみの源泉はどこか、梗概がのみこめてくる。
東京裁判史観を鵜呑みにして、言ってみれば自虐史観を巧妙の隠しながら事実上の左翼史観の受け売りでモノを書き続けた司馬遼太郎というニセ作家の欺瞞を、本書は余すところなく満天下に明らかにする。
本書はシリーズの第2弾で、前作の『“坂の上の雲”に隠された歴史の真実』は予想外の売れ行きだったために続編の執筆となった由だが、福井教授の手法は緻密な論理を組み立て、司馬遼太郎の論理的破綻を突く。
その一種多彩なスタイルには凄みがある
平成18年(2006年)9月3日(日曜日)  
通巻第1547号   



出版社/著者からの内容紹介
多くの人を魅了してやまない司馬さんの歴史小説。しかしそこには戦後の日本人を縛ってきた「東京裁判史観」が隠れてはいないだろうか。昭和史をどうとらえるか司馬史観の徹底検証。
<内容・目次>第1章 東京裁判に呪縛されていた「司馬史観」の軌跡(司馬さんと東京裁判史観。一見何の関係もないように見えるが、深部でつながっていた)。第2章 司馬さんの作品にみる「司馬史観」の萌芽と形成(『竜馬がゆく』『坂の上の雲』『翔ぶが如く』にみる司馬史観の功罪)。第3章 「司馬史観」と戦後日本の閉ざされた言語空間(戦前は暗黒の時代という史観はまさに司馬史観と東京裁判史観で共通している考え方である)。第4章 欧米の識者たちは戦前の日本の立場をどのように見ていたのか(戦前の日本の行動にきちんと理解を示した欧米の知識人やジャーナリストがいた)。第5章 対談・司馬遼太郎さんという戦後(気鋭のジャーナリスト東谷暁氏による著者インタビュー)。今なお好評な前著『「坂の上の雲」に隠された歴史の真実』を凌駕する、全く新しい歴史観の提唱。司馬遼太郎さんのファン必読の書。 

Amazon.co.jp: 司馬遼太郎と東京裁判?司馬歴史に潜む「あるイデオロギー」: 本: 福井 雄三




Amazon.co.jp: 「坂の上の雲」に隠された歴史の真実-明治と昭和の虚像と実像: 本: 福井 雄三

出版社/著者からの内容紹介
司馬遼太郎さんの国民的名著『坂の上の雲』。日本人に勇気を与えれくれた「司馬史観」。でもここに大きな思い違いがありませんか。歴史の虚像と実像を知ることで近代日本を再検証する。<内容、章立て>第1章・『坂の上の雲』にいまわたしたち日本人が問いかけなければならないもの……歴史書としての視点からの再検討が必要ではないだろうか。第2章・『坂の上の雲』に描かれた旅順攻防戦の虚像と実像。はたして史実はどこにあったのか……旅順要塞攻撃を世界史的視野から鳥瞰すれば、乃木ほそんなに無能な将軍なのだろうか。第3章・ユダヤ人大虐殺と『坂の上の雲』。どんなつながりがあるかおわかりだろうか……一見何のつながりもないように見えるが、歴史の虚構が虐殺の悲劇を生んだのである。第4章・ノモンハン事件。司馬氏が果たせなかったライフワーク。この戦いの光と陰がいま逆転した……ノモンハンは完敗といわれているが、ソ連崩壊後の秘密文書の公開でどうやら勝ちは日本のほうに傾きつつある。第5章・戦後の日本人の精神構造や国家像。「司馬史観」とそれはどう結びついているのか……明治はよかったが〓昭和はダメな時代になったのか。司馬史観の功罪を検証する。


日露戦争:満州軍の諜報詳細、大量発見 (秘)電文、生々しく

 日露戦争(1904~05年)で日本が旧満州(現中国東北部)に派遣した満州軍の諜報(ちょうほう)活動の詳細を伝える機密文書が大量に見つかった。満州軍が発信した約700通の極秘電文の元原稿をつづったもので、日露両国のスパイが暗躍する様子や謀略工作の実態が暗号交じりで生々しく描かれている。
 ◇「列車襲撃」「検閲徹底」「朝鮮人移送せよ」…
 機密文書は「発信原稿 満洲軍参謀部諜報部」と表書され、「満洲軍総司令部」や「大本営」と印刷された罫紙(けいし)に書かれている。1枚ごとに児玉源太郎総参謀長ら最高幹部のサインが記され、紙数は約950枚。諜報参謀だった福島安正少将の手紙13通も挿入されていた。
 発信原稿からは、満州軍が旅順総攻撃に合わせてロシアの鉄道破壊を促したり、後方かく乱のため馬賊(ばぞく)を組織して敵の物資を奪うよう命じたり、情報漏えいを恐れて従軍記者の記事の検閲を徹底するよう指示したことが浮かび上がった。重要な言葉は、数字やカタカナを使用した暗号に組み替えていた。ロシア資本の銀行の現金輸送列車を襲うよう指示したり、ロシアのスパイを恐れて満州在住の朝鮮人を韓国に強制移送させることを通知するなど「初めて明らかになる」(浅野豊美・中京大教授)内容も含まれていた。
 発信原稿は日露戦争後、最高機密文書として陸軍に保管され、太平洋戦争敗戦時、GHQ(連合国軍総司令部)の没収を恐れ、諜報活動に関する他の史料と共に焼却処分されたと思われていた。しかし、名古屋市在住の故長谷川昇・東海学園女子短大(現東海学園大)名誉教授が所有。遺族が昨年、遺品を整理中に見つけた。
 概要は9月中旬発行の軍事史学会の機関誌「軍事史学」に掲載される。【栗原俊雄】
 ◇原剛・防衛研究所調査員の話
 満州軍の諜報戦の内容は、断片的な史料や口伝えでしか分からなかった。最前線ならではの情報が記されており、一級の史料だ。
毎日新聞 2006年9月1日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/archive/news/2006/09/01/20060901ddm001040015000c.html

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 富田メモ公表で妻「昭和天皇... | トップ | 関東大震災:虐殺から300... »
最新の画像もっと見る

Books」カテゴリの最新記事