【首相談話】韓国、根深い民族的優越感 際限なき“謝罪ゲーム”

2010年08月11日 | news
【首相談話】韓国、根深い民族的優越感 際限なき“謝罪ゲーム”
2010.8.11 11:57

 日韓併合100年にあたっての「首相談話」に韓国は必ずしも「歓迎」というわけではない。政府論評(外交通商省スポークスマン)に「歓迎」の言葉はなく、単に「注目」し今後の両国関係の発展を「希望する」としているにすぎない。ただ旧朝鮮王室の“図書返還”についてだけは「評価」するという。

 マスコミも、日本政府が依然、日韓併合条約そのものの無効、不法を認めず、過去補償も不十分だとし、いわゆる“過去清算”は「未完」で「期待に及ばない」と相変わらず批判的だ(各テレビや文化日報、聯合ニュースなど)。

 日韓関係では1995(平成7)年8月の「村山談話」の後、98年10月の小渕恵三首相と金大中大統領の「共同宣言」で、日本の「痛切な反省と心からのおわび」がすでに公式かつ明確に表明されている。

 この時、金大中大統領は、韓国政府としては今後、過去には触れないとまで“約束”している。

 今回、また日本は「謝罪と反省」を言わされたかたちだ。これはマスコミ世論をはじめ韓国側に、日本との過去をまだ終わりにさせたくないという心理があるからだろう。

 「謝罪」の成立は、謝罪する側もさることながら謝罪を受け入れる側の事情、姿勢で左右される。

 韓国にはいまなお、日本に「謝罪と反省」を求め続けることによる民族的、国家的な“優越感”もある。日本に対するこの心理がある限り“謝罪ゲーム”は終わらない。インドやベトナムなど他の旧植民地国にはない特異な歴史感覚だ。

 1910(明治43)年の日韓併合は65年前の1945(昭和20)年、日本の敗戦で終わっている。再独立した新生・韓国は、すでに日本支配の35年よりはるかに長い60年以上の歴史を持つ。

 しかも1965(同40)年の日韓国交正常化以降、韓国は45年間の日本との新たな協力・交流関係の中で現在の発展を築いた。

 経済、文化、スポーツ…多くの分野における現在の韓国の元気ぶり、そしていわゆる“韓流ブーム”などを見るとき、100年前の歴史などもはやほとんど意味をもたない。

 内外が認めるように、韓国は100年前の惨めな歴史からは想像できないほど発展した。しかし国際化、世界化が合言葉になっている韓国が、いまなお相手が日本となると視野が狭くなる。この意識に基本的変化はうかがえない。

 日本として「日韓併合100年」の歴史に触れて何らかの発言をするのなら、「謝罪と反省」ではなく、韓国の努力と発展に対する「敬意と祝賀」の表明だろう。それが主体的な歴史認識というものだ。(ソウル支局長・黒田勝弘)

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100811/plc1008111201006-n1.htm

国が謝るとき~謝罪を受け入れる意思がなく、和解する意図もない中国、韓国への国家謝罪は不毛な努力










【首相談話】「史実無視、歴史を愚弄」遠藤浩一・拓殖大学大学院教授の話
2010.8.11 08:40

 菅談話には「歴史に対して誠実に向き合いたい」と盛り込まれている。私はこの記述が一番ひっかかった。談話が体現するものは、むしろ逆ではないか。

 終始、日本を一方的に痛みを与えた存在と位置づけ、韓国は痛められたという見方で描かれているが、併合によって韓国には日本国民の多くの血税が投入され、鉄道建設や治山治水、農業の技術指導、金融制度の導入などが行われた。こうした日本の統治によって民生は飛躍的に向上し、これが韓国の近代化の原動力になったという側面も否定できない。

 こうした「事実」をなかったことにすること自体、歴史に対して不誠実な態度である。そしてこのような政治的にゆがんだ談話を出す目的が菅政権の延命にあるとするならば、それこそ歴史への愚弄(ぐろう)にほかならない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100811/plc1008110842005-n1.htm







【首相談話】密室で決められた談話 大きな禍根残す 
2010.8.10 23:14

 政権が再び“暴走”を始めた。菅直人首相が10日発表した日韓併合100年に関する談話は、十分な議論もないまま閣議決定され、平成7年の「村山談話」と比べても大きく踏み込んだ内容となっている。先の参院選で、その暴走傾向に「NO」を突きつけられたはずの菅政権だが、今度は歴史認識問題で大きな禍根を残そうとしている。

 今回の首相談話は、まさに密室の中で決められた。

 政府側が民主党サイドに「首相談話を10日に閣議決定」との方針を伝えたのは9日午後。福山哲郎官房副長官が党政調幹部を国会内に集め、談話の骨子を説明した。一部の出席者は「いつまで謝罪を続けるのか」と反対論を唱えたが、首相は黙殺するように側近議員と首相公邸にこもり、ひそかに文案を練り続けた。

 こうして作成された談話は10日午前の閣議にはかられ、全閣僚が署名した。ただ、民主党政調会長でもある玄葉光一郎行政刷新担当相は閣僚懇談会であえて苦言を呈した。

 「すべての段取りができあがって『こういう風に』と言われても大きな変更はできない。今後は早い段階で相談してほしい」

 首相談話の内容に驚いたのは民主党議員だけではない。ある外務省幹部は「官邸にだまし討ちされた」と憤る。

 もともと外務省は今回の談話に重大な懸念を持っていた。補償問題は昭和40年の日韓基本条約によって「完全かつ最終的」に解決済みというのが、日本政府の一貫した立場だが、仙谷由人官房長官が新たな補償に前向きな姿勢を示していたからだ。

 外務省側は仙谷氏らに新たな謝罪・補償には応じないよう「ご説明」を繰り返した。官邸側は「参考にさせてもらう」と返答してきた。安心した外務省は7月21日、文化財等の韓国への引き渡しを「検討している事実はない」(児玉和夫外務報道官)とする“公式見解”を出したが、結果は違った。

 今回の談話には、韓国政府への過剰な配慮も見え隠れする。

 日韓併合100年にあわせた談話ならば、併合条約が発効した8月29日や終戦の日の8月15日の方がふさわしい。

 だが、政権にとっては8月15日より前の談話発表が絶対条件だった。8月15日は韓国にとって植民地支配から解放された「光復節」にあたり、大統領が国民に演説するのが通例だ。今年は併合100年の節目であり、韓国国民の期待は例年に増して高いという。

 李大統領は10日、菅首相との電話会談で「真心のこもった談話だ」と称賛した。菅談話は当然、李大統領演説で取り上げられるだろう。菅首相が談話発表を急いだ理由はここにあるのではないか。

 菅談話で韓国国民が最も留飲を下げたのは、次のくだりだろう。

 「当時の韓国の人々は、その意に反して行われた植民地支配によって、国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられました」

 日韓併合をめぐっては、その出発点となる併合条約の合法性に関し、両国で見解が対立している。日本の立場は「(条約は)両者の完全な意思、平等な立場において締結された」(昭和40年、佐藤栄作首相答弁)という合法論で、これを歴代政権が引き継いできた。

 菅談話の先の言葉は、朝鮮半島統治の「違法性」に踏み込み、併合条約の「無効性」を認めかねない危険をはらむ。これは村山談話にもなかった内容だ。

 「国民の意見を反映した民主主義。私の言葉で言えば『参加型の民主主義』がこのねじれ国会という天の配剤の中で誕生しつつあるのではないか」

 首相は記者会見でこう語り、胸を張った。だが、言葉とは裏腹に、談話策定の経緯を追うと「密室政治」の到来を予感させる。

(船津寛)

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100810/plc1008102316030-n1.htm






【主張】日韓併合100年 「自虐」談話は歴史歪める
2010.8.11 03:19

■ 解決済みを蒸し返す連鎖断て

 与野党で異論が相次ぐ中、日韓併合100年に合わせた菅直人首相談話が閣議決定された。談話発表が強行されたことは、極めて遺憾である。

 首相談話は日本政府の公式な歴史的見解としての意味があり、後の内閣の行動などを事実上、拘束する。それだけに歴史を歪(ゆが)めた私的な見解は断じて許されない。必要なはずの国民的な合意づくりも一切、欠落していた。

 菅首相談話の最大の問題点は、一方的な歴史認識である。

 談話は「(日本の)植民地支配によって、(韓国の人々は)国と文化を奪われ、民族の誇りを深く傷付けられた」として、「多大の損害と苦痛」に対する「痛切な反省と心からのお詫(わ)びの気持ち」を表明している。

 日本の「植民地支配と侵略」を謝罪した平成7年の村山富市首相談話を踏襲したように見えるが、それ以上に踏み込んだ内容だ。菅談話は明治以降の日本の先人たちの努力をほぼ全否定し、韓国の立場だけを述べている。どこの国の首相か疑ってしまう。

 35年間に及ぶ日本の朝鮮統治には、反省すべき点もあるが、鉄道建設や教育の普及など近代化に果たした役割は大きい。朝鮮名を日本式の姓名に変える創氏改名や日本語教育も行ったが、それらは強制されたものではない。

 歴史教科書の記述や学校の授業では、菅談話や村山談話などにこだわらず、日本の朝鮮統治について、事実に即して光と影の部分をバランスよく伝えるべきだ。

 ≪疑問多い対韓支援事業≫

 菅談話のもう一つの問題点は、日韓基本条約(昭和40年)で解決済みの対韓補償問題が蒸し返される恐れもあることだ。

 談話は、日本に保管されている「朝鮮王室儀軌(ぎき)」などの古文書の返還に加え、在サハリン韓国人支援などの人道的協力を「今後とも誠実に実施」するとしている。


 在サハリン韓国人支援とは戦時中、朝鮮半島から樺太(現ロシア領サハリン)へ渡り、すぐに帰国できなかった韓国人への支援事業のことだ。仙谷由人官房長官が深くかかわってきた。

 多くの人は企業の募集などに応じて渡航し、残留を余儀なくされたのは戦後、サハリンを占領した旧ソ連が国交のない韓国への帰国を認めなかったからだ。

 しかし、「日本が強制連行し、置き去りにした」とされ、韓国への永住帰国者のアパート建設費や一時帰国する人の往復旅費、サハリンに残る人のための文化センター建設費など70億円近い支援を日本政府が負担させられてきた。

 まだ、日本の補償が必要というのだろうか。日韓基本条約で日本は無償供与3億ドルと政府借款2億ドルの経済協力を約束し、双方の請求権は「完全かつ最終的に解決された」と明記されている。

 菅首相は補償・請求権の問題について「日韓基本条約の考え方を確認し、法律的な形のものは決着済みという立場だ」と述べた。それならなぜ、その点を菅談話に盛り込まなかったのか。

 仙谷氏は先月、新たな個人補償を検討する考えも示している。菅談話をたてに、韓国側が対日補償請求を蒸し返してくる可能性がある。際限のない補償は日韓基本条約に反し、許されない。

 ≪国民的な合意なく発表≫

 首相談話を出すこと自体に反対論や慎重論を唱えていた与野党の有力議員らの言動が、中途半端に終わったことも理解に苦しむ。

 玄葉光一郎公務員制度改革担当相(民主党政調会長)は閣僚懇談会で、「早い段階で、より詳細な相談が(民主党側に)あってしかるべきではなかったか」と官邸側の拙速な対応を批判した。

 自民党の谷垣禎一総裁も5日の記者会見で「(首相談話を)出す必要があるのかどうか、大きな疑問だ」と言っていたが、談話発表の直前には菅首相に「村山談話を逸脱しないよう」求めるにとどめた。野党のリーダーがこのような認識では、姿勢が疑われる。

 日韓併合100年の節目はまだ先だ。併合条約は明治43(1910)年8月22日に調印され、29日に公布・施行された。議論する時間は十分にあったはずだ。

 村山談話も事前に閣僚らへの詳しい説明がなく、唐突に閣議決定された。自民党を中心に、秋の臨時国会などで、菅談話や村山談話の作成から閣議決定に至る過程について徹底追及すべきだ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100811/plc1008110319002-n1.htm

「サハリン残留補償」をデッチ上げたのは誰だ
【深層真相】「在サハリン韓国人」理由なき支援 続く予算拠出
サハリン残留韓国人への追加支援で密かに盛り込まれた「3億円」
”仕分け”されても何故か蘇った 「鳩山・仙谷」案件の『在サハリン韓国人支援共同事業』









【首相談話】自民苦しい抗議 過去の談話の呪縛なお
2010.8.10 23:16

 菅直人首相が日韓併合100年にあたり首相談話を閣議決定したことを受け、自民党やたちあがれ日本は抗議を表明した。ただ、平成7年の「村山談話」は自社さ政権で発表し、その後の自民党政権も「植民地支配」や「侵略」への反省やおわびを繰り返してきただけに、一方的に批判できない苦しい事情が見え隠れする。(今堀守通)

 「小渕恵三元首相が『20世紀に起きたことは20世紀で解決しよう』と平成10年の日韓共同宣言を出したのに、談話は『未来志向』と言うより『後ろ向き』だ」

 自民党の谷垣禎一総裁は10日午後、記者団にこう論評した。その上で「竹島や防衛白書問題など最近の日韓をめぐる菅政権の対応に危(き)惧(ぐ)がある。国会などで明らかにしていかなければならない」と述べた。

 たちあがれ日本は平沼赳夫代表名で「与野党議員および世論の反対を無視し、朝鮮統治への『反省とおわび』談話が出たことは甚だ遺憾だ」とする抗議声明を発表。みんなの党の渡辺喜美代表も「個人的な『思い』を国家の意思として表明することは新たな国難を招く」とコメントした。

 安倍晋三元首相は山口県下関市で「歴史の評価は歴史家に任せ、政治は慎重であるべきだ。仙谷由人官房長官が自らの思いを満たすために出したのではないか」と語った。

 自民党は10日夕、外交部会を緊急開催した。「菅政権になって土下座外交が目立つ」(小野寺五典部会長)、「台湾やパラオなどにも出さねばならなくなる。北朝鮮にも謝罪するのか。拙速よりも拙劣だ」(佐藤正久参院議員)と批判が相次いだ。

 菅談話は、日韓併合を「韓国の人々の意に反する」としてその無効性を示唆しており、村山談話をより踏み込んだ。併合後の朝鮮半島統治を「多大の損害と苦痛をもたらした」とした点もより自虐的な歴史認識だといえる。朝鮮半島由来の図書引き渡しもさまざまな個別補償に飛び火する懸念がある。

 ただ、菅談話が参考にしたという村山談話は自民党の閣僚も閣議で署名した。いわゆる従軍慰安婦の存在を認め、旧日本軍の関与を認める5年の河野談話は自民党政権の宮沢喜一内閣が出した。17年には戦後60年にあたり小泉純一郎首相(当時)が村山談話を踏襲する談話を発表した。

 つまり「反省とおわび」はむしろ自民党ハト派のお家芸だったわけだ。自民党が菅談話を国会で追及しても「過去の自民党政権の談話を踏襲した」とかわされる公算が大きい。

 歴史・外交にからむ政治談話はその後の政権を束縛していく。自民党はそれを身を持って知っているのだから、今こそ過去の談話を総括すべきではないか。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100810/plc1008102319031-n1.htm












【首相談話】「素人集団外交そのもの」ジャーナリスト・櫻井よしこさん
2010.8.11 08:37

 菅直人首相にも仙谷由人官房長官にも歴史を振り返り未来を展望するためのイマジネーションや能力が欠けている。この談話は単なる自己満足に過ぎず、謝りたいから謝っている類のものだ。

 日本を貶(おとし)めれば相手が喜ぶだろうという独り善がりに基づく談話であり、日本に対する祖国愛も韓国に対する真の意味での友情や友愛も全く感じられない。

 20世紀初頭の国家間のせめぎ合いを、この談話のようにいとも簡単に、国と文化を奪った事例として記述してよいのか。これでは素人集団の外交そのものだ。加えて韓国の重圧になり、脅威を与え、韓国の国力を奪っている眼前の共通課題、北朝鮮には一言も触れていない。

 韓国の未来を展望するうえで北朝鮮問題での日韓の協力こそ重要なのに、談話にはこうした視座は全くない。菅談話によって日本はもちろん、韓国の未来に展望が拓(ひら)けたり、可能性が広がることはない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100811/plc1008110838004-n1.htm








「ハゲタカ」真山仁が警鐘!菅政権は「本当の素人集団」
2010.08.11

 「民主党政権には国家ビジョンがなく、この国は完全に迷走している」-。TVドラマや映画になった小説「ハゲタカ」で知られる作家、真山仁氏(48)はこの国の現状についてこう警鐘を鳴らす。そんな日本を今席巻しているのが、中国マネー。真山氏は“赤いハゲタカ”の意外な実像についても余すことなく語った。

 ビジネスマンに人気の真山氏が今もっとも気にかけているのが、民主党政権のふがいなさだ。

 「民主党は軽い言葉を発する政党。パフォーマンスはうまいけど、中身は何もない。耳に優しい言葉をうのみにした国民がいかにひどい目に遭うか、この1年で分かったと思う」

 パフォーマンスといえば、蓮舫参院議員(行政刷新相)(42)が目をつり上げて迫るシーンが注目された事業仕分けがある。真山氏は短編小説集『プライド』で仕分けの欺瞞(ぎまん)性を描いている。

 「些末な事業を取り上げ、税金を使って人民裁判のようなことをやっただけ。長い目で見ると百害あって一利なし」

 「中身のない政治」がジワジワと日本の産業をむしばむ。例えば原子力発電所の受注競争。昨年12月のアラブ首長国連邦(UAE)の案件で韓国に、今年2月のベトナムの案件ではロシアに日本は敗れた。

 「実績も技術もあって、負けるはずがないといわれていたのに負け続けている。そもそも国家戦略として原発産業をどうするのか、民主党にビジョンがまったくないのが問題だ」

 地球温暖化問題への取り組みも同じ。

 「温暖化問題の本質は、原始時代から続いてきた火を使う社会が消えて、別のものがエネルギー源になる時代が来るということ。これは欧州が従来のルールを変える切り札として仕掛けたものだ」

 技術力がある日本のメーカーにとって、温暖化問題は大きなビジネスチャンスになるはずだが、ここでも政治の問題が頭をもたげてくるという。

 「他国に新技術で先行され、特許も取られてしまうと日本はコストで勝てなくなる。メーカーは危機感を持っているものの、研究・開発コストとの採算がとれない。そこで重要になってくるのは政治の力。極端にいえば、日本が生き残るためには、電気自動車をつくる会社は免税にするぐらいのことをやらないと立ちゆかない時代が来ている」

 菅直人首相(63)は、「介護」などを成長分野として重点的に投資する方針を打ち出しているが、真山氏にすれば、チャンチャラおかしいということになる。

 「彼ら(菅政権の人たち)は知ったかぶりして虚勢を張るばかりで、成長分野が何なのか、各産業をウオッチしているプロから説明を受けて決定しているようにも見えない。本当の素人集団。若葉マークであることを自覚しないと、とんでもないことになる」

 日本を覆う閉塞感について、真山氏はこう警戒する。

 「この国は今、完全に迷っている。ビジョンがないときに恐ろしいのはヒトラーのようなカリスマが出てくること。すでに(民主党内に)その土壌はできている」

 一方、真山氏は、日本を席巻する中国マネーにも注目する。

 体力の弱った日本企業に群がる投資ファンドの姿を描いた「ハゲタカ」シリーズの小説「レッドゾーン」は、中国資本が日本の大手自動車メーカーに買収を仕掛けるというストーリーだ。果たして、これが現実のものになるのか。真山氏はこう語る。

 「中国が買いたい日本企業は山のようにあるでしょう。しかし実際には『トヨタ自動車も買いたいけど、日本人が怒るのならやらない』というのが中国人の考え方。理由は簡単で、反感を買って不買運動が起きたり、社員が辞めたりするとビジネスにならないから。やるなら友好的にというスタンスです」

 猛威をふるう中国マネーについて、中国人がカネにモノをいわせて日本企業を買いあさり、中国化してしまうのではないかと懸念する向きもあるが、真山氏の見解は異なる。

 「勘違いしている日本人も多いが、彼らがほしいのはブランドよりもお金。投資してお金を回収できるなら、企業ブランドもそのままで、社長もずっと日本人でいいと考えるだろう。ブランドとして会社をほしい人、五大陸全部で会社を持ちたい、という大金持ちも一部にはいるようだが、ビジネスとして日本に投資する人たちの意識はデリケートです」

 最近では、中国が日本国債を大量取得して話題に。好むと好まざるとにかかわらず、中国の存在感は大きくなっている。

 真山氏は、中国を舞台にした小説「ベイジン」で現地に赴き、数多くの中国人を取材し、そのタフネゴシエイターぶりを実感した。

 「中国人は世界で一番商売がうまい。彼らは『われわれは面子(メンツ)を大事にする』とよく言いますが、これは交渉のカードなんですよ。『われわれの面子を下げてあげるよ、その代わりにもっと寄こせ』という手法はよく使いますね。また、中国人はかけひきが上手だが、信頼関係を築ければ、とてもフランクにもなる」

 潤沢なマネーとしたたかな交渉術をあわせ持つ中国に、日本はこのままやられてしまうしかないのか。真山氏はこう提言をする。

 「商売上手な中国を利用すべきではないか。実は、モノづくりでは日本に勝てないと思っている中国人は多い。日本としては、モノは自分たちが作って中国に売ってもらったり、中国からロイヤルティー(使用料)やエージェントフィー(事務代行手数料)を取るビジネスを目指すべきではないか。例えば、トヨタが自動車を作って中国人に売らせたら、世界中がトヨタの車になってもおかしくない」

 世界経済をリードする中国といかにパートナーシップを築くか。そこに産業界の浮沈がかかっているといえそうだ。

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100811/plt1008111618004-n2.htm







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