内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

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Policy Essayist

電力問題、原発存廃問題の第3の選択!(その1)―グリーン経済応援寄稿改訂版―

2012-05-24 | Weblog
電力問題、原発存廃問題の第3の選択!(その1)―グリーン経済応援寄稿改訂版―
 東京電力は福島原発の事故により、供給力不足を火力発電等で補うことになるが、事故処理費用や燃料代等を勘案し、工場やオフィスなど大口需要者に対し電気料金を4月から平均で17%引き上げることとしている。家庭向けについては7月より10%強の値上げを検討している。
 これに対し業界筋やマスコミは生産コストが増加し、価格への転嫁による消費や輸出に影響すると共に、円高と相俟って工場の海外移転を加速するなどとして懸念が表明されていると共に、電気代値上げに伴う企業、団体との東電の契約改定作業も利用者側の不満から50%に満たない状況となっている。一方、日本各地にある原子力発電所(福島第一原発を除き50基)の操業については安全面での確認と改善が求められ、操業再開のめどはたっておらず、電力の安定供給が日本産業の発展の上で大きな課題になっている。
 そのような中で現在、電力料金の値上げか原子力発電の操業再開か、或いは原発の存続か将来的な廃止かという2者択一が問われているが、「第3の選択」はないのだろうか。
 1、東京電力の自主再建を支持する
東京電力は、政府機関である原子力賠償支援機構と共に、原発事故の賠償問題と電力の安定供給を見据えた「総合事業計画」を策定し、経済産業省に提出した。基本的には東電は支援機構を通じて1兆円規模の公的資本の注入、従って事実上の国有化を受け入れると共に、主要金融機関よりの1兆円規模の融資を受ける一方、リストラの他、電気料金の値上げや安全確認を前提として福島以外の原発の再稼動などで2014年3月期に赤字を克服することを目指すとしている。
電気料金値上げへの懸念は当然であり、何らかの配慮が必要である。しかし東電自体、福島原発事故により周辺住民に与えた損害賠償を抱え、原子炉の管理・処理という長期の負担を負いながらの再建である上、そもそも東電も自然災害の被害者でもあるので、再建過程における一定の値上げは容認し、早期の再建を促さざるを得ないのではなかろうか。
他方、中小企業などへの影響を考えると値上げ幅については東電側の更なる簡素化、コスト削減などの企業努力により縮小することが望まれる。政府資金を更に投入して値上げを回避するとの考え方もあるようだが、結果的には一般納税者への負担となるので、受益者負担の原則に従って利用者が負担することが望ましい。消費者負担が市場経済のルールである。
同時に、電力の生産、供給が東電などの独占状態になっていることが料金を引上げることに繋がるので、日本の今後の電力供給の多様化、安定化のためにも規制を撤廃し新規参入を図って行くことが急務であろう。
 2、節電努力により電気料金の節約は可能 (その2に掲載)
 3、「第3の選択」―適量生産・適量消費モデル、生活スタイルへの転換 (その3に掲載)
(2012.05.04.)(All Rights Reserved.)(不許無断引用)

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