ましログ

日常と好きなものと母の自宅介護の極私的記録

歩み

2019-04-23 00:56:00 | 日記
帰り道
乗り換えの電車へ急ぐ
誰もが遅れまいと
同じ足並みで早足で歩く
 
一人だけゆっくり
杖をつきながら
足を悪くした老婆が進む
私は思わず立ち止まる
 
母の面影を重ねる
 
駅で立ち尽くし
不安そうに私を待っていた時の記憶
 
人混みの動線の中心で
まわりに舌打ちされながら
私に見つけてもらおうと
手を握りしめていた
 
私は恥ずかしくなって
強引に手を引き
叱責した
 
なぜあの時
気づけなかったのか
 
帰路を急ぐ人々と
老婆がぶつからぬよう
私は歩みを遅める
後ろから同じ速度で進む
時間の流れが変わる
老婆はホームにつき
椅子に座る
電車がやってくる
乗り込んだことを横目に
私は反対の電車を待つ
 
母はもう歩くことはない
だけど
家に帰れば
ベッドの上で宇宙を眺めてる
まだ手を握る時間は残されている
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