子どもたちに渡すな!あぶない教科書 大阪の会

大阪で教科書問題にとり組む市民運動の交流ブログ

モラロジーと大阪市教委との関係を問う質問書への回答

2018-01-10 21:13:40 | 学校へのモラロジーの浸透
■公益財団法人モラロジー研究所は改憲団体である日本会議と深いつながりがあり、理事長の廣池幹堂氏は、日本会議の代表委員を務めています。またモラロジー研究会は、中学校道徳教科書を作成するとしている育鵬社の共同事業者である日本教育再生機構の「友好団体」です。廣池氏は、日本教育再生機構の機関誌『教育再生』(2015年5月号)の「巻頭言」で「(育鵬社教科書が)今後、公教育の場において広く活用されていくことを願ってやみません」と述べたり、育鵬社通信「虹」において育鵬社教科書に期待を表明するコメントを寄稿しています(「虹」vol22)。これらの事実からモラロジー研究会は特定の政治思想を持ち、育鵬社教科書に協力していることは明らかです。
 大阪市教育委員会は、何年にもわたってモラロジー研究会が主催する「教育者研究会」の後援を行い、教育委員会の部長・教育監が研究会で来賓挨拶を行っています。それどころか、大阪市内の公立学校校長、教員が講師を勤めることもありました。 また、大阪市教委は、モロラジー研究会が主催する「伝えよう!いのちのつながり」作文コンクールでも後援し、各学校で子どもたちに作文募集を協力させたり、校長が選考委員をつとめたりしています。
 特定の思想性をもち、かつ特定の教科書の作成・採択運動に直接関わる団体と協力関係を持つことは行政の中立の原則からして不適切です。
 大阪市教委とモラロジー研究会との密接な関係はもう何年にもわたっており、正式な後援承認がないもとでも、モラロジー研究所は大阪市教委の後援を堂々とチラシに掲載するまでになっています。
 2017年11月26日、あらためて大阪市教委に対して、モラロジー研究所との関係について質問書を提出していました。

■2018年1月5日付けで大阪市教委から回答がありました。モラロジー研究会主催の教育者研究会の次第には明確に「大阪市教委教育鑑」「教育改革推進担当部長」「学校力支援担当部長」の肩書きで来賓挨拶を行っていることが記されています。しかし市教委回答は、教育委員会幹部の来賓挨拶は、「公務として取り扱っていない」ため、どのような経緯で、どのような発言をしたのか、一切把握していないという立場でした。上記の肩書きでの来賓である以上、「公務でない」という言い訳は通用しません。

■2014年「第51回教育者研究会(大阪市会場)」では、加地伸行氏が講師となっていました。加地氏は「新しい歴史教科書をつくる会」の賛同者であり、高校卒業から大学入学までの半年間で新入生の心身を鍛え直すために自衛隊への正式な入隊を義務付けよと主張した人物です(産経新聞2012年2月26日)。加地氏の講演を行う研究会が、大阪市教委の主張する「政治的に中立」とかけ離れている疑念が生まれます。しかし、この点に関して大阪市教委は、「現時点では講演内容の詳細については把握していません」と、逃げました。加地氏が講演を行った次年度以降も、大阪市教委は「後援」を続けていることから、「問題なし」の態度だったのでしょう。大阪市教委は、現在まで「後援」を続けている以上、加地氏の講演内容についての見解を明らかにすべきです。

■モラロジー研究会主催の「伝えよう!いのちのつながり」作文コンクールに大阪市の学校が作文応募に協力していたこと、校長等が選考委員となっていたこと、テーマが人権侵害に当たることに対しては、「学校長の裁量に属する事項」だから市教委は「把握していない」との回答に終始しています。私たちは、これまで「学校長の裁量」である卒入学式の配置(フロアー形式か壇上式か)や、「国歌斉唱」時のピアノ演奏、「日の丸」の位置や斉唱の強制など、市教委が強権的に進めてきたことを知っています。この作文コンクールについて市教委自身が「後援」していることを考えると、市教委は全ての責任を校長に任せ、逃げ切ることは許されません。各校長に問い合わせ実態把握し、事実にもとづいて回答すべきです。この点についても、再度市教委を追及したいと思います。

■この問題について、近く、大阪市教委と再度交渉を持つ予定です。日程が決まりましたらお知らせしますので、是非お集まりください。