お盆です。寺小屋では8月12日(日)より16日(木)まで、一部を除いてお盆休みをいただきますので、今日がお盆前、最後の授業日になります。
突然話が変わりますが、今から3年前なら、もし自分の子供が「社会保険庁」などのお役所に就職が決まったとしたら、親御さんはなんと言われたでしょうか。きっと多くの親御さんが
「将来の安定した堅実なところに就職してくれた。」
と、喜ばれたことでしょう。それがわずか3年の後に、これほど社会のバッシングに遭い、最もリストラが必要な組織の代表格のように言われ、職員の多くの人が将来に不安を持って仕事をしなければならない職場になると、一般の人の中で、誰が予想したでしょう。
でも、今から考えると、この「安定」だとか「堅実」だとか言う言葉が、実に曲者だということがよくわかります。
ここであえて申し上げたいことですが、「自分の生活の安定や、堅実な人生設計」のためだけに職業を選び、そのためだけに働いていくのだとすれば、早晩そういう人しかいない組織が腐っていくのは、当たり前だとおもいます。そこには結局、
「自分や自分の家族だけのため」
というエゴしか存在しないのですから。
お金を持った資本家たちが、自分たちの利益のためだけに労働者を酷使していた時代を過ぎ、労働者が自分たちの権利を守るために闘える時代へと、社会は進歩してきました。これからは、とにかく自分たちの要求を一つでも多く通すことが自分たちの幸せにつながるという考え方でなく、
「みんなの力をあわせてみんなの幸せを実現していく、その中で自分がどんな役割を果たせるか」
を真剣に考えていくべき時代だとおもいます。
塾生諸君に聞くと、「自分のやりたいことがわからない」と答える生徒がたくさんいます。それだけ生活に不安のない恵まれた状況にいるということでしょうが、同時に最近とみに、彼らのものを考える材料、視野の狭さを感じます。
「自分の好きなことをしていいよ」と言ってくれる物分りのいい親御さんの元、本当に自分のことしか考えずに将来設計をしていく。その中で、逆に自分が見えなくなっている子供たち。
今、もう一度子供たちには、「人は一人では生きられないのだ」ということ。「障害のある人も病気の人も。強い人も弱い人も。人は必ずだれかに必要とされて生きているのだ」ということ。「だから仕事とは、自分の生きる糧を得る手段であると同時に、自分の力や能力をそれを必要としている人達のために精一杯使わせてもらうことなのだ」ということを真剣に教えなければいけないと思います。
お盆は、ただ海へ行ったり山へ行ったりのレジャーのために使うだけの休暇ではありません。今の子供たちに一番大切な「本当の家庭教育」を取り戻す貴重なチャンスだと思います。
このブログを読んでくれた生徒諸君。あなたは、あなたの持っている力を、それを必要としているどんな人達のために、どんな風に使おうと思いますか? 一度真剣に考えてみてください。