信徒の部屋・青草の原・・・詩文によるキリスト教入門

讃岐にあるキリスト教教会の信徒による詩文集です。
各信徒が思い思いに詩文を連ねていきます。

「この夏のゴウヤ物語」 

2010-08-19 21:18:57 | キリスト教
「この夏のゴウヤ物語」    by みちこ

 この夏出会った本には、「人はなぜ、こんなにも庭仕事で幸せになれるのか -初めての庭の物語」(エイミイ・スチュワート著)という題が付いている。初めての庭仕事で出会った花々や野菜、人々との出会いなど、新鮮な感動と体験が素直に書かれていて、暑い夏に一服の清涼剤のようなさわやかな余韻が残っている。
 
 我が家では寝室の窓辺に、この夏初めてゴウヤ(苦瓜)を3本鉢植えで育てている。多度津駅の駅舎や、近所の畑でよく見かけてはいたが、ネットを吊す手間などが億劫で何となく敬遠していた。しかし6月中旬、思い切ってゴウヤの苗3本とネットを買ってきたのである。これもまた植物との出会いなのだろう!20センチほどの苗にはすでにとても細いつるが伸びてきていた。そっとやさしくつるをネットに絡ませてやった。そして毎朝カーテンを開けると一番にゴウヤを観察するのがこの夏の日課となった。

 ゴウヤ達はお互いに競うようにすくすくと育ち、アッと言う間に窓から部屋の中を覗き込むようになり、さらにはぐんぐん伸びて遂には屋根の瓦にまで届いたのである。そして、一面緑の美しい葉が窓を覆い、私が憧れていた緑のカーテンとなったのである。「ヤッター!」思わず叫んでしまった。久々の感動である。
 
 辞書によると、ゴウヤは同茎に雌花と雄花が咲くらしい。小さな黄色い花も愛らしくて、どんな風に実をつけるのか楽しみになってきた。やがてどこからか蜂たちもやってきて交配を手伝ってくれている。花が咲いた後、すぐにゴウヤの実が現れるかと待っていたのだが、いっこうに見えないので心配になってきた。夫は「実がならなくても葉っぱと花がきれいだから良いじゃないか。」とのんきに言っている。野菜作りが得意な友人に話すと「心配しなくても夏の日差しが強くなったら実が出てくるよ。」と教えてくれた。
 
 猛暑日が続いた7月末のある朝、いつものようにカーテンを開けて、緑のカーテンを観察していると何と5センチほどのゴウヤの実がぶら下がっているではないか!まるで「初めまして!お早う!」と言っているみたいに・・。「早く、早く。来て見てごらん!」と夫を呼び、二人でしばらく見とれていた。今年はゴウヤ達からこれほどの楽しみと喜びをもらうとは思ってもいなかった。たくましくどこまでも伸びるつたと緑の葉っぱ、黄色い花、そして見かけはイボイボのあまりきれいでない実ではあるが何ともいえない味。ジュースに、おかずに、漬け物にと食卓を豊かにしてくれている。「ゴウヤ達、本当にありがとう!」そして、「すべてのものを育ててくださるのは主である。」と、改めて感謝を覚える日々である。