カードキングダムブログ
全国チェーンのカードゲームショップ、カードキングダムです。
 



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東京、大阪、名古屋にて、ブシロードさんの「流通向け発表会」があった。
(「流通」ってのは、お店や問屋さんの事やね。)

社長自らがユーザーの目の前に出てきて、色々と説明、発表するとてもフランクなブシロードさんだが、今回は完全に業界向け。それだけに、結構濃い内容だったぞ。

僕   「これはブログなんかで記事にして良いんですかね。」

木谷社長「いいですよ。というか、ぜひ記事にして下さい。(笑)」

と言われたので、そうする。

で。いつものことながら、書いてるとどんどん長くなってしまった。仕方無いので、前後編に分けてお伝えしたい。

ブシロード商品に興味のない人にとっても、ぜひ聞いてほしい話もある。よろしければお付き合いいただきたい。

それでは。

■発表会内容

参加者全員に配布されたパンフレットの目次によると、発表は大きく二つに分かれている。

前半・今後のブシロードのカードゲーム戦略(2項目)

○カードゲームインフラ強化計画
○カードゲーム人口3倍増計画

後半・各カードゲームごとの戦略(4項目。ブシロード各TCG)

さて、順番にお伝えしよう。


カードゲームインフラ強化計画・・・「カードゲームとは、インフラビジネスである」

木谷社長が矢継ぎ早に発表する。

大会の回数を増やします。

年3回の全国大会の定着、会場の拡大。2010年には、地区決勝を全国16か所に増やします。」

「決勝招待者の秋葉原までの交通費はブシロードが負担します。

時期的にも、コミケに参加しやすいところなので、ぜひ利用して頂きたい。(笑)」

「情報提供を充実させます。

ホームページ、携帯サイトの更新を強化。雑誌とのタイアップの充実と継続。」

「ユーザーサポートの強化。土日の電話受付は継続します。
メールの返信、景品の発送など、全て『早く正確に』を目指します。」

「店舗支援も強化します。名古屋、大阪、福岡に社員を常駐させ、地方各店様に伺う回数も増やしていきます。
また、早売り、不正大会などに厳しく対応し、優良店舗様にはプロモーションパックの配布数等で貢献させて頂きたいと考えています。

『正直ものが馬鹿を見る』ではいけない。

1ページめでの基本発表は、以上だ。


「カードゲームとは、インフラビジネスである。」

と喝破したのは、約5年前、ディメンション・ゼロを立ち上げた時の木谷社長だ。

カードキングダムホームページを昔から読んでくれていた人なら、あの連作記事“毎日ディメンション・ゼロ”を読んでご存知だろう。

しかし、アレからずいぶん経つ。カードショップやTCGユーザーにとって大切なことだと思うので、もう一度簡単に説明しておきたい。

“インフラビジネス”とは、「物を売って、おしまい」という商売ではなく、

「買って頂く物を有効利用するための、“基盤”“設備”を整えて、それを維持する事も含めてビジネスとする」

という考え方だ。

つまり、水道局は水を売っているが、水道菅などの開通、整備も含めてビジネスだ。

携帯電話メーカーも、電話を売るだけでなく、その後のサポートも仕事だし、そもそも通信費を徴収するのも含めてビジネスだ。

木谷会長はそれを踏まえて、

「カードゲームは、カードそのものを売って、はい、おしまい、あとは勝手に遊んでください、という商材ではない。

トラブル無く遊べるよう、ルールを整備し、バランス調整に責任を持つ必要があるし、各種公式・公認大会も、仲間を増やすきっかけ、プレイのモチベーションの維持、勝つ事の意義を作る権威付けとして、積極的に行うべきだ。

そうした、『メーカーが責任を持ってサポートします』という姿勢を見ていただくことで、お客様は安心して、そのゲームを始める事ができるのだ。」

と発言した。

この考え方を、僕は「カードゲームとは、投資のゲームだ」と表現している。
(投資=今後の利益を考えて、お金をかける事。この場合の利益とは、「どれだけ楽しめるか」である。)

このカードゲームは“信頼”できるのか。ただ人気のキャラクターを乗せて、ブームに乗じているだけの紙切れではないのか。

メーカーだけでなく、カードゲームそのものを作っている“制作会社”は有能なのか。今までに作ったゲームは、バランスやエラッタの対応はしっかりしていたのか。
(ほとんどのTCGは、メーカーが作っているのでは無い! DMはタカラトミーではなくウィザーズオブコーストがメインだし、ヴァイスシュヴァルツは遊宝洞、遊戯王もガンダムウォーも全部「メーカーが直接デザインしています」とは書かれていない。つまり、メーカーだけでなく、製作会社も合わせて考えないと、ゲームは判断できない)

もちろん、「投資のゲーム」という言葉には、「早いうちに有効なカードを見つけ、先に集めることの大切さ」という、ミニマムな「投資」の意味も含まれている。

しかし大本の、
「そもそも、そのTCGを始めるべきなのか、どうか。つまり投資すべきか、どうか。」
という判断には、

「インフラビジネスとして、信用できるかどうか」

も含まれるべきなのだ。

端的に言うと、TCGをあまり知らない人が多かった時代は、あまり信用できない商品を「つかまされて」きた。

今後はそうではない、いや、そうあるべきではない、少なくとも自社の製品はそうでない物を目指す。国産のメーカーとして、初めて外部にそう明言したのが木谷社長なのだ。

発表会のスタートにそのテーマを再び持ってきたのは、木谷社長が数年の間、「ぶれていない」事の証左と言えるだろう。


■カードゲーム人口3倍増計画

「カードゲームの市場は、まだまだ大きくなるはずだと考えます。」

木谷社長はこう言う。

子供のころにカードゲームに触れた人は、その後も続ける可能性が高く、そこに年齢が下の層が始める機会が増えれば、合わさることでプレイヤー人口は雪だるま式に大きくなるはずだ、という考え方だ。

木谷社長は、その具体的な手段の一つとして、ターゲットを五つの層に分け、その各々に対してアピールしていく手段を明示した。

○既存TCGユーザー層
継続的・魅力的なタイトル、面白いゲームの提供。

○非TCGユーザー オタク層
様々な大型イベントでの露出機会を増やし、強力にアピール。

○一般若年層 ○女性層
大量スポットCMの投下。一般の目に付く場所での、インパクトのあるサービスステーションの設立。

このテレビCMだが、効果が薄いという意見に対し、木谷社長は「視点が違う」と語る。

「テレビCMはどちらかというと、『ユーザー以外の人達』に届いている。
やはり広範囲な、ユーザー以外の人達にはテレビCMの効果は絶大で、他業界の方々から『カードゲームは元気ですね!』と受けとってもらえる。そうすると、参入タイトルの話も向こうから持ってきて頂けるようになる。」

という。

○小学生男子
2011年から、子供向けプロジェクトスタート。

個人的に一番わくわくしたのは、ずばりこの発表だ!

「2011年に、子供用カードゲームのプロジェクトを始動予定!!」

カードキングダムは、カードゲーム専門店として、可能な限り多種類のTCGを広く深く取り扱っているが、普通のTCG専門店と比べて、子供用カードゲームの充実度を高めているのが特徴だ。

デュエル・マスターズや遊戯王、バトルスピリッツなどのシングルカードは、フルコンプリートファイルで取り扱っているのはご存じの通り。

で、僕はずっと昔から、「子供用TCGはもうちょっと色々あったほうが、業界的に落ち着くはずだ」と考えている。

大多数の子供は、「流行っている物」の中で、「勝てなくなる」と別のものをはじめ、そこでも勝てなくなると、また別のものを始めてしまう。

「将棋」が流行ると将棋をはじめ、クラスで誰も勝てないチャンピオンが生まれると「サッカー」をはじめ、実力差がはっきりしてくると、勝てない子供が「魚釣り」を始める・・・といった具合だ。

玩具業界では、そうした子供の動向というものは常識で、玩具の流行りも、そうした中でぐるぐる回る。で、これがカードゲームでもピタリと当てはまる。

実のところ子供用カードゲームの売上が最も高かったのは、“DM”と“遊戯王”と“ガッシュ”の三者が競い合っていた頃なのだ!

クラスで遊戯王が流行り、勝てない子供がDMを始めて・・・そこで決着がつくとガッシュに行って・・・また遊戯王に戻ってきて、と、ぐるぐる回っていた。

最低三種類あると、「カードゲームの中だけで」回れるようになるのだ。
(ふたつだけで「行ったり来たり」だと粘度が低く、途中で別のホビーに行く事が多くなる。)

今、第三のゲームとしてバトルスピリッツがあるじゃないか?という人もいるかも知れないが、僕はちょっと違うものを感じている。小学校高学年以上で、バトスピを続ける子供は意外と少ない。DMや遊戯王ほどには、上の世代にまで伸びていないのが現状だ。

その理由については長くなるのでここでは書かないが、バトルスピリッツは、DMや遊戯王とは違う所から、より低年齢層の子供達(と、お父さん)をカードゲームに引っ張ってきてくれた、という点が素晴らしいと思う。

が、小学校高学年~中学生がぐるぐる回る、遊戯王やDMのユーザー層とは、ちょっと違う様子だ。

ブシロードが企画しているTCGは、木谷社長によると、DMや遊戯王のように、

「高校生以上のカードゲームユーザーも、ゲームとして楽しめる」

という、「始めやすくて奥深いゲーム」を目指しているらしい。

そう!まさにそこ!僕としては、そこの客層に向けたゲームが欲しいところだった。

求められる物は、「長く続く安心感」と、「文句のないゲームバランス」だ。

DMはその二つが優れている。遊戯王は、長く続いている安心感と、キャラクターの魅力、そして何より、「遊戯王でしか味わえないスピード感、爽快感」、つまりオリジナリティの高いゲーム性だ。
(出た当初MTGのパクリとか言われた遊戯王が、今や最もオリジナリティの高いゲームのひとつと言えるとは・・・)

製作は、ゲームデザイン、バランス調整に定評のある遊宝洞で、販売、企画、サポートが、

「TCGはインフラビジネス!」

と言い切る木谷社長率いるブシロード!

これは大いに期待できる。カードキングダムとしても、お勧めできるゲームになる事を楽しみにしている。

さて、ちょっと一息入れよう。後編に続く。



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