コンサルタントのネタモト帳+(プラス)

ビジネスにも料理にも役立つ“ネタ”が満載!社労士・診断士のコンサルタント立石智工による経営&料理ヒント集

リスク管理:“東証システム障害”と重複上場

2005-11-02 | 経営実務
東京証券取引所で、システムダウンによる取引全面停止という大変なトラブルが起こってしまいました。どうやらシステム増強時の設定(プログラム?)ミスが原因ではないかと言われていますが、まだ真の原因は調査中のようです。

最近、このての「システム移行に伴う障害」が多発している感がありますが、このような記事を見るにつけ個人的には「なぜ、レガシーシステム(旧システム)をバックアップとして使える体制にしておかなかったのか?」ということに疑問を感じてしまいます。その点、先日の気象庁のトラブルは、2時間という時間はかかったものの、障害復旧が迅速に進んだ点では評価できるものだと感じました。

さて、私は今回のトラブルを「上場している企業」サイドからみてみたいと思います。上場している企業にとっては、このような「市場での株式売買が出来ない!」となると、その影響がどのような形で株価形成に影響するのか全く分かりません。今回の場合は「再開後、株価が概ね高くなった」という結果になりましたが、これも「Uncontrolable」な要因であったことは間違いないわけです。安定した経営を目指すのであれば、このような事態は望ましくないといえましょう。

逆にいえば、上場企業は必要に応じて「証券取引所のインフラ機能」が停止することも見越したリスク対策を講じておくことも必要になることが、今回浮かび上がってきました。実際、大証や名証へ重複上場している一部の上場企業の株式については、重複先の市場での取引が行われています。(おかげで、大証はかなりのシステム負荷がかかったようですが・・・・)

これまで、上場維持コスト負担等の家根合から、重複上場を廃止する上場企業が多く見まれました。しかし、今回のような「不測の事態」が起こってしまうと、単一市場で上場している企業の株式は取引できなくなってしまうのです。そうすると、投資家にとってみれば、若干とはいえ「安心して取引できる状況」が減ってしまうことになり、「投資先の選定」にあたって一瞬のためらいが起こる可能性もあります。

「市場インフラ機能の停止」はもちろん本来あってはならないことなのですが、全ての事態に備えて完全な体制を築くことはできません。そうすると、上場企業側自身が出来る範囲で、「リスク対策」を備えることも必要な面があります。その意味において「重複上場」は、取引インフラに冗長性を持たせることができ、今回のような「インフラ停止」という非常事態への対策となります。こう考えると、「重複上場」にも「IS(Investor Satisfaction:投資家満足)」を高めることに繋がるいくばくかの価値があるのではないかと、私は考えます。(もちろん、最後は「リスク」と「コスト」のバランスで決定されることではあります。)

ただ、この「冗長性」は国内の証券取引所が同一システムで動いていると意味がなくなってしまいます。現に、今回の障害では、同一システムを使っていた札幌・福岡の証券取引所も止まってしまいましたので、今後の「証券取引所機能の担保」という面で検討の余地があると感じます。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
100万回に1回でも (Dakiny)
2005-11-02 06:40:01
ダムの放流のプログラムを作っていた人が言った。



100万回に1回のミスがあっても人が死ぬ。

だから100万回に1回のミスがあっても行けない。



要は作業に関わる人たちの考え方の問題。



失敗した時どういう状態を招くのか…

考えが足りなければ、起こるべくして失敗は起こる。



つまり人為的ミス。
返信する