タローの犬小屋DX

僕は、何を探しているんだろう?
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仕事について考える

2010-06-17 23:02:04 | 日々
その女、規格外。



僕に初めてできた後輩は、何もかも想像を上回るニュータイプでした。一つ一つを説明すると本当にキリがなくなるので、大まかなところだけ言うと、「空気読めない」「仕事が雑」「22歳に見えない」「目つき悪い」「余計なひと言がイラッとする」ってな感じでしょうか。ここまで「ダメ、合わない!」と思う人は初めてかもしれない。そもそも、そんな人とはまず接触を避ける。だがしかし、職場の後輩とあっては関わらざるを得ない。
四月からの僕といえば、後輩の突拍子もない行動に驚くばかりの毎日で、珍しくイライラしっぱなしで「おぉ、これが胃が痛むってやつか?」と初体験した気がする。でも、後輩のことは僕にすべてお任せらしく、上司や周りの同僚は一定の距離をとって観察しているような状態。「みんなで育てていこう」って言ったじゃないですか(泣)! 投げ出せるものなら僕も投げ出したい…。

人を教えるということの難しさを、日々噛み締めています。
やっぱ僕には教師なんて向いてなかったんだろうなぁ、なんて。

先日、後輩と二人きりで出張に行くことがあり、いい機会だと思って話をしてみた。(それまで仕事以外の話はほとんどしなかった僕も社会人としてどうなの、って感じだけれど)どんな音楽を聴いているのかとか、普段は家で何をしているのかとか、そんな普通のこと。で、問題は「なんでここに入ったの?」っていう質問をした時のこと。

彼女曰く、

・週休二日
・育休産休がとれそう
・潰れそうにない
・家から近い

とのこと。

まさにジェネレーションキャップ。あわわ。

そりゃまぁ、仕事を選ぶ基準なんて自由だ。給料に惹かれようが勤務形態に惹かれようが、それは個人の自由な選択。僕が「文章を書く仕事がしたい」と思うことも、他人からしてみれば理解不能かもしれない。だから、後輩が「安定」を求めて就職したのだとしても、今の編集という仕事に特別な思いがないのだとしても、それは仕方がないし、僕がどうこう言えることではない。もちろん非難できることでもない。そう、彼女は間違っていない。
でも、僕は自分と彼女との間に、想像以上の隔たりがあることに今更ながら気づいて、何も言えなくなってしまった。それまでは、小さい職場ではあっても編集者を志して来たのなら、僕も僕なりに育てていかなければいけないと思っていた。原稿を真っ赤に直して嫌な顔をされても、それが次に繋がるなら構わないと思っていた。直されて直されて、最後に自分の納得のいく記事ができた時、必ず得るものがあると知っているから。

だけど、その思いは結局、無意味だった。



僕にとっての「仕事」と、後輩にとっての「仕事」。
それらは、深い谷によって絶望的に隔てられている。

その距離を埋める術を、僕は知らない。

TEASI

2010-06-16 00:34:10 | 音楽
TEASI

最近、めっぼうハマっているバンド。タワレコでたまたま手にとって試聴して、ピンときてCDを買った。聴けば聴くほど、その深さを知る。今まで僕が好んでいた激しい音ではなくて、まるで水や風のように緩やかに流れる音楽。音が鳴らないことさえも音楽にしてしまう。
ここのところ、毎晩、眠る前にヘッドホンをつけて聴いている。本当なら早く寝なければいけないのに、少しでも長く音楽に触れていたくて眠ることができない(もっとも疲れている時には、いつの間にか夢の中だけれど)。音楽の波に呑まれて、どこまでも溺れてしまいたいと思う。

ぜひ聴いてほしい。

告白

2010-06-13 18:57:35 | 日々
もう先週のことになるけど、映画「告白」を観た。

告白
松たか子 岡田将生 木村佳乃
監督:中島哲也 原作:湊かなえ

公開して一週間。この映画、かなり評判がいいらしい。確かに、過激な内容は人々の注目を集めるし、主演の松たか子は演技に定評がある。何より監督がいい。でも、映画化が決まってから、僕が気になっていたのは「あの原作をどんな映画に作り上げるのか?」ということ。一つの事件を複数の人間の視点で、しかもすべて独白という形で進める原作は、どのような映画になるのか。
結果的に、予想外(少なくとも僕にとっては)の作品が生まれた。原作をうまく生かしながら、観客を置いてきぼりにすることなく、巧みにエンディングへと導いた脚本は秀逸だ。それに、とにかく映像が美しい。暗いストーリーにもかかわらず、うっとりしてしまう。むしろ映像に気をとられて話の内容に追いついていかないくらい(笑)。いやはや、素晴らしいなー、あれは。

ただ、原作を読み終わった後に感じた気持ち悪さはなかった。映画は、あまりにエンターテイメントとして完成されていたように思うから。 というか、この作品のテーマが「命の尊さ」だという声を目にすると、なんだか違和感を覚えてしまう。復讐ものとして、どう許すか、どう裁くか、というのは「命の尊さ」と密接に結びついている問題だろう。そういう意味で、今回の映画で松たか子演じる森口先生の苦悩と選択は、観客側に否応なく正解を考えさせる。
でも、僕が原作を読んだ時、そのテーマは「悪意」だと思ったんだよね。どこまでも露悪的で、人々を嘲るような文章は、まさに「悪意」そのものじゃないだろうかと。感じ方は人それぞれだし、僕の読みなんて浅いに違いないけれど。まぁ、小説と映画は別物だし、とにかくこの映画はいい作品だった。う~ん、もう一回観たい。



あ、ちなみに音楽もよかった。Radiohead、初めて聴いたよ。