送電鉄塔の見える場所

稜線の向こうに消えてゆく鉄塔の列はどこへ続いているんだろう

紅白鉄塔の深まる謎

2010-12-06 01:38:08 | 雑記
このブログ、開設して1年が経ちました。だんだん訪れて下さる方も増えてきています。誰も来なくても情報を出し続けるつもりで
始めた事でしたが、やっぱり来て頂けると嬉しいものですね。とても励みになります。
内容は相変わらずの妄想炸裂&写真がダメダメ&更新が遅くて申し訳ありません。少しずつでもレベルアップしていきたいなぁ。
どうやら年明けに自分専用のPCが手に入りそうなので更新頻度はちょっぴり改善できる・・・かな?

      

第1回の記事は「紅白鉄塔の謎」。でも謎を解決しようって内容じゃなかったし。あの時先送りにした問題は解決できたのか?
1年の間にいろいろなことを知ったので改めて取り上げてみた。ほったらかしてた訳じゃないんですよ~。
あの時点では答を見つけられなかった「紅白の鉄塔って何?」については、その後「航空法」「航空障害灯」「昼間障害標識」という
キーワードにたどりついて大体分かってきた。つまりこういうことらしい。
「航空法の規定で、高さ60m以上の鉄塔には紅白塗装を施し夜間は赤色のライトを点灯して航空機からはっきり視認できるように
しなければならない。ただし数年前の法改正で昼間でも白色のストロボを点滅させれば紅白塗装はしなくてもよいと変わった。」
なるほど~。鉄塔自体の高さなのか。山の頂上だからとかじゃないんだ。紅白塗装(昼間障害標識)と赤ライト(航空障害灯)とが
セットな訳ね。でも赤ライトにも点滅するのとしないのとがある。それに赤ライトのない紅白鉄塔も存在してるよ。どういうこと?

         
            手前から220kV熊本緑川線36号、35号、34号。           若番方向から35号と36号。

ライトの点滅のことはすぐ判った。塔高が60m以上90m未満なら点滅なし、90m以上150m未満なら頂部のライトが点滅あり。
150m以上になるとストロボ設置が必須で紅白鉄塔ではなくなってしまう。
航空障害灯が免除になる場合もある。平地に紅白が並ぶ時は両側を紅白に挟まれた1本には取り付けしなくてもいい。
上の画像がその例。3連続紅白のまん中のに航空障害灯がない。右の画像で奥の鉄塔にだけ点灯してるのが見えるかな・・・
以前の記事(2010-09-28「もうひとつの苓北火力線」)でちょっと触れた苓北火力線旧206号も似たような例だと思うんだけど
あれは平地じゃないし一直線上でもないし。いささか疑問。別の条件があるんだろうか。

  

で、これが解らない。川を挟んで立つ500kV中九州幹線92号(左)と93号(右)。どっちにも航空障害灯はない。夜は真っ暗だ。

           
          
この2本だけが紅白で前後はライトグレーだからさっきの例とは違う。そもそもこの2本、とても60m以上あるようには見えない。
最下段の腕金なんて塔高の半分より下だし、見た目も明らかに91号や94号より低いのに。なぜこれが紅白なんだろう???
 
 
                  下流の橋から見た220kV熊本南熊本線125号(白い方)と126号(紅白)

同じく謎の鉄塔。こっちは60mあるのかな?微妙だなぁ。川越えの鉄塔という共通点があるので河川管理関係でも建築物の
塗装について規定があるのかと思ってざっと調べてみたんだけど、そういうのでもないみたい。
もうこうなったら原点からアプローチするしかない。まずは航空法をきちんと読んでみよう。
白状すると航空法は全部は読んでません。でも第五十一条(航空障害燈)と第五十一条の二(昼間障害標識)は読んだからね。
法律そのものは「骨」であってそれだけでは具体的なことは分からない。なので次に施行規則を見る。こっちはかなり具体的だ。
ふむふむ。塗色の仕方も灯火の種類や位置もめちゃくちゃ細かく決まっているんだな。
あれ?「昼間障害標識を設置しなければならない物件」の中に「国土交通大臣が告示で定める架空線 」っていうのがある。
もしかしてこれかな?さて、どう定められてるんだろう。さらにほじくり返していたら「航空障害灯/昼間障害標識の設置等に関する
解説・実施要領」というものを見つけた。これは細かい!表や図解で詳しく説明してあって素人にも(どうにかこうにか)理解できる。
これを読むと告示で定める架空線とは「次の図に示す区域内にあり」、主要な道路・河川・鉄道などと交差しているもの、海上に
あるもの、を指すようだ。「次の図」は東京か大阪の航空局でしか見ることができないようなので絶対これだと断言はできないけど
これっぽいとは言えるだろう。
中九州幹線も熊本南熊本線も跨ぎ越しているのは一級河川緑川。主要と見なしてもいいんじゃないかな。鉄塔そのものは60mも
なくても川岸の小高い場所に建っているから最上段の架線は水面から60m以上ありそうだ。ならば架空線の両端の支持物つまり
鉄塔に塗色をしなければならない。航空障害灯についての規定はないので設置は不要。これにて一件落着~。
・・・してないじゃん!中九州幹線の例はいいとして熊本南熊本線。片っぽだけが紅白ってのは両端とは言わないよ?

     

見てのとおり125号と126号は高さが全然違う。125号は220kV鉄塔としては低い部類。しかも126号の敷地が丘の上なのに対して
125号のは堤防の下だ。堤防の上の道路に立つと鉄塔上部までが異様に近い。ヘリ巡視用番号札の存在に初めて気付いたのも
この125号だった。塔高が低くて上空からよく見えないのなら塗色なんか無意味ってことなのかな。実際、橋の上からだと下1/3は
見えないでしょ?規定には視認可能な部分が30m未満なら塗色は省略できると書いてある。代わりに架線に直径50cm以上の
赤と白の玉を45m間隔で交互に設置すればいい。でも、そんなもんどこにも付いてませんけどー?
これが未だに残った問題なんです。どなたかお解りの方いらっしゃいますか?