べんきょうなせん(='ω')

べんきょうは論理で考えるトレーニング
熊本県山鹿市中高大学受験の "あすく" です

リンゴと地球はひっぱりあってる(6)|ニュートンさんもまちがってた

2010年09月05日 | 理科
 続きです。前回は「力」の式を使い、宇宙空間で重力がゼロになることを考えました。これは正しい?

 質量(しつりょう)は、宇宙空間でもどこでも変わりません。宇宙でどこにも落っこちない状態では、加速度がゼロです。

(力) = (比例定数)×(物体の質量)×(物体に生じる加速度)

 ゼロのかけ算では答えもゼロ。重力も力なので、この式から重力がゼロになることが予言(よげん)できます。これは理論です。

りろん【理論】
原理や法則をもとにした、筋道の立った考え。実際におこなう行為(こうい)に対する、理屈に合った考え。「理論と実践」「理論と実証」「理論と実験」

 ここからは、実際に観測をする必要があります。天体どうしが引き合う力を計算し観測をして確かめていきます。

 この計算をして確かめた人がニュートンさん。「万有引力(ばんゆう・いんりょく)の法則」を、数学で証明(しょうめい)して見せました。

 地球や月がたがいに引き寄せる力を持つならば、質量の小さなリンゴも小さな「引き寄せる力・引力」を持つというのです。

「すべての物体はたがいに引き合い、その力は引き合う物体の質量の積(せき・かけ算)に比例し、距離(きょり)の2乗(にじょう)に反比例する」

 もっと小さな水の分子(ぶんし)どうしも引っぱり合って、丸い水玉になろうとします。わたしたちの身のまわりの現象は、だいたいニュートンさんの言うとおりと思っていいでしょう。  


 ここで問題です。引力など「力」の大きさが質量に比例するとして、質量を持たないものの引力はどうなるのでしょう?

 世のなかには質量がゼロの存在(そんざい)もあります。たとえば「光」です。空気などを振動(しんどう)させて伝わる「音」とちがい、なにもない宇宙空間でも伝わります。光はたしかに存在し、あたるとあたたかい。

(力) = (比例定数)×(物体の質量)×(物体に生じる加速度)

 物体の質量がゼロのかけ算ですから、ニュートンさんが正しければ力もゼロになるはず。これは理論です。

 ニュートンは「すべての物質は物を引きつける性質をもつ」としましたが、アインシュタインはこれを「物質はすべてエネルギーを持ち、エネルギーは物質量を持つ、よってエネルギーは物を引きつける性質を持つ」とします。

 アインシュタインは、光子 (photon) はエネルギーを持つので重力によって引きつけられるはずだとします。だとすれば、太陽の近くを通る光は太陽の重力に引きつけられて曲がるはずです。太陽はたいへん大きな質量をもつため、この近くを通るものは光でも引きつけられると予言しました。これは理論です。

 ここから観測です。ふだんは観測しにくいため、日食の日が選ばれました。その結果は…

アインシュタインと重力レンズ(パソコンむけ)

  
 1642年生まれのニュートンさんは江戸時代ごろのひとですから、質量を持たない光までたどりつけずにまちがいもあったんですね。

 身のまわりの自然現象(げんしょう・出来事)を観測し式をたて、比例や反比例といった数学を使い予測をして、ふたたび観測で結果が正しいかを確かめる。こうやって科学は進歩します。

 科学とは用意された答えを覚えることじゃありません。ヒトはまちがいますから。おたがいに確認しあいながら、正解に近いと考えられることを試していくしかないのです。

 次回、タイムマシーンの登場です。(塾長)


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