私は日本の成長戦略の1つとして、日本の医療サービスを海外へ展開していくことが必要と思っている。被援助国の中でラオスに焦点を当ててラオスの医療制度の形成過程を調べることは、わが国が今後、国際的な医療協力を行う際や成長戦略の一環として海外へ医療サービスを展開していく上で意義深いものと考えて、このたびラオスへ現地調査へ赴いた。
ラオスには2つの国立総合病院がある。そのうちの国立マホソット病院を訪問した。事前に最先端の病院と説明を受けたが、実際に現地へ行ってみると日本の40年前のような印象を受けた。集中治療室ICUといえば病院の中でも緊急の患者に対応する重要な場所だが、十分な設備もないまま治療を行わざるをえない状況にあるのがよくわかった。
地域医療の現場を見るために、ヘルススポットという郡の病院の出先機関のような施設も訪問した。看護師2名がいたが、実態は住民の要望応じてカゼぐすりなどを提供しているに過ぎないという。国としては戸籍も税金もあることになっているが彼女らによると戸籍はなく税金も払っていないそうだ。つまり、国として社会の基礎がない状況で医療を行っているのだ。
ラオスの日本大使館でも現地の医療について話を聞いたが、ラオスの富裕層は自分の国の医療をあてにしていないそうで、非常時にはヘリコプターで隣国のタイへ治療に行けばいいと思っているとのこと。また国際協力機構JICAの現地スタッフの話を聞き、ラオスは多くの国がそれぞれの都合で援助をしてくるため国全体の医療制度が混乱をきたしていること、そのためもあって独自の医療制度を構築する意欲が薄れてしまっていることがわかった。
私の政治家としての大きなテーマは「命に格差なし!」であるが、ラオスには命に大きな格差がある現実を目の当たりにして大きな衝撃を受け、大変残念に思った。今回のラオス視察を通じて、今後も微力であるが地球上から「命の格差」を少しでもなくすべく努力したいと改めて感じた。