休。

休止中。

コンビニ哀歌。   -猫-

2007-05-13 19:59:18 | Weblog
前の家に一人で住んでいるときの事だった。

深夜、近所のコンビニで立ち読みしつつ買い物なんかしてたら、店に入ってきた客が扉を開けた隙をついて、猫が一匹紛れ込んできた。
小汚い、大きくも小さくもない、どこにでもいるような猫。
昔、小学校に犬が紛れ込んだりするとちょっとした騒ぎになったりして、よくわからんけどアイドル扱いされたりしたのを思い出す。俺の会計を済ませた店員が追い出しにかかる。逃げたり暴れたりということもなく、淡々とした足取りで出て行った。ちょうど店を出る俺と同じタイミングで。
偶然と言うか、俺と猫は方向が同じだった。速度もほぼ同じ。歩いて三十秒くらいの道を同行した。

玄関に入ったところで、右足の靴をすぐ脱いでドアに挟む。入ってくるかな、と思いながら、ケンケンで居間まで小さく飛んだ。灰皿を玄関まで持ってきて煙草に火をつけたところで、玄関の隙間からぬるん、と滑り込んできた。俺は静かにドアを閉めて、狭い玄関のさらに隅っこに陣取った猫を驚かせないように居間へあがった。
何か、食わせるようなものはあっただろうか。コンビニの袋を覗いた。シーチキンぐらい食うだろ。醤油は、垂らした方が良いんだろうか。少し迷って、二缶買ったうちの一つを開けて、半分ほど床にこぼした。猫はちまちまと近寄ってきて、シーチキンを食っている。がつがつした感じではない。そんなに腹は減ってなかったのかもしれない。寒さよけで入ってきただけかもしれない。小皿に水を貯めて出してやる。
シーチキンの残りの入った缶と、後は忘れたが猫が食えそうな物を適当に床にばら撒いた。食うのを見てるだけだ。缶に抵抗があったのかもしれないが、猫は、缶に入ったシーチキンには手をつけない。玄関に散らばった他のお菓子なんかを食べている。俺が箸でこそげ落として、床にこぼしてやると、食うのだ。そんなに好物でもないのか。勘違いかもしれないが、何となく客の節度、或いは遠慮を感じた。
俺も腹が減ってたので、おかずパンを同衾する。無言だ。別に勝手に擬人化して話しかけたりしない。そこまでの歴史は無い。ただ、お互いに食うだけだ。頭を撫でたりもしない。皿に水を注ぎ足して、日が差したら出て行くだろうと、ドアにスリッパを挟んで隙間を作り、二階へあがった。

当時は無職で、次の日は十時くらいに目を覚まして、だらだらと歩きながら玄関をちらっと見たら、猫は蹲っていた。案外ずうずうしい奴、と、一瞬苦笑した。唇を正したのは、死んでいるのに気付いたからだ。
俺は動物なんて飼ったことないし、猫の具合とかそんな細かい事はわからない。すでに寿命だったかもしれない。病気だったのかもしれないし、昨日あげた食い物が悪かったのかもしれない。何が悪かったのかも、ここで死ぬのが良かったのかどうかもわからない。

淡々と作業した。猫を抱えて、家の前の公園に墓を作った。祖母が使ってた錆びだらけのスコップで、木陰に小さな穴を掘って、少しでも寒くないように新聞紙を敷いた。猫を静かに置いて、「ありがとう」とだけ言った。何がありがとうか分からないけど、とにかくそう言った。上から土をかけて、その気になったら出てこられる程度に平らに叩いて慣らし、家に戻った。


火曜日か水曜日あたりに、少し遠出します。それまでに一回くらい更新するかも、しないかも。あんまり期待しないで待っててくださいね><b

童話には夢が一杯詰まってるものです。

2007-05-06 23:06:57 | Weblog
 あるところに、怠け者の男がいました。
 男は定職にもつかず、年老いた両親には泣かれ、料理人の弟に馬鹿にされながら暮らしていました。
 ある日、職場のえらいさんを罵ってバイトをクビになった帰り道、近所の森で段ボール箱を見つけました。開けてみると、なんということでしょう。そこには箱一杯の一万円札が入っていました。男が驚いていると、後ろから立派なスーツを着た男が現れてこう言いました。
「このうらがねのそんざいをだまっていてくれれば、あなたにはんぶんあげましょう」
 男はぶんぶん首をたてに振って、半分のいちおくごせんまんえんをもらいました。もらう時に、調子に乗って、
「あと五千万プラスしてくれませんか」
と言ったら、男の停めてあった車から大きな手下がたくさん出てきたので一目散に逃げました。
 その後、男は両親のためにマンションを買い、いつも自分をばかにしていた弟に、
「せいぜい小金貯めろよ、丁稚」
と声をかけてあげて、末永く幸せにくらしましたとさ。



仕事中の悪ノリで出た話をほぼそのまま書いてみたけど・・・やっぱりロクデナシは救われんでいいわ('A`)