12時間Blog

映画とかマンガとかドラマとか

[海外ドラマ] ブレイキング・バッド

2014-07-25 | 海外ドラマ

Breakingbad

huluにて視聴

オレが定額見放題サービスの hulu を契約している主な理由である「ウォーキング・デッド」と「ブレイキング・バッド」の二作品の一方が遂に最終回を迎えました(ノД`)

”これまで平凡な化学教師として慎ましく生きて来た主人公が末期ガンを宣告され、残された数少ない時間で家族の為に何が出来るかを考えた結果、高度な化学知識を活かして誰も見たことの無い麻薬を製造・販売する事を思い立つ……”

と、いうのが「ブレイキング・バッド」の導入なんですが、何とも分類のし難いドラマです(汗)

上にある、下半身がブリーフ一丁の中年オヤジが銃を持っているキービジュアルだけを見て、果たしてどのようなドラマなのかを想像出来る人はまずいないでしょう(苦笑)

クライム・サスペンスが基調であるのは間違いないんですが、その背徳的な設定から序盤のシーズンはブラックなコメディでもあり、中盤からはヒューマン・ドラマの色彩が濃くなったかと思うと、終盤では一級品のミステリーのような謎を追う展開になるなど、実に最後の最後まで視聴者を飽きさせない工夫に充ち満ちているドラマでした

5シーズンで全62エピソードと決して短くはない尺なんですが、基本的に主人公一家と義理の弟夫婦、麻薬製造のパートナー、協力させられる弁護士、それに麻薬組織に関連した人物がいるくらいで十人にも満たない登場人物しかメインで登場しないというコンパクトな脚本にまとめられていて、それなのにこれほどの深い人間ドラマが描写されるとは……と、最後まで見終えて改めて驚いている所です(゜д゜;)

向こうのドラマの製作スタイルとして、人気があれば際限なくシリーズが続けられる(逆に無ければあっさり打ち切られる)ことの弊害として、無理矢理な引き延ばし脚本に見てる方の気持ちが冷めていく一方になったりする残念なケースも多いんですが、このドラマの場合はスタッフ側からのキッチリ終わらせるべきタイミングで終わらせたい~という要望が叶えられたのだそうで、これまでオレが見て来た全ての海外ドラマの中でもトップクラスの終わり方を迎えた幸せな作品だったのは間違いありません(視聴者から史上最高の評価を得ているというデータもあるようです)

平凡な一市民が(やむを得ない事情があるとはいえ)慣れぬ悪事に手を染めると一体どういう事になるのか、自らの内面や周囲にどのような影響を及ぼすのか、ある種のシミュレーションとしても非常に興味深いドラマになっていますので、上質の連続ドラマを探している人には是非ともオススメしたいです( ゜∀゜)o彡゜

日本では何故かDVDがシーズン2までしかリリースされていなかったようなんですが、8月6日に別の販売会社から改めてシーズン1からリリースが始まるようなので、レンタルででも見かけた際は是非!!!




以下ネタバレ感想:
自らが犯罪者になる事なんて想像もしてなかったウォルターが徐々に道を踏み外していって、一時は誰もが恐れるギャングのボスみたいな地位にまで登り詰めて(堕ちて)しまう展開は、往年の「ゴッドファーザー」を彷彿とさせる鬼気迫る迫力でしたねえ……余命あと僅か、全ては家族の為、と言われてしまうと視聴者としても応援したいのはやまやまなんですが、やってる事が史上最悪レベルの麻薬犯罪ですから、堂々と応援するワケにもいかないジレンマに苛まれてしまう大変困ったドラマでした(^_^;)

善人と悪人との境界が限りなくあやふやで、人間なんて誰もが一筋縄では行かないモノだ~と言葉にしてしまうと単純なテーマなんですが、オレら一般人が知らない ”悪の道” に踏み込んだ人間がどのような目に遭うかというのを丁寧に丹念に描写する事で(ど派手なアクションとかそういった展開はほぼ皆無なのに)視聴者の目を釘付けにする脚本・演出がホントに素晴らしかったですな

ウォルターも最初はそんなに深刻に考えてなかったというか ”軽い気持ち” だったと思うんですよ……余命僅かで焦ってるっていうのもあって元教え子のジェシーに声をかけちゃったり、無知が故に無茶なことを平気でやれちゃっていつの間にか引き返せなくなるというのは、麻薬中毒者が最初は大麻みたいな軽いヤツで油断してたら覚醒剤の重度の中毒者にまであっという間に転落するのと全く同じ構図ですよね(^0^;)
でも、”こんなハズじゃなかった” と燻っていたウォルターの人生が麻薬王という ”社会的地位” を得て、ジェシーという ”息子” を得られた事は ”男として” 幸せというか充実しまくってたんですよねえ……決して褒められた事ではないですし、途中から本末転倒の極みみたいになっちゃってましたが

そのジェシーですが、最初はウザいだけのキャラだったのがいつの間にか最重要と言っていいポジションにまでなったのが面白かったです……元々の予定だと、シーズン1の終盤で退場していたハズのキャラだったのが、例の脚本家組合のスト騒動でシーズン1が途中で終了した事で生き長らえたというんですから、人生、何が起こるかわからんものですw

最終話にて、高校時代に木工細工を作ってたことを思い出してるシーンがありましたが、逃亡後の彼はどこかで木工職人としての道を歩み始めたんでしょうね……覚醒剤の製造以上に大事なモノがお前にあるのか?~とウォルターに蔑まれてたジェシーですけど、ええ、オレの中ではそういう事にしておきます(ノД`)

悪事に手を染めつつも ”子供” というキーワードにまつわる部分では絶対にイノセントな存在であり続けたジェシー、終始一貫してイノセントの象徴だった息子フリン、身内でありながら最大の脅威だったハンク、理解者たろうとして壊れてしまった妻スカイラー、お調子者弁護士ソウル、理想の社長ガス、完璧マイク、メンヘラリディア、天然戦士トッド、なんか最後までめんどくさいヤツだったマリー(←ひどいw)と、誰も彼もが素晴らしいキャラでした

上でも書きましたが、少ない主要人数を徹底的に掘り下げた上で、有機的に絡ませる事でよくもまあ見事な脚本を構築したモノです……「ブレイキング・バッド」の成功によって、ムダに引き延ばさずに ”キチンと終わらせる” ことが当たり前の感覚になってくれると、これからより一層海外ドラマを楽しめるようになるんですがどうなりますかねえ

 

191014追記:

あれから5年、映画版スピンオフが「エルカミーノ: ブレイキング・バッド THE MOVIE」netflixオリジナルとして配信されていたので見てみました


内容としてはドラマシリーズ最終回の直後から始まり、ジェシーのその後が語られるんですが、多くの登場人物たちが死んでしまった物語だった為(^0^;)、回想シーンを中心に実はあの頃こういった会話が為されてた的に再登場するキャラたちが盛りだくさんで楽しかったです

あれ?こいつ誰だっけと思ったら役者が激太りしてて気づきにくかったりしたのはご愛敬ですがw

感想の方で書いた、木工細工~云々のエピソードは全くカケラも描写されませんで、スポーツ医学に興味が~的な全く別のエピソードに差し替わってましたが、ジェシーのガチの ”その後” について語るのは野暮だと判断されてボカされたのは妥当な判断だったのではないでしょうか


…まあ正直、こんな程度でボカされるのなら別にワザワザ劇場版として制作する必要もなかったんじゃないかとも思ってしまいましたが、ジェシー役の人の(過去も現在も入り乱れまくりの)芝居はかなり見応えあったのでそれが見られて良かったです……あの半狂乱状態で自由を獲得したジェシーのラストシーンだけではしのびなくて、大人としての成長や自由への責任を改めて認識させようという制作者の ”親心” みたいなのが伝わって来た気がするのはオレだけではないでしょう


そういえばもうひとつのスピンオフ「ベター・コール・ソウル」の方は何となく見てないままなんですが、もう4シーズンも続いてるくらい評判はかなりいいみたいでどうするかなあ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« [テレビドラマ] アオイホノオ | トップ | [テレビアニメ] 「寄生獣」キ... »

コメントを投稿

海外ドラマ」カテゴリの最新記事