はやぶさと見た夢 ~関西からはやぶさとその未来を考える~
開催日時:2010年9月20日(月) 14時~ 約2時間半
会場:大阪市阿倍野区民センター 大ホール
主催:和歌山大学宇宙教育研究所、大阪市立科学館
協賛:NEC
前半の部 パネルディスカッション 出演者(五十音順):
池下章裕(スペースアート・クリエイター)
林譲治(SF作家)
森本睦子(JAXA)
吉住千亜紀(和歌山大学)
司会:尾久土正己(和歌山大学)
歌:中谷泰子(ジャズボーカリスト)
後半の部 講演と対談 出演者(五十音順):
山川宏(京都大学)
秋山演亮(和歌山大学)
■「はやぶさ」と一緒
さて。
パネラーによる10分間のショートトークも、いよいよ
ラストとなった。
マイクを握ったのは、和歌山大学宇宙教育研究所(つまり、
今回のトークショーの主催者の一つ)の吉住千亜紀氏である。
そう。
一昨日の第1回トークショーで、受付や場内ナレーション、
誘導を行っていた方である。
というよりも。
あの、はやぶさ帰還の日に。
尾久土教授とともに、オーストラリアからUst中継を行って
いた人といった方がよいであろう。
※ その際に撮影されたはやぶさ帰還映像が、こちらである。
hayabusa re-entry, Recorded on 10 06 13 live-universe on USTREAM.
その吉住氏の、トークのテーマは。
『「はやぶさ」と一緒
~はやぶさへのラブレター』
であった。
「この中で、私の声を聞いたことがある方はいらっしゃいますか?」
開口一番。
氏は、こう切り出した。
今回も最前列故、場内の手の上がりようを確認しようもない。
#いや、そりゃ振り返れば分かるんだけれど、壇上に集中したいし。
初日は、受付をやってたんですよ。
だから、そこでお会いした方もいらっしゃると思います。
そうしたお話をしながら、実は氏が期待していたのは別の場所での
氏との出会いをした人の挙手だったのだろうな、と後から思い至った。
それは、氏の来歴に由来する。
元々、氏は。
あすたむらんど徳島という、自然と子供、科学を基軸にしたテーマ
パークの中の子ども科学館に勤めていた。
そこで、併設されているプラネタリウムのコンテンツ制作や解説員を
されていたのである。
その当時、氏の解説した番組を観られた人がいれば?という思いからの
質問だったのではと考えた次第である。
閑話休題。
その、子ども科学館時代に。
氏は、「星の王子様に会いに行きませんか」ミリオンキャンペーン
を通じて、はやぶさと出会う。
その後…。
もっとはやぶさのことを知りたくて、みさと天文台等へアクセス。
尾久土教授は2003年の頃は同天文台の台長を勤めていたので、
そこで初めて両者は知己を得たのかも知れない。
そうして、はやぶさの旅路をトレースしながらも。
氏は、次々と魅力的なコンテンツを生み出し、プラネタリウムへ
提供していく。
画面で紹介されたものを挙げると。
・ALMA ~とどけたい未来の君へ~
02.12.14~03.03.09
南米チリに2012年の完成を目指して建設中の、国立天文台
ALMA望遠鏡計画について特集した番組。
・YO・ZO・RA ~銀河鉄道でめぐる宇宙の旅~
03.09.13~04.01.25
一昨年来、全国各地のプラネタリウムで上映されている
「銀河鉄道の夜」。
その幻想的なシーンを生み出す母体となった作品。
KAGAYA氏の銀鉄原点バージョンといえるかな。
※ 上記を含む、あすたむらんど徳島の上映作品一覧は
こちらから。
そして。
・ボクノチイサナオホシサマ 05.01.29~05.06.05
あの、HBTTEに先立つこと5年。
氏曰く、「多分、世界初のはやぶさ映画」とのことである。
ナレーションに、「魔女の宅急便」の主役ジジ役で有名な
佐久間レイ氏を配し、音楽には尾久土教授がプロデュース
した甲斐恵美子氏の「 Lullaby of Muses 」を採用。
CGは先ほどトークされた池下章裕氏を起用する等、もう
はやぶさファンにとってはたまらない作品となっているで
あろう本作であるが、今は観ることが出来ないのが惜しい。
ダウンロード形式によるコンテンツ販売等出来ないもの
だろうか?とも思うが、そもそもドーム用に製作された
本作品を一般のモニターで観るようにするためには、また
手を加える必要もあるため、難しいだろうな。やはり。
となれば、リバイバル上映に期待するしか無い。
その絶好の機会がもうじきあるのだが、現実は…。
(これについては、後ほど言及する)
氏が。
こうしたコンテンツの制作を行ったことが、後の「祈り」の
誕生へと繋がっていく。
そう思うとき。
人生において、どのような経験も次に活かせる布石となって
繋がっていくのだということを、しみじみと思う。
だからこそ。
今、どんなに苦しくとも、投げ出さずに立ち向かっていくことで
その先の未来への航路が拓けていくのだろう。
#勿論。
こうした考え方が絶対という積りはない。
人生において、逃げる力を持つことが必要なケースも、多々
あるだろう。
常にかくあらねばならないといった硬直的な考え方に自らを
呪縛することは危険であり、人生においては必要に応じて
臨機な対応を取らねばならないことは、言うまでもない。
(この稿、続く)
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中西 貴之 | |
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