活字の海で、アップップ

目の前を通り過ぎる膨大な量の活字の中から、心に引っかかった言葉をチョイス。
その他、音楽編、自然編も有り。

天から帰り、そして天に還る■はやぶさトークショー 第1回 「はやぶさを支えた人たち」 (第14回)

2010-11-01 01:44:34 | 宇宙の海

はやぶさを支えた人たち
開催日時:2010年9月18日(土) 14時~ 約2時間
会場:大阪市阿倍野区民センター B1ホール
主催:和歌山大学宇宙教育研究所、大阪市立科学館
協賛:NEC
出演者(五十音順):飯山青海(大阪市立科学館学芸員)
小笠原雅弘(NEC宇宙航空システム株式会社)
尾久土正己(和歌山大学)
矢野創(JAXA)


(※ はじめに
   講演会冒頭で、司会の尾久土先生、ならびに話者の小笠原氏より
   講演内容についてはブログにUpしないでとのお話もありましたが、
   講演終了時に個別に伺い、掲載OKのお言葉を頂戴しております。
   
   どのブログも好意的に取り上げてくれている。
   不特定多数の前で話しているのだから、どんな形であれ情報が
   ここから伝播発信していくことは止められない。
   そもそも、本当に危ない情報は、さすがにこうした場では話して
   いない。

   というのが、その際に伺ったコメントです。

   そのお言葉を裏切らないよう、これからも品位と節度、敬意を
   もってご紹介していきたいと思います。

   万一、お気づきの点があれば、ご指摘いただければ幸いです。)


■天から帰る

ここからトークは、あの6月13日の夜にフォーカス。

あの日は、本当に色々な奇跡が積み重なった夜だった。

前日来までの雲が晴れて。
風も凪いで。

まるで。
地球が、はやぶさの帰りを迎えようとしているかのような。
そんなコンディションを作り出してくれた夜。

感覚に流されて、感傷的に走ってはいけない。
あるものを、あるがままに受け入れ、然るべき分析と考察を以て応る。

そうした姿勢が大切なことは論を待たないが。
それでも、この日のコンディションの素晴らしさには、そこに何かの
意思があるのでは?とつい思ってしまう程のものだったのだ。

そんな彼の帰還を。
今日の話者四人は、それぞれ現地で迎えたのだけれど。

どのような状況で迎えたのかを、各人が語る。

まずは、尾久土教授。
再度ここで繰り返すまでもないが。
尾久土教授は、和歌山大学として彼の帰還のネット中継を行ない、空前の
アクセス数をたたき出したその中心人物である。

その、中継の状況について、氏は

 「とにかくアクセスが集中して、繋がらなくなった」

と語る。

実際。
あの日。
僕も、twitter上での宇宙クラスタ有志の面々とともに。
彼が出立した内之浦宇宙空間観測所を望む民宿・潮騒荘にて、彼の帰還を
迎えていた。

とにかく、暗い雰囲気にだけはなりたくなくって。

元気に、陽気に、お疲れ様!という気持ちで迎えた22時51分。
その少し前から、有志が持参したPCで何度もアクセスを試みたけれど。
最後まで、リアルタイムには接続出来なかったことを思い出す。

結局、僕たちはニュースWEBサイトの速報画像で、燃え尽きていく彼の
姿を初めて観たのだけれど。

実際。
和歌山大学のUstream中継は合計視聴数が63万回以上となったというのだから。

中継した主催者としても、実行した冥利に尽きるのではないか。
#この中継については、20日のトークショーの中でも新たな切り口で
 語られていた。
 そのお話を聞いて、なぜNHKを初めとする他のメディアがリアルに
 中継をしなかったのかがようやく僕なりに分かったのだけれど。
 そのお話は、また別の機会に。


ともあれ。
尾久土教授としては、中継の成功、ならびにはやぶさの最後をその目で
迎えることが出来たことは、まさに流れ星屋の本懐だったと総括した。


その話を聞いて、少し羨ましそうに語ったのは矢野氏。
氏は、当時ウーメラの現地にはいたものの。
無線班、光学班等の各観測班からのデータを統括する集計本部にいた
ために、リアルには彼を観ていないそうである。

実は僕も…と追いかけてきたのが飯山氏。
氏も、カメラのファインダー越しに追い続けていたので、一度も肉眼で
彼の姿を観てはいないそうである。

まあ、なぁ。
これまでの流星観測の実績を買われて、カプセルを撮影するために
はるばるとウーメラまで出向いた彼だから、これも仕方あるまい。

その話を聞いて、また上からかぶせるように尾久土教授が。

「これまで観た天文現象の中で、一番綺麗だった」

う~ん。
羨ましい。
羨ましすぎるぞ、尾久土教授。

和歌山大学のUst中継は、一緒に行かれていた吉住さん達が撮影されて
いたのだろうか?(笑)


ちなみに。
彼の帰還のあまりの美しさに。

小笠原氏は、是非はやぶさIIも落として欲しいと言われたらしい(笑)。

これまた、ジョークと本音の区別がつかない小笠原節炸裂である。



■そして、天に還る

残された時間も、僅かとなってきた。

ここで、会場からの質疑を受け付けるタイムへと移行。

早速手を上げた人が問うには。

では。
その美しかった彼の帰還は、肉眼ではどのように見えたのか?
というもの。


それに対して、尾久土教授が語る。

彼は、6等星の明るさ位にまで見えていたそうだ。

印象としては、いきなり月くらいの明るさが空に出現した感じで、
輝度が高かったため、撮影に高感度フィルムは要らない位だったとか。


特に印象に残ったのが、其の次に氏が発した言葉。

彼は非常に眩しかったが、その一方でバックに天の川もみえていて、
実に幻想的だった…。


其の言葉を聞いて、思ったこと。

7年もの間、星達の海を渡って帰ってきたはやぶさ。
その彼の、最後の時もまた。
星々が見守る中で、静かに元素に還元していったのだ。


長年。
彼を見守ってきた人々に、直接間接に見守られながら。


ある意味、彼にとっても本当に理想的な帰天だったのではないだろうか。


(この稿、続く)


小惑星探査機 はやぶさ物語 (生活人新書 330)
的川 泰宣
日本放送出版協会

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2 コメント

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Unknown (シャドー81)
2010-11-08 21:52:48
おぉ、もう14回か!すごいね。記録か?
毎回、こんなコメントでごめん。
返信する
Unknown (MOLTA)
2010-11-28 21:06:38
ありがとうございます。
ようやく先ほど最終回を上梓しました。

長かった~。
返信する

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