お父様とおばあ様・おじい様を相次いで亡くされたT家。葬儀後の毎週毎週の七日勤めには 近所の親せきから曾孫まで、いつも20人超でお正信偈を読みます。
お経の後、お茶を頂きながらの雑談の時、30歳台半ばの若奥様から「西本願寺は住職が変わるのですか?」と声が掛かりました。お聞きしてみますと、新聞に西本願寺の代替わりの記事があって 読んだそうです。
称讃寺のホームページやこのブログも見てくれているそうです。
若い方で 今まで宗教や寺等にまったく興味・関心がなかったけれども、ご葬儀があり 度々お坊さんが出入りして皆でお経を読むようになると、家の宗教や宗派などに少し関心が出て来た様です。そうなると 新聞紙上でも宗教やお寺の記事があると目を通してみたり、ホームページを見てみたり・・・、となるのでしょう。
お坊さんの私としては、大変うれしい限りです。
本来 宗教の目的は、毎日毎日の生活は何も変化がなくても 仏教・浄土真宗の物指しで物事を見ることによって 少しでも前向きに・幸せに 感じられるようになることです。
仏教・浄土真宗へのきっかけは 何でもいいのですが、関心が少しでも中身に向いてくれることを期待します。
お坊さんとしては、お手伝いをいなければ・・・、と思っております。
O家。浄土真宗本願寺派で称讃寺の檀家です。約30年前 長男が恋愛で結婚して 家を出ました。お嫁さんは熱心なS宗教の信者で、「宗教が違うので、家のお仏壇にはお参りできない。」と宣言したそうです。そのお嫁さんの影響でパートナーである長男、長女夫婦もS宗教の熱心な信者になったそうです。O家は次男夫婦が親と同居し あとをとりました。次男夫婦はS宗教の信者にはならず浄土真宗本願寺派のままです
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さて、先日お母様が88歳で亡くなりました。次男からの依頼で 私が導師で浄土真宗本願寺派の作法でのお葬式を致しました。
S宗教の長男は 私に「何卒よろしくお願いします。」と深々と頭を下げますが、宗教が違うと言う事で 葬儀の会場にも入りませんでした。火葬場にも 初七日にも 姿を見せませんでした。
S宗教の長女夫婦と2人の孫は、葬儀や初七日の儀式には参加しましたが、どうしてもお焼香はできない、との事でした。
他の親族や地域の方々などの会葬者も大勢いましたが、なんだか 変な雰囲気のお葬式になってしまいました。
宗教の違いで 親の葬式に会葬できなかったり、心から手を合わすことができないのは 私にとっては非常に残念な事に思えます。
浄土真宗の門信徒は他宗の葬儀にも会葬するだろうと思います。
家族・親族で宗教が違う場合、宗教の違いを乗り越えて皆が気持ちよく参加できるようなお葬式は どうあるべきでしょうか?お坊さん等の宗教者を呼ばないで無宗教でお葬式をすべきなのでしょうか?