拈華微笑 ネンゲ・ミショウ

我が琴線に触れる 森羅万象を
写・文で日記す。

 一撮いよいよ映画デビュ〜

2017年09月22日 | 還暦録
 ローザンヌにある日本食品店で若い人妻(日本人)が、笑顔で声をかけてきた。
 人違いでは?・・・と思ったら、そうではなく
 
 今年モーリス・ベジャール・バレエ・ローザンヌ創設30周年、そしてモーリス・ベジャール亡くなって10周忌となり、記念公演準備中でそのワンシーンとして
 ダンス実演の横に映写する映像に日本人(年配の)を探している・・・のだけど、興味ありますか?と、言いながらボクの風貌を観察していた。

 彼女自身は関係者の友人から適当な日本人を探すように頼まれただけということで、興味があれば連絡してください、とメモをもらった。
 
 ここが、定年退職者の『暇の見せ所』・・・これといって予定もなし、ちょっと好奇心+バイト料も少ないけど出してくれるという。
 早速、キャスティング専門の女性に電話して面会。・・・その場でOK! あと候補者が3人いて、そのうちからもう一人を決めなければいけないそうだ。
 つまり、年配の日本人男性が2人必要であるとのこと。

 21(木)昨日がその撮影日で、駅で待っていると、もう一人の日本人男性が挨拶をしてきた。S氏はスイス在住40年になるそうだ。
 だからスイス・フランス語圏の様々なことに詳しく、話をしていて楽しく、今日一日だけでも良い仲間ができた感じ。

 送迎バスはいったんベジャールの稽古場に行き、ダンサーを4人のせ、郊外にある撮影スチューディオへと向かった。
 ダンサーの内2人は若い日本人男性で、一人は大貫と名乗っていた。彼も日本ではよく知られたダンサーなのだろう。

 撮影所は比較的新しく、撮影所としてはとても小さなもので、着替え場所も狭かった。
 ボクは着物+袴姿、S氏は着物に羽織・・・というところであるが、着付け専門の男性もさすがに日本の着物の着付けは良く知らないようで
 ボクの禅修行中に体験した袴着付けを参考にしたが、ボクの方に帯が用意されていなくて、袴のヒモだけで腰に装着するのはそう簡単ではなく
 後で考えると袴の前でのヒモの蝶結びは『おかし』かったようだ。・・・まァ、その辺は向うも適当なもんだが、これを日本人に見られると思うと
 今から、若干気が重い。   こんな感じ ⬇︎
                    

 相棒のS氏も着付けしてもらったものの、数歩あるくと帯がバサリ!…と足元に落ちて、2人で大笑いした。これが撮影中だったら傑作だったのに・・・。
 
 準備ができて、スチューディオに入ったのだが、それから僕らの前に撮影しなくてはならない、アフリカ編というか、3人のアフリカによるダンスの撮影になんども
 やり直しがあって、つくづく大変だな〜・・・とも思い、映画作りの面倒さにうんざりすると同時に自分が映画と関わりがなかつた幸運を思ったりしていた。
 それにしても、映画関係者の若い女性達はどういうわけか、美人が多いような気がするが、それは映画だからか?(たとえ出演しなくても)
 監督のまわりに助手の女性、着付けの女性、ライティング関係の女性、記録をとっている女性、メイクの女性その他なにやっているんだかわからない女性等がいた。

 さて、いよいよ僕らの出番になってきたが、スタジオに設定されたにわか障子と六畳間の狭いセッティングにボクと相棒は立たされ、指示されたのはじっと見つめる
 方向のみ・・・。(もっと状況を説明すべき…だとは思うよ!)
 僕ら二人の前で日本人ダンサーが一見太極拳のような動き(8,9秒)から場面から飛び出て、代わってアフリカ人ダンサーが入れ替わって画面にはいってくる…というシーン。

 これが、踊るタイミング、照明のタイミングその他様々なタイミングがぴったり監督が納得いくまで繰り返され、我々はじっと立っている脚が痛くなってきた。
 しかも、ボクの目線はライティングのランプにあるので、眼がおかしくなってくるし、、、。

 ここで、監督の指示よりも、一つ印象に残ったのはダンサーに振り付けの指示をした男性であった。日本人ダンサーも彼の指示でこれまでの迷いがストンと落ちた感じがしたが、
 果たして、帰宅してからモーリス・ベジャール・バレエをググって写真を見てその男性こそがベジャール氏亡き後の後継者ジル・ロマン氏であったことがわかった。(さすが!)

 まァ、なんだかんだで一時間半位かかって終了。しかし、僕らにはその場面を見せてくれなかったので、どんな感じで我々が映っているのやら。
 この記念公演は最初に今年12月ローザンヌであるのでその時は是非みにいくつもりであるけど、若干正直『こわい!』穴があったら入りたい心境になるかも・・・
 いずれにしても僕らが映っている場面は 20秒ぐらい 音楽+踊りとともにモーリス・ベジャール氏の日本人への思いを語る声がダブルのである。乞うご期待!!