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【鉄人】元RX-7開発担当者が東京モーターショーのスポーツコンセプト3車を切るその3

2009-12-22 07:02:35 | 車・バイク



FT-86はトヨタと富士重工業の共同開発で、スバル伝統の水平対向4気筒エンジンを搭載するのが特徴だ。だがFT-86のスタイリングには、通常の直列エンジンよりも全高が低く、全長が短いという、水平対向エンジンの特徴を生かしたオリジナリティーがない。

 水平対向エンジン搭載のFRという構成は、60年代にトヨタが生産していた「トヨタ・スポーツ800」や初代「パブリカ」に例を見るぐらいで、現在のクルマではFT-86が唯一の存在だ。その独創的なドライブトレーンを生かせば、デザインでも、次に述べるパッケージング面でももっと独創的なクルマが作れるはずだ。

既出記事中にFT-86開発担当者の言葉で「開発目標はドリフト性能世界一」とあるが、スポーツカーを誤解している。サーキットでオングリップとドリフト走行のタイムを比較すると、オングリップの方が速い。ドリフト主体の走行は、おもちゃっぽいスポーティカーの走りで、本格的なスポーツカーのものでない。

筆者はマツダで「RX-7」の開発に携わったが、スポーツカーとは「ボディー全体に五感が行き届き、人車一体となって操る感覚が得られるもの」と考える。そのためにはおのずと、ボディーサイズやホイールベースの理想値が決まってくる。

FT-86は全長4160×全幅1760×全高1260mmで、ホイールベースが2540mmだ。スポーツカーのパッケージングとしては無駄があり、特に2540mmのホイールベースは「志」を感じさせない。スポーツカーとしてのハンドリングを実現するためには、100mmほど短縮する必要がある。



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