偽史倭人伝 ~ Carnea Historia

march madness の次が April Foolなんて小粋ぢゃないか。

●ヒルマン監督は美輪明宏の敵なのか?

2007年01月14日 16時09分54秒 | ◎海外スポーツ&ニュース見出しdeポン
reggie white mustache




A Familiar Face Returns, Bringing Hope That Another Follows
(懐かしい顔が戻ってきたぞ。さらなる希望も携えて…)ニューヨーク・タイムス

 これはあのアンディ・ペティット投手が古巣のヤンキースに戻ってきたことを伝える記事。“さらなる希望”とはロジャー・クレメンス投手のことだ。
 目下FA中のクレメンスはヤンキースにレッド・ソックスとアストロズも加わり三つ巴の争奪戦をくりひろげているといわれているが、ペティットが入団したことはクレメンス獲りに追い風となるんぢゃねーの?っていう記事。

 そういえば松坂フィーバーのとき、ボストンの地元紙の中にも「浮かれてる場合ぢゃねーぞ、クレメンス獲りはどうした?」という論調の記事をのせてたところがあったっけ。

 でも今回はこの記事の中身までは紹介しない。ペティットってのはあくまでフリだからだ。

 タイトルにあるヒルマン監督とは、もちろん北海道日本ハムファイターズのトレイ・ヒルマン監督のことだけどヒルマン監督ペティットの共通点って何だかわかる?

 そのヒントは彼が最近さかんにオンエアされているテレビCMにある。「パワーフォーリビング」という無料冊子(CM中では無料書籍といっている)を宣伝するあのミステリアスなCM。
 なにやら宗教っぽいってことはわかるけど、だからといって「●●会」とか「●●教団」とかクレジットされるわけでもなく、請求先のURLとフリーダイヤルの番号以外にあるのは「アーサーS.デモス財団」という法人らしき名称だけ。

 よくあるワイドシヨーの夕刊の見だし紹介みたいなコーナーで「10億円かけたCMキャンペーン」だとかいってた。でも「アーサーS.デモス財団」の正体についてはなんの説明もされていなかったのでネットで検索をしてみることにした。

 それで出てきたのが↓以下の4つの記事。

◆Who Are Those Guys? (Monday, Aug. 09, 1999)【タイム】
(マンハッタン在住のヘアスタイリスト・トーリ・ウォルターさんが、ひっきりなしに流される財団の「パワー・フォー・リビング・キャンペーン」の広告にいつしか惹かれて無料冊子を請求するに至るまでのレポートを交えながら財団の概略を紹介している。)

◆U.S.-Style Evangelical Drive Rouses Germany (January 17, 2002)【ニューヨーク・タイムズ】
(ドイツでも展開した財団の宣伝活動とそのドダバタを伝える記事)。

◆Charity money funding perks (November 9, 2003)【ボストン・グローブ】
(デモス財団を含む多くの慈善団体の贅沢三昧がスキャンダルになっているという記事。)

◆AG in Conn. begins probe (November 11, 2003)【ボストン・グローブ】
2 foundations for charities are eyed
(上の記事の二日後の記事で、コネチカット州の検事総長が2つの慈善団体の不透明で贅沢三昧な支出について調査に乗り出したという記事。ボストン・グローブ紙の調査報道が当局を動かしたんだぜ…みたいな自画自賛なニュアンスもあり。嫌疑のかかったその2つの中にデモス財団は入ってないが、怪しい団体の1つとして再び言及されている。
 記事の中で「今回、何人かしょっぴかれるだろう」みたいな証言があったので検索をかけてみたが、それらしき記事は見つからなかった。)


 てなわけで、今回はこれらの4つの記事をブツ切りにして再構成するというリミックスDJスタイル(笑)で紹介してみようと思う。
 でもって、このコーナーでお馴染みの「原文併記対訳方式」は文量が多い場合だと読みずらそうなので今回は英文のほうは省くことにした。元の記事をちゃんと読みたいという方々は、上のリンクを参照してくれたまへ。あいかわらずの意訳あり、要約あり、原文にない補足あり、自分のコメントありというごちゃ混ぜな感じにしてみたけど、

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9月のある晴れた日にリンチバーグに降り立ったその高級感あふれる長距離用のボンバルディア(航空機メーカーの名前)は大企業の社用機のようだった。だが現れたのは会社役員などではなくナンシー・リー・デモスだった。
 彼女はアーサーSデモス財団の理事の一人だ。同財団はキリスト教組織を援助するための私設の事前団体である。
 わがボストングローブ取材班の調べによると同財団は2001年に大洋横断が可能な12席のジェット機を購入するために3600万ドルを支出している。そしてさらに2機のジェット機を購入するのに何百万ドルも使っている。

 財団はジェット機はアジアやアフリカなどの海外での布教活動を視察するために購入したと主張しているが実際には飛行記録を調べてみるとナンシーSデモスや彼女の娘であるナンシー・リー・デモスのアメリカ国内での移動にも頻繁に使われていた。

 アーサーSデモス財団に限らずいくつかの慈善財団といわれる団体でのこうした不透明な贅沢三昧な支出がスキャンダルとして取り沙汰されている。

 1979年に没したアーサーSデモス財団の創始者であるアーサーSデモスの職歴はブックメーカーとして始まった。彼はニューヨーク州アルバニーで競馬のノミ屋をやり24歳でキャディラックを乗り回していた。
 だが1年後に伝道集会テントと出会い彼の人生は変わる。当時、妻のナンシーと共に属していたフィラデルフィア教区の牧師であったトニー・カンポロの活動に従事する。


カンポロは当時のデモスとの会話を思い出して次のように語った
「彼は

『私はキリスト教の活動に従事するためにあなたに人生を捧げます』

と言ったんだ。
そこで私は彼に聞いた。

『君は宣教師をやるかね』

とね。

そうしたら彼はこう答えたんだよ。

『いやいや、宣教師なら充分いるじゃありませんか。いま必要なのは布教活動を支えるための巨額の金を稼ぐ人間ですよ』

 そして彼はそのクリーンな暮らしぶりゆえに健康リスクの少ない保守的なクリスチャン相手に生命保険を売るようになったのだった。

 彼のその保険会社はテレビショーの司会者として有名だったアーサー・リンクレターを起用しフリーダイヤルを使ったテレビコマーシャルテダイレクトマーケティングという分野での草分け的存在として有名になった。

 彼は自分のサラリーの半分近くを財団につぎ込んだ。その額は彼がテニスコート上で53年の生涯を終えるころまでには2億ドルを超えた。

カンポロは言う
「彼はあの世からも献身を続けたといえるね」


 彼の家族が遺志を継いだ。妻のナンシーは財団(当時の名称はナショナル・リバティ財団)のCEOに、兄弟のロバートはプレジデントに、そして3人の子供たちはそれぞれディレクターに就任した。
 ナンシーはフロリダやマンハッタンの自宅で金持ちや有力者を相手に福音晩餐会を催した。その費用は一人あたま8万ドルだったといわれている。

 最初に世間の注目をあびた財団のキャンペーンは子供たちの絵と『生命、この美しい選択』という宣伝文句で中絶反対を訴えるテレビCMシリーズで、それらはまずは中絶に関する住民投票に直面していた州で放送され、その後全国でオンエアされるようになったが、その費用は実に2000万ドルにのぼった。

 そして今に至る「パワー・フォー・リビング」キャンペーンだ

そのテレビCMはCNNだけでも1日に50回は流された。
ヤンキースのアンディ・ペティット投手や聴覚障害を克服して1995年にみごとにミス・アメリカに選ばれたあのヘザー・ホワイトストーン・マッカラム女史などが出演するその30秒CMは彼らの神との関係を語り「パワー・フォー・リビング」という小冊子を薦める。
 それらの印刷広告バージョンは「タイム」などの雑誌や地下鉄の壁などそこら中で目にすることができた。

 そこには有名な聖職者の名前が記されるわけでもなく、ただ“アーサーSデモス財団”という文字と無料冊子を請求するためのフリーダイヤルの番号があるだけだった。

中道左派グループのポリティカル・リサーチ・アソシエーツのチップ・バーレット氏は財団の活動に懸念を示す。

「彼らが純粋にキリストへの信仰を広めるだけならいいんですがね。彼らの歴史を見せられると楽観はできないんですよ」

と彼は1986年に財団から出版された『The Rebirth of America』という本を引き合いに出した。
その本では同性愛者や中絶を反キリスト教的なものとしてあげつらねている。

再び前出のカンポロ氏
「彼らの目的は福音を広めることなんだろうが、彼らの教義は古い時代のものなんだ」

その「パワー・フォー・リビング・キンペーン」は2002年にはドイツでも大規模に展開され物議をかもした。

 ドイツにおいては政治・宗教などのテレビ・ラジオCMは禁止されているため看板などでの宣伝となったがやはり著名人を起用したものだった。
 例えばドイツ人として初のメジャー大会優勝を成し遂げ、史上初の世界ランク1位でもあったゴルフ界の英雄・ベルンハルト・ランガーや当時バイエルン・ミュンヘンで活躍していたセルジオ越後…ぢゃなかった(笑)、パウロ・セルジオ、そして何故か英国人歌手のクリフ・リチャードなどがビルボードに顔を連ねた。

 現地のガンドウ神父はこの有名人をフィーチャーした作戦は効果的だったしと語るが、他のドイツの聖職者同様、財団の秘密主義体質や右翼団体とのつながりには悩まされたという。

 テレビ・ラジオを使わない展開だったにもかかわらず4500万ドルという巨費を投じた、このアメリカ式物量キャンペーンはマスコミには叩かれたようだ。これはカルトだとか、そもそもドイツの法律に触れてるのではないか?とかサイエントロジー(ひところ世間を騒がせた新興宗教の一派)との関係を取り沙汰されたもした。

 キャンペーンでは寄付を募ったりするようなことはしなかったが、デモス一族の“政策”についての批判が集まった。莫大な資産と献金先などについてである。

 ともあれ実際のところキャンペーンは、効果をあげたようだ。冊子は英語版しかなかったにもかかわらず何万もの請求電話がかかってきたという。

 今回、広告のメッセージは多くのドイツ人に届いたという。それらの内訳は、無信仰だが有名人に惹きつけられた人たち、既存の伝統的な教会、とりわけリベラルすぎ多元的でどっちつかずになってしまったプロテスタントの教会に失望していた人たちや、そして多くの若者たちを含んでいるという。

1997年度の彼らの納税申告の内容を見ると財団の二面性が見えてくる
支出2500万ドルのうち900万ドルは海外での布教活動費に
テレビキャンペーンなど国内での布教活動費にもだいたい同じくらいが計上されている
とりあえず支出の3/4ついては誰も文句のない内容だが、160万ドルが同性愛者の結婚や中絶に反対する非営利法律事務所への献金となっている。

 デモス財団は合衆国の財団の中でランキング73位に位置するが、秘密主義という意味においては1、2を争うような団体である。
 たとえばジャーナリストがフロリダの財団本部に電話取材を試みても
「私たちはカルト集団ではないといえるが、何モノであるかは言うことはできない」
と返される。
そしてFAXで
「当財団は歴史の中で宣伝をその目的としたことはない」
という声明がくるだけだ。
 財団と係わった(サポートを受けた)ひとたちは、例えそれが讃えるような内容であっても財団について語ってはいけないというかなり厳格な守秘誓約書に署名させられるらしい。

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とりあえず“リミックスプレイ”はここまで。

 日本人の感覚からするとこれらの記事の臨場感はあまり体感できないかもしれない。
そもそも多くの日本人は宗教に疎いというのが大きな理由かもしれない。
ゲイ排斥はともかくとして中絶や喫煙は別に非難されても仕方ねーんぢゃねーの?って思ったりもするだろう。
中絶なんかに関しては日本の場合は援交などの性の乱れから命を軽視するケースが懸念されてるという現状があるし…。

ただドイツでのキャンペーンの説明で
“リベラルすぎ多元的でどっちつかずになってしまっているプロテスタントの教会に失望していた人たち”
が財団の教義に賛同したというくだりに注目してほしい

これはまさに原理主義ではないか。

ミッション系の財団と右翼団体とのつながりというのは日本人の感覚からすると唯一、違和感があった部分かもしれないけど原理主義が排他的ということとほぼ同義だと解釈すれば右翼団体と価値観を共有するのは自然なことだろう。
 日本だと右翼=軍国主義みたいなニュアンスがあるけど、そもそもアメリカ人もキリスト教の人たちも(全員とはいわないまでも)正義のための戦争は否定していないしね。

 右翼団体とちがって人種差別的な排他主義は宗教団体にはないと思うかもしれないけど、“異教徒”を排斥するとしたら実質的にはその部分でも価値観を共有することになってしまう。

 外国人労働者問題などで右翼団体が息を吹き返してきた欧州、特にネオナチなどのメッカ、ドイツのプレスがそうしたきな臭さに敏感だったというのは想像に難くない。
 そんなお国柄だからこそキャンペーンが数字の上で成功してしまったというのは怖い気がする。


そして今回の日本上陸
…日本ハムの優勝と格差社会に揺れる日本の状況は民衆につけこむ千載一遇のチャンスとみたのだろうか?
ひょっとしたら新庄なんかも広告塔に仕立て上げるべくモーションをかけられていたかもしれない。

でも、この10億円キャンペーンは支出に見合った成果はないような気がする。

まず日本人は世界的に見ても宗教に無関心な国民性だということ。
特にキリスト教に関してはお隣の韓国と較べてもわかるように根付きにくい。

そして実はゲイを排斥するということが日本ではかなりのマイナスぢゃねーか?って思ったりする
日本って一見、ゲイ解放後進国って感じだけど、今のこの国のテレビはオネェキャラ芸人ジャニーズグラビア占い(またはスピルチュアル)グルメとほんの少しのジャーナリズムでできているといっても過言ではあるまい…。

 そして悲しいことに日本人は神様に祈り続けるほど辛抱強くはない。日々の精進に励むくらいなら手っとり早い占いや風水のほうがいいのだ。

あれだけ叩かれた細木数子の番組が減らないのはなによりの証拠ぢゃねーのか?…っていう。

それにしてもジャネット・リン…って
札幌五輪のアイドルっつったっておいらより上の世代しか知らないって…(笑)
巨大金満組織にしては広告塔がいまいち寂しいね
でも、ジャネット・リンは宣教師と結婚したとかいうハナシを聞いた気がするので昔の思い出がこうしてつながるの興味深いできごとではある。

 パッカーズのレジー・ホワイトも“神のお告げ”を理由に引退撤回、現役復帰をしたことがあったがここんちの神様だったのか…と、記事の終盤でやっと
スポーツネタを連発できた(笑)

 ついでにアンディ・ペティットはこれね。

なんかデザイン的がGot milk ?キャンペーンのポスターに似てるね。これも安心感を与える心理的な戦略のひとつだろうか?

そうだ最後の最後に特別付録的リンクをひとつふたつみつ

冒頭に出てきた財団のラグジュアリー・ジェットです。
同機種ではなく“そのもの”だそうです
【写真1】
【写真2】
【写真3】

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 しかし宗教団体が「爆撃手」という名の飛行機を駆るとは…。コトバってのはなぁ、コトバってのはなぁ、“言霊”が宿っているんだぞ…とダイバスター調でつっこみたくもあるが、十字軍の出撃だと考えると怖くもあるがとりあえず納得…か?

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