雲の峰

稜線のくっきり今朝の晩夏光
島々のうえに育ちし雲の峰
待ちかねて庭のプールの昼下がり

緑蔭

河口まで広く盛夏の空映し
緑蔭に風の渡るを聞いている
青々と夏の光に播磨灘

向日葵

かなかなの山路に満ちて夕景色
梅雨明けを待つ向日葵の首を垂れ
雨上がる水平線まで晩夏光

日盛り

Ｔシャツをたためば夏の陽の匂う
水底に陽のゆらめける朝のプール
日盛りのコンクリートに水しぶき

荒梅雨

荒梅雨のあうらに畳の湿りかな
梅雨明けを待つ身に辛きカレー入れ
詩の流れ出したる梅雨の万年筆

蚊遣

迫る山映して川面万緑に
手さぐりでスイッチ入れる蚊遣かな
ダックスフントちょこまかと行き夕涼し

茂り

開山堂茂りの中に静まれり
ひぐらしの鳴き交わしおり奥の院
からからと梅酒グラスの氷かな

夏の朝

夏の朝かすかにラジオ体操の歌
夏草に埋もれし路傍の花壇かな
咲き昇りきってひょろりと立葵

昼寝覚め

静かなる境内満たす蝉の声
Ｔシャツの風をはらんで走りけり
窓からのほどよき風に昼寝覚め

梅雨深し

ボールペン使い切ったり日食の夏
梅雨深し少女の頃の歌流る
土砂降りのあがればたちまち蝉しぐれ