花冠同人・多田有花の俳句ブログ

日々の俳句の備忘録

四月尽

2012年04月30日 | Weblog
寒暖のことに激しき四月尽
藤房の下がり初めにし曇天に
本堂へ春の終わりの風入り

初々しく咲いて幼き八重桜
曲がれば古き街道はなみずき

暮の春

2012年04月29日 | Weblog
花終えし木々ののびやか夏近む
蛙の子またぎっしりと生まれおり
黄色き花野辺にあふれて暮の春

豊満に揺れ心地よし八重桜
憧れのごとく菜の花対岸に

竹の秋

2012年04月28日 | Weblog
夏近し輝く山に入りにけり
そよ風にときおり揺れて竹の秋
春惜しむ空のあまりに眩しくて

晴天は今日までというたんぽぽよ
陽に三つ葉開きつつ咲くつつじかな

緑立つ

2012年04月27日 | Weblog
菜の花の鉄橋渡り新幹線
緑立つ山の香りに迎えられ
水草生うあいだに亀の浮かびおり

霞桜過ぎゆく季節の中にあり
花陰を濃くして八重の桜咲く

蝌蚪

2012年04月25日 | Weblog
水際を覗きておれば蝌蚪の影
おたまじゃくし泳ぐ小さき尾を振りて
蝌蚪群れる池の面を黒くして

陽を受けてさらに明るしチューリップ
山に向く道を彩り八重桜

黄砂

2012年04月24日 | Weblog
菜の花をたっぷり咲かせこの川も
三日月や黄砂おさまる空にあり
とんぼ来る霞桜へひらひらと

くくられて山吹黄金を揺らしおり
霞桜みどりの風に開き初む

春筍

2012年04月23日 | Weblog
優嵐スケッチブック


しゃきしゃきと歯ざわりよけれ春筍
山はいま芽吹く小楢の銀の色
楓の芽開く春陽を掬うべく

頂を囲みつつじの花盛り
花びらに青空透かせ糸桜

山吹

2012年04月22日 | Weblog
山吹を打つ雨の音風の音
山の色明るく映えて八重桜
雨に朽ち初めにし乙女椿かな

山吹の風に応えて揺れている
石段の隅にひっそり菫咲く

陽春

2012年04月21日 | Weblog
陽春や腕まくりしてジェッソ塗る
石段に常盤木落葉のいつかある
桜蘂降り初む午後の風強し

日輪に明るく照りし紅椿
ようやくに咲きし桜のはや散りぬ

黄蝶

2012年04月20日 | Weblog
風とらえ花びら次々旅立ちぬ
降る雪のごとく花びらとどまらず
降る花の中をひらひら黄蝶ゆく

森かげは薄紫のつつじ色
青空へ大島桜の広がりぬ