すぎなみ民営化反対通信

東京・杉並発。「一人が万人のために、万人がひとりのために」をモットーに本当のことを伝え、共に歩んでいきたいと思います

田中良杉並区長の『杉並区立施設再編整備計画』を批判する

2014年01月13日 | 杉並の児童館廃止と施設再編について
田中良区長による杉並区立施設再編整備計画に絶対反対

・・・・この3月に策定・4月には実施!
    『施設再編整備計画』で何が進められようとしているのか?



///// 杉並区長 田中良の年頭所信(『広報すぎなみ 新年号』)
・・・『杉並区の未来を次世代につなぐために』からの抜粋 ///////



平成も四半世紀を過ぎ、この間時代は大きく変化しました。例えば人口構造を見ても、平成元年の65歳以上高齢者の割合は13%でしたが、25年には20%を超え、国立社会保障・人口問題研究所によれば平成52年には約40%に達すると推計されています。少子化で人口が減少する中で高齢者の割合が増加すれば当然、働く世代が減り、特別区税収入は減り、一方で社会保障関連経費は増加します。また人口構成の変化は、区民ニーズを一層多様化させ、歳出に大きな影響を与えます。 少子高齢化の進展が加速し、女性の本格的な社会進出に伴う保育園待機児童数の増加や、公共施設建設のための大規模用地の確保の困難性など、都市部特有の課題の顕在化により、これまでの行政運営では立ち行かない事態が次々に生じています。
 しかし、だからといって、手をこまねいていては、課題をただ先送りするだけです。今こそ、腹をくくって私たちの世代でできることにしっかりと取り組み、次世代に素晴らしい杉並区を継承していく、そうした覚悟のもとに行動を起こす時期に来ているのだと思います。 杉並区立施設再編整備計画(素案)は、その軸となる計画だと考えます。今後次々と更新時期を迎える施設に多くの経費を掛けなければならないとしたら、時代とともに変化する区民ニーズに的確に対応することが困難となります。持続可能な行財政運営を行うためには、将来を見誤ることなく、先々を見据えた取り組みが必要です。その一歩が施設再編整備計画です。 26年は、基本構想実現に向けた取り組みを加速化していく年だと考えています。
 このように、田中良杉並区長の2014年年頭所感、『杉並区の未来を次世代につなぐために』というタイトルで、持続可能な行財政運営のために杉並区立施設の再編整備計画を確定し、行動を起こす時期が来たと縷々謳われています。

 ※『これまでの取り組みと今後のスケジュール』http://www2.city.suginami.tokyo.jp/guide/detail/10824/faq7_koremade_schedule.pdf によれば以下のように運ぼうとしています。
 ▲2014年1月 区立施設再編整備計画に関するパブリックコメント(区民等の意見提出手続き)実施
 ▲2014年3月 区立施設再編整備計画(第一期2014~2021年度)の策定
 ▲2014年4月~ 区立施設再編整備計画(第一期2014~2021年度)の実施


                -1-

この『区立施設再編整備計画』は、昨年9月に全容が明らかにされました。
児童館の全廃、ゆうゆう館の転用、施設の複合化・多機能化という名の統廃合、施設再編整備と一体の民営化、廃止施設・跡地の民間売却、施設使用料の団体減額制度の廃止をはじめとしたその内容のすさまじい現状破壊性、区立施設で働く正規・非正規職員の職場の廃止、雇用破壊、区立施設を利用する膨大な住民、児童の居場所の廃止、施設利用料の数倍化の値上げに、職員や施設利用者の間で不安と危機感、抗議がまきおこり、地域に激震が走りました。区立施設とは、当然ながら「公の施設」であり、住民の福祉とその増進のために自治体の責務として設立・運営が義務付けられているものであり、自治体が行う事業の根幹をなすものにほかなりません。その根こそぎ廃止・再編を行うというのですから、職員にとっても区民にとっても、寝耳に水の話で、いかに「少子高齢化」や「今後は税収の低減」の事情があろうと、「将来の行財政運営」の都合での説明があろうと猛反発の声が湧き起ったのは当然のことです。  

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 ところが田中区長は、この施設再編整備計画に対する職員、区民の反対、抗議、不安、危機感の広がりを知りながら、前掲の通り、あくまでも「行動を起こすときが来た」と宣言し、この1月にパブリックコメント(区民等意見提出手続き)をアリバイ的に行ったうえで、3月に2014年~2021年の計画(第一期)分を策定し、2014年度、つまり4月から計画を即実施に移すと言っています。この“あくまで強行”の前提には、実際には、11月に、区内の反発から児童館の廃止等に代表される「廃止」の文言を引っ込め(※廃止をやめたわけではありません!)、「これまでの事業の継承と充実」という言い替えと「第一期」分の「第一次」分については「テストケースでその後の計画については経過を検証し区民等の意見を聴いて決めていく」というようなニュアンスを付与することで、反対議論を鎮静化し、当初計画を実際に進めてしまえば狙い通りに運べるという算段があるからです。

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 事実、杉並区議会に2議席を持っているある会派などは、区が11月に行った「廃止」の単なるコトバ上の言い替えにすぎない「児童館事業の継承と充実」を、会派と区民が存続を要求したことに対して、区が「廃止を訂正し、事業の存続と拡充を認めた」と評価しています。故意か無自覚かは別にして、客観的にみれば、これは区の手品のような口先のウソとだまし打ちに乗って、区に代わって“反対議論の鎮静化”を議会会派がはかるようなものです。
 確かに9月発表の区立施設再編整備計画の素案段階で「児童館は原則廃止」と明記されていたのに、いま現在、杉並区の公式ホームページでは『施設再編整備・使用料等見直し』(2013・12・1)の「4.児童館の再編と子育て支援事業の新たな展開」では「廃止」の文言は消えています。
 その代わりに、そこでは「0歳から18歳までの児童の健全育成を図ることを目的に設置された児童館は、限られた施設スペースの中でサービスの充実を図ることがもはや限界を迎えていること、「子ども・子育て支援新制度」の本格施行(平成27年度予定)に向け、各種の子育て支援サービスに関する利用相談や情報提供等の地域拠点を整備する必要があることを踏まえ、学校や新たに設置する地域子育て支援拠点等で機能・サービスを段階的に継承し、充実を図ります。」と「継承、充実」の文言が使われています。
 けれども、まるで子供だましのような話ではないですか?「児童館の廃止」はコトバとしては消えても、区が計画で行おうとしているのは、「学校や新たに設置する地域子育て支援拠点等」で「事業の継承・充実をはかる」というのですから、児童館は廃止されるということ以外の何物でもありません。
 学童クラブを小学校の放課後教室に吸収・統合するというのは、もはや児童館事業ではありません。放課後の児童の自由遊びや交流の居場所としての児童館はなくなるのです。これはどうみても先述の会派が成果と言っているような「児童館の存続」ではありません。区も「存続」とは言わず「継承」といかようにもとれる言葉を選んで使っているのです。現在の児童館は、親が共働きのために放課後を過ごす小学校児童だけでなく中高生や乳幼児を抱えた母親や地域の高齢者が居場所として集い、交流し、地域コミュニティの中核として年間133万人が利用する地域に根差した有意義な拠点となっています。その役割を担っている児童館はなくし、また現在の児童館のこうした役割に代わり得る新たな施策は何ら示されてもいないのです。こうした再編整備計画のいったいどこが「充実」でしょうか?

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 区が、区立施設再編整備計画の矢面に立たされている正規250人、非正規250人の計500人の児童館職員の中からわきあがった不安・抗議・反対意見や利用者・地域住民の不安・危機感・抗議に対して、11月に「児童館廃止」を(コトバだけ)引っ込めたことで、そして「施設再編整備計画」が“これまでの各事業の継承と充実をはかる”ものとして一方的宣伝を行っていることで、『杉並区立施設再編整備計画』は素案の狙いと骨組みがそのままであるにもかかわらず、あたかも“利用者にとっては何も不安になることはない”ものであるかのように、動き出しています。

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いま一番必要なことは、『杉並区立施設再編整備計画』で何が行われようとしているか、何がどうなるのか、について、区立施設で働く職員の職場討論や施設利用者や地域住民の中で、正面から。また丁寧に正確に明らかにすることではないでしょうか? 田中良区長は年頭所感で「次世代に素晴らしい杉並区を継承していく」などと言っています。これは看過ごすことはできませんね。この大ウソとだまし打ちを暴ききり、区の職場でも、地域でも、くまなく周知していくことではないでしょうか?。そして、そこから声をあげていくことです。

 結論的にいえば、田中区政は、「最低のコストで最大の効果(果実)を生む」という新自由主義で「果実(儲け)を生まない事業や施設や職場(そこで働く職員)は全部原則廃止」「施設統廃合で廃止した施設や跡地は民間に売却、貸出で儲ける」「最大の果実を生むためには民間企業にやらせる」ということをこの『杉並区立施設再編整備計画』で行おうとしているのです。

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シリ―ズ『杉並区立施設再編整備計画』について

 『杉並区立施設再編整備計画』をめぐっては重要な局面に入っていますが、前記の通り、何が行われようとしているか、何がどうなるのか、という基本的な点から、当サイトとして系統的に周知・暴露・批判を行っていきます。

 今回は、検討材料、資料を一覧で掲載しておきます。時間があるときにごらんください。

★『杉並区立施設再編整備計画』に関する区の公表文書の一覧
・・・杉並区公式hpからの転載


◆「杉並区区立施設再編整備計画(第一期)(平成26~33年度)・第一次実施プラン(平成26~30年度)(素案)」(PDF形式2435KB)
◆「杉並区区立施設再編整備計画(第一期)(平成26~33年度)・第一次実施プラン(平成26~30年度)(素案)概要版」(PDF形式302KB)
◆「使用料等の見直し(素案)」(PDF形式1752KB)
◆「使用料等の見直し(素案)概要」(PDF形式232KB)
※上記の資料は、区政資料室(区役所西棟2階)、区民事務所・分室、駅前事務所、図書館でもご覧いただけます。
※素案について、多く寄せられているお問い合わせに、Q&A方式でお答えするリーフレットを作成しました。
◆「杉並区区立施設再編整備計画(第一期)(平成26~33年度)・第一次実施プラン(平成26~30年度)(素案)」に関するリーフレット(Q&A)は、下のリンク先をご覧ください。
全体版(PDF形式3976KB)
児童館(PDF形式371KB)
ゆうゆう館(PDF形式476KB)
集会施設等・区民事務所(PDF形式524KB)
杉並会館・産業商工会館(PDF形式466KB)
あんさんぶる荻窪・荻窪税務署(PDF形式551KB)
これまでの取組と今後のスケジュール(PDF形式362KB)
◆「使用料等の見直し(素案)」に関するリーフレット(Q&A)は、こちらをご覧ください。(PDF形式1162KB)
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