Rest In Peace

夢の記録

砂色の空

2017-02-04 09:22:44 | 
「世界が終わるというニュース」が
数日前から流れている。
終わる日は明日だという。
どのように終わるのかは誰も知らない。
終わり方を知りたいとは思うが、
予定があるので
きっと把握することは出来ないだろう。

砂色の空や
時折強く吹く風から
「世界が終わる」のは本当だとわかる。

住宅街を歩く。
日中なので
皆仕事や学校に行っているようだ。
誰もいない街を歩きながら、
誰もが不安に思いながら
日常を過ごしていることを考える。

空き地横の
一部崩れた
コンクリート製の階段を降りる。
膝までのイネ科の草は
美しい緑をして風に揺れている。
短い階段の途中で立ち止まり
街を眺める。

_____________

夜が明ける。

今日で世界が終わる。
砂色の空は昨日より少し暗い。
家族一緒に列車に乗る。

世界は東から終わっていくという。
西の自宅で過ごせば、
もしかしたら世界が終わる様子を
少しは知ることが出来るかもしれない。
しかし今日は東へ行く日である。
家族一緒に東へ行く日である。

さすがに今日は
多くの人が
いつもと少し違った日常を過ごすようだ。
たくさんの人が街を歩いている。
通勤列車は6割ほどしか埋まっていない。
家族と並んで腰掛ける。
車内はとても静かだ。
皆うつむき加減で座っている。


外が暗い。
列車内も薄暗い。
まだ世界の終わりは始まっていないようだ。
車掌が社内を回っている。
落ち着いてはいるが、
やや不安そうな、心配そうな様子だ。
「この人はいい人なんだろうな」
と思う。
車掌が声をかけてくる。
やはり心配してくれている。
返事を返すとかすかにほほえんで
挨拶してくれる。
家族と最後を過ごせるなら
幸せかもしれないと思う。

窓の外は
砂色の空と灰色の草原である。
風は強くなってきている。
列車は東を目指す。



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