過労死防止基本法制定を求める署名にご協力ください!

大切な人を働きすぎから守るための法律をつくるために署名を呼び掛けています。

【記事紹介】「過労状態を前提としない働き方を目指せ―NPO法人POSSE事務局長、川村遼平氏インタビュー」

2012-03-29 21:54:18 | 記事紹介
 “ストップ!過労死”実行委員としても活動しているNPO法人POSSEで、事務局長をしている川村遼平さんへのBLOGOSのインタビューを紹介します。若者を中心に数多くの労働相談に当たってきた経験をもとに、若者がいわゆる「ブラック企業」で過労状態に追い込まれても、そこで働かざるを得なくなっている現状と背景をわかりやすく解説しています。

 また、労働基準法が形骸化しており、そうした過酷な働き方に対する規制がない状況についても多く触れられています。ここでは長時間労働の規制について取り上げている部分を中心に、一部抜粋してご紹介します。


―長時間労働を規制する方法には、どのようなものがあるのでしょうか?

川村氏:いくつかあるんですが、一つは上限規制です。これは週何時間以上働いてはいけないと規制する方法です。例えば、フランスには「週35時間まで」といった規制があります。

二つ目は、法律によって休息時間を義務付けることです。例えば、一度仕事をしたら、次に仕事を始めるまでに7時間ぐらい一定の休息時間を設定しなければいけないという規制を設けるケースです。

三つ目は、直接的な規制ではないのですが、残業した場合に、賃金を割り増しして支払うという方法です。これにより経営者側に「長く働かせたくない」というインセンティブが働きますので、一つの規制のあり方として存在しています。だいたいこの3つの方法があります。

日本の場合、3番目の割増賃金は存在しますが、実態としてサービス残業という形で、未払いになるケースが多く機能していない。2番目の休息時間に関しても、一般の労働者に関しては、条文がまったくないという状況です。1番目の上限規制については1日8時間、週40時間という規制が労働基準法であります。しかし、これもワタミで問題になりましたが、36協定という労使協定を結べば、一定時間まで延長することができるという法律があります。延長できる上限時間には目安があるのですが、あくまで目安なので、労基署も指導することしかできません。 恒常的にではないものの、現実にはワタミであれば月120時間まで「特別な場合には残業させてもいいですよ」ということが労使協定として締結されていました。よって、ワタミでは月120時間までの残業は合法というか、「直ちに違法にはならない」という状況になっています。

―先日、上場企業の多くが36協定によって過労死ラインを超えた労働時間が許されている、という報道もありました。

川村氏:日本においては、過労死ラインを越えて働かせていることはあまり問題にならない。死んだ時に問題になる。これが日本の法律のわかりづらいところです。過労死ラインを越えた状態で働かせていても直ちに違法ではないのです。

―働く若者が追い詰められていく背景にはどのようなものがあるのでしょうか?

川村氏:まず「展望のなさ」が挙げられると思います。私たちのところに相談に来る方の多くはIT・アパレル・外食業界の方です。こういった業界では、先輩社員がどんどんやめている。そうなると「自分もいつか辞めるんだろうな」と思ってしまいます。また、30歳ぐらいの先輩社員が、自分とあまり変わらない額の給料で働いていたりする。

昔であれば、過労状態であったとしても、まだ賃金が上がっていくという希望がありました。一つの会社に入って、その会社の中で認めてもらう。認めてもらうことで自分の生活状況がよくなっていく。仮にそれほど出世できなかったとしても、会社に残っていれば、年功賃金で終身雇用という特権が正社員にはあった。これが今まで日本のサラリーマンが長時間労働を受け入れてきた要因だったといわれています。また、若者に限らず、日本で過労死してしまうような働き方が横行している原因の一つとも考えられています。

しかし、現代の若者は、自分が体を壊すほどの長時間労働した先に何が待っているかというと、何もないんですよね。退職してしまった先輩の姿であったり、自分と同じような給料でずっと働いている人しかいない。それでも多くの人が、精神を患うまで職場にしがみついて働いています。その末に離職に至る人を「甘え」と呼ぶことに意味はないと私は思っています。



―若者の厳しい労働環境を改善するためには、どのような政策が必要だと思いますか?


川村氏:一番やらなければならないと喫緊に考えているのは、労働時間規制です。やはり過労状態を前提にしない働き方を目指すべきです。今の日本は過労状態を前提にした働き方が基礎となっているので、それを転換させることは非常に意義があると思います。充分な睡眠時間を確保できるだけで、うつ病に罹患する可能性を下げることができます。また、長時間労働が常態化すると、転職活動をする時間すら確保できません。まず適正な労働時間を前提とした雇用にしていく。それによって雇用創出できる部分もあると思いますので、そういう部分も踏まえてきちんと労働時間規制をするべきです。

現在、私たちは過労死を防止する基本法を制定しようという活動にも関わっています。これは過労死した方の遺族、弁護士、労働組合が一体となって取り組んでいます。しかも、政党の枠を超えて動きが広がりつつあります。やはりどの政党の人であっても働き方は普遍的に決めなければいけません。こうした動きが、いまようやく出始めているので、これはぜひ実現したいと思っています。

もう一つは、教育の問題です。現在でもなお「会社に入ったら権利主張をするのはわがままだ」「頑張らなきゃいけない」と多くの人が思っている。「若者は甘えている」と、おじさんが若者に向けて言うことは、それほど深刻ではありません。若者が、「自分は甘えているんじゃないか」と自分自身を追い詰めていくことが一番怖いんです。これは相談の現場から感じていることです。このようなひたすら自分に原因を求めていく傾向を転換していく必要があるんじゃないかと思います。

現在は、会社に入って、そこで認められて出世していきましょうという在り方が崩れてきています。その中で自分を守るための法律には、どのようなものがあるのかを知っていれば、選択肢は増えてきます。自分が困った場合にどういう選択肢があるのかということを働きに出る前の段階で知っておく必要があるでしょう。単なる面接マナーや体験学習などにとどまらず、権利について知らせる教育が、学校に求められている課題だと思います。

もう一つ、雇用保険・失業保険をきちんと受給できるようにする必要があります。「これはブラック企業だ!」と思ったときに何故辞められないかというと、そこを辞めてしまった後の見通しを多くの人が持ちにいくいからだと思います。それは本来失業保険だけの問題だけではなく、もっと大きく労働市場の問題も含めて考えなければなりません。しかし、当座失業保険がきちんと支給されるということも、すくなからず大事なことです。雇用保険は一時的なシェルターとしての機能を持っているので、きちんとまず辞められる状況を作ることが重要です。三年ぐらいで辞めてしまうと、ふつうは貯金がないですから次の仕事を選んでいる余裕がありません。職業選択の自由を保障するという意味でも失業保険を取れるようにして、まともな職にみんなが流れていくようなプロセスをつくっていく。これらの施策が重要になっていくと思います。


 BLOGOSの記事全文はこちら↓のページで読めます。
 http://blogos.com/article/35139/?axis=p:0&p=1


***「過労死防止基本法」制定実行委員会が求めていること***********************

  「過労死」が国際語「karoshi]となってから20年以上が過ぎました。
  しかし、過労死はなくなるどころか、過労死・過労自殺(自死)寸前となりながらも
  働き続けざるを得ない人々が大勢います。

  厳しい企業間競争と世界的な不景気の中、「過労死・過労自殺」をなくすためには、
  個人や家族、個別企業の努力では限界があります。
  そこで、私たちは、下記のような内容の過労死をなくすための法律(過労死防止基本法)の
  制定を求める運動に取り組むことにしました。

  1 過労死はあってはならないことを、国が宣言すること
  2 過労死をなくすための、国・自治体・事業主の責務を明確にすること
  3 国は、過労死に関する調査・研究を行うとともに、総合的な対策を行うこと

署名へのご協力のお願い
私たちは「過労死防止基本法」の法制化を目指して、「100万人署名」に取り組んでいます。
署名用紙≫(ココをクリックお願いします)をダウンロードしていただき、必要事項をご記入いただいた上で、東京事務所もしくは大阪事務所まで郵送をお願いしたいと思います。

まずは過労死のことや過労死防止基本法を多くの人に知っていただきたいので、ツイッターでつぶやくなどして広めてもらえると助かります。記事の一番下についているボタンからも気軽にツイートできますので、ぜひともご協力お願い致します!
 

連絡先】 ストップ!過労死 過労死防止基本法制定実行委員会準備会
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