過労死防止基本法制定を求める署名にご協力ください!

大切な人を働きすぎから守るための法律をつくるために署名を呼び掛けています。

過労死110番に見る震災と過労死

2012-03-11 14:34:29 | その他
【写真】福島第1原発で働く東京電力の社員ら原発労働者は、第2原発の体育館で防護服のまま雑魚寝していた=2011年5月(谷川武愛媛大教授提供)

 静岡県御前崎市の配管工、大角信勝=当時(60)=は5月14日、汚染水処理施設の配管設置工事にあたっていたさなか、心筋梗塞で死亡した。雇い主である建設業者の説明は、こうだ。
 深夜に宿舎を出発し、午前3時半、前線基地である「Jヴィレッジ」で防護服に着替えた。その後、約20キロ離れた福島第1原発で朝礼を受け、6時から作業を開始。重さ約50キロの機械を同僚と2人で運ぶ途中、体調不良を訴え意識を失った。6時40分ごろのことだったという。
 構内には当時、医師は常駐しておらず、東電の業務用車両に乗せられJヴィレッジに引き返し、さらに約45キロ先の福島県いわき市内の病院に搬送されたが、すでに倒れてから約2時間40分も経過していた。
 大角は作業2日目に死亡したが、生活は楽ではなく半年前からは建設現場でガス溶接の仕事に当たっており、狭い所に無理な姿勢で潜り込む厳しい作業が続いたことから、毎日のように「しんどい。大変だよ」と妻に漏らしていたという。
「過労死の国・日本 第二部(1)復興の犠牲者たち」より


 「震災で業務量が増えた。帰宅は毎日午前3時で、睡眠は3時間程度しかとれない」。建設業の30代男性は、電話越しにこう訴えたという。
 東日本大震災から3カ月がたった6月18日、過労死弁護団全国連絡会議が行った無料電話相談「過労死110番」には、全国から震災に関連する過重労働のSOSが10件以上相次いだ。
 死者も出ていた。被災地に派遣されたある自治体職員の男性は、多忙な業務に追われ、鬱病を発症した末に自殺した。作業員の健康が問題となっている福島第1原子力発電所の事故も含め、今回の震災は、過労死という新たな犠牲を生む危機に直面している。
「過労死の国・日本(1)繰り返される悲劇」より

 

 復興の陰で、それを支える人たちの過労死の問題がありました。それは果たして、「非常事態だから仕方がない」死だったのでしょうか?震災から3ヶ月後、過労死110番にはこんな相談がきていました。

 建設業に従事しており、従前から残業が多かったが、3月11日の震災後は特に業務量が増加し、ここ1ヶ月は休日がなく、午前8時から勤務し帰宅は翌日午前3時になるので、睡眠は3時間程度しかとれず、過労死を心配している。(30代男性、建設業)

 損害保険会社の仙台支店に務めていた弟が、従来から長時間労働に従事していたが、3月11日の震災後に更に業務量が増加し、6月になって家を出たまま行方不明になっているので、過労自殺を心配している。(男性、損害保険会社)


 こうした事例には、震災以前からの過重労働の問題を見て取ることができます。震災以前からもともと業務量に対して従事する人数が少なく、長時間労働を余儀なくされていた上にさらに業務量が増えてしまえば、過労死してもおかしくないような働き方に簡単に追い込まれてしまいます。震災関連の過労死には、本来避けられるはずだったのに、特別な場合に許されるはずの長時間労働・過重労働が常態化されていたために起こってしまったものもあるのではないでしょうか?そう考えると、過労死を震災という非常事態の特別な事件として見るのではなく、通常時から長時間の過重労働が容認されていることのもたらす結果としても見なくてはなりません。

 このように常態化された過重労働の問題は、震災から1年が経った今でも多数存在しています。今年の3月3日に過労死110番に寄せられた177件(うち死亡17件)の相談の中には、

 運送会社勤務であり、複数回の転勤による精神的ストレスが大きく、月80時間を超える残業が続き、睡眠不足と精神的ストレスが重なって、くも膜下出血で死亡した。(40代男性、運送業)

 製造業に従事しており、月140時間近くの残業や徹夜が続き、顧客からのクレームもあり、精神疾患を発症して自殺した。(男性、製造業)


などのように、過去数年に過労死110番に寄せられた相談事例と同様のケースがほとんどです。これらは3.11以後の特別な事件でも何でもありません。ただ、過労死ラインを超える働き方を容認して放置しているために起こった悲劇なのです。

 また、「震災だから仕方がなかった」「名誉の過労死」でさえも、補償や予算が早く下りていれば臨時で職員をもっと増やして避けることができたかもしれません。それは決して「被災した地域のために命を捧げた英雄」として美談で終わらせて良いものではありません。たとえ故人が人のため、地域のためにと過労に身を投じたとしても、残された家族にとってそれは理不尽な死なのです。

 死者の名誉を守ることと、その死が過労によるものだと認めてもらうこと、そして他にも震災で家族を失った人もいる中で「自分たちだけが公務災害にこだわ」っていいのかという「“罪悪感”のような気持ち」との間で揺れながらも、「私たちと同じ思いは誰にも味わってほしくありません」と遺族の方は語ります。「こうした状態が続けば、震災過労死が起きるのは避けられないのではないでしょうか」(「」内は過労死の国・日本 第2部(3)からの引用)

 現在、被災地もあらかた復興してきたので自立しなくてはいけない、とにかく雇用創出が必要だと言われています。しかしそこで与えられる仕事が、これまでのような過労死ラインを超えるような長時間の過重労働であるならば、「第二の震災過労死」が起きてしまいます。震災過労死という悲劇を二度と繰り返さないためにも、過労死防止基本法の制定に向けての署名にご協力お願いします!


(参考ページ)産経ニュース「過労死の国・日本(1)繰り返される悲劇」http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110808/biz11080814370007-n1.htm
        産経ニュース「過労死の国・日本 第2部(1)復興の犠牲者たち」http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120107/wec12010712000000-n1.htm
        産経ニュース「過労死の国・日本 第2部(3)復興の犠牲者たち」http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/120108/wec12010815010003-n1.htm
       「過労死110番」2012年度全国集計結果 http://karoshi.jp/syukei-8.html
       「過労死110番」2011年度全国集計結果 http://karoshi.jp/syukei-7.html


***「過労死防止基本法」制定実行委員会が求めていること***********************

  「過労死」が国際語「karoshi]となってから20年以上が過ぎました。
  しかし、過労死はなくなるどころか、過労死・過労自殺(自死)寸前となりながらも
  働き続けざるを得ない人々が大勢います。

  厳しい企業間競争と世界的な不景気の中、「過労死・過労自殺」をなくすためには、
  個人や家族、個別企業の努力では限界があります。
  そこで、私たちは、下記のような内容の過労死をなくすための法律(過労死防止基本法)の
  制定を求める運動に取り組むことにしました。

  1 過労死はあってはならないことを、国が宣言すること
  2 過労死をなくすための、国・自治体・事業主の責務を明確にすること
  3 国は、過労死に関する調査・研究を行うとともに、総合的な対策を行うこと

署名へのご協力のお願い
私たちは「過労死防止基本法」の法制化を目指して、「100万人署名」に取り組んでいます。
署名用紙≫(ココをクリックお願いします)をダウンロードしていただき、必要事項をご記入いただいた上で、東京事務所もしくは大阪事務所まで郵送をお願いしたいと思います。

まずは過労死のことや過労死防止基本法を多くの人に知っていただきたいので、ツイッターでつぶやくなどして広めてもらえると助かります。記事の一番下についているボタンからも気軽にツイートできますので、ぜひともご協力お願い致します!
 

連絡先】 ストップ!過労死 過労死防止基本法制定実行委員会準備会
HP:http://www.stopkaroshi.net/
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