青森の弁護士須藤のブログ

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判例読みますか

2015年01月16日 | 判例

建物明渡等請求控訴事件

最高裁判所第1小法廷決定 平成26年6月26日
【判示】 賃貸借保証会社による未払賃料の代位弁済は建物賃借人による賃料の不払という事実に消長を来すものではなく,ひいてはこれによる賃貸借契約の解除原因の発生という事態を妨げるものではないと判示として建物賃貸人による債務不履行解除を有効と判断した原判決に対する上告受理申立てについて,受理しない決定をした事例
【事案の概要】 本件は,本件建物の賃貸人である被控訴人X1が,賃借人の控訴人に対し,賃料不払を理由とする催告による債務不履行解除を原因として本件建物の明渡しを求め,控訴人との間で賃借人の債務の保証委託契約を締結して,本件賃貸借契約の保証人となった被控訴人X2が,控訴人に対し,被控訴人X2が控訴人の未払賃料等の5か月分について代位弁済した金員の支払を求める事案
【訴訟経過】第1審の神戸地方裁判所尼崎支部平成25年5月29日判決が被控訴人らの請求を全部認容した
 控訴審である大阪高等裁判所平成25年11月22日判決が,前提となる事実,争点及び当事者の主張並びに当裁判所の判断のいずれも第1審判決を引用せずに記載した判示をした上で,これと同旨の原判決を相当として控訴を棄却した
 原判決の判断内容
 ア「弁論の全趣旨によれば,控訴人は,平成24年4月分~平成25年3月分までの賃料等を支払っていないことが認められる。よって,被控訴人X1は本件賃貸借契約を解除することができる。これに対し,控訴人は,平成24年4月分~平成25年1月分の賃料等については,被控訴人X2がこれを代位弁済しているから,控訴人に賃料等の不払はないと主張する。そして,証拠(省略)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人X2は,被控訴人X1に対し,平成24年2月~平成25年6月まで,毎月の賃料等7万8000円に相当する金額を代位弁済していることが認められる。」
 イ「本件保証委託契約のような賃貸借保証委託契約は,保証会社が賃借人の賃貸人に対する賃料支払債務を保証し,賃借人が賃料の支払を怠った場合に,保証会社が保証限度額内で賃貸人にこれを支払うこととするものであり,これにより,賃貸人にとっては安定確実な賃料収受を可能とし,賃借人にとっても容易に賃借が可能になるという利益をもたらすものであると考えられる。しかし,賃貸借保証委託契約に基づく保証会社の支払は代位弁済であって,賃借人による賃料の支払ではないから,賃貸借契約の債務不履行の有無を判断するに当たり,保証会社による代位弁済の事実を考慮することは相当でない。なぜなら,保証会社の保証はあくまでも保証委託契約に基づく保証の履行であって,これにより,賃借人の賃料の不払という事実に消長を来すものではなく,ひいてはこれによる賃貸借契約の解除原因事実の発生という事態を妨げるものではないことは明らかである。よって,控訴人の上記主張は理由がない。」


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賃料の支払をしなかった賃借人が,「私の代わりに保証会社が支払ったんだから,賃貸借契約の解除はできないだろ!」と主張したわけですね。
細かい事情は不明ですが,まともな主張とは思えませんね~~

非常識な主張は通らないという良い例だと思います

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