【深津慶造】喫茶店チェーンの「コメダ珈琲(コーヒー)店」(本社・名古屋市)が、首都圏や関西圏で店舗を増やしている。来年以降は東北、九州への出店も検討していて、数年後には現在の倍の1千店をめざし「国内のカフェチェーン3強の地位を確立したい」と意気込む。「のんびりできる」というのが受けているという。
東京都三鷹市。JR三鷹駅から延びる幹線道路沿いに、「コメダ珈琲店三鷹上連雀店」はある。
平日の午前10時すぎ、32卓あるテーブルは埋まっていた。お受験帰りの家族連れや語らうカップル、読書する一人客などがくつろぐ。入り口には席が空くのを待つ客が並ぶ。
名古屋の喫茶店といえば、飲み物を頼むだけでパンやサラダが無料でつくモーニングサービスが有名。コメダ全店でも午前7~11時、ドリンクを頼めばトーストとゆで卵がつく。
しかし、福島規子店長(36)は「名古屋ではほとんどの人が頼みますが、こちらでは『いらない』と言う方が多い」という。
家族で訪れた客は、コメダの魅力をこう語った。「のんびりできる。駐車場も広いし、雑誌をずっと読んでいても、嫌な顔をされない。東京では、なかなかこういうところが見つからなかった」
ログハウス風の広い空間に、ゆったりめのソファ。主要な新聞は全紙、雑誌も数種類置く。郊外店なら平均30台分の駐車スペースを設ける。
同社の駒場(こまんば)雅志常務は「家庭の応接間のような雰囲気でくつろぎたいというニーズに合った。友人同士が車で集まり、ゆっくりコーヒーを楽しめる場所も、ありそうで意外にない。いわゆる『名古屋メシ』が受けたとは考えていない」と話す。
店づくりのコストはかさむが、食材を絞ってロスを少なくするため、例えば、エッグバンズとハンバーガーはパンが同じで、エッグバンズに使う卵はモーニングの卵と同じものを使う。モーニングで出す厚切りのパンは、切り方を変えてサンドイッチにも流用する。
メニューも、東海と関東、関西でほぼ同じ。名古屋の激しい喫茶店競争を勝ち抜いてきただけに、効率化も徹底している。
店舗数は、2007年度に東海3県と東京、神奈川、静岡、奈良、滋賀の8都県で318店だったのが、今年12月26日現在では、北は新潟から南は徳島、香川まで25都府県475店に広がった。
国内のコーヒーチェーン店でみると、ドトールコーヒーが1113店(今年11月末現在)、スターバックスが955店(同3月末現在)と2強で、コメダ珈琲店は、続く461店(同4月末現在)のタリーズコーヒーと3番手の地位を争っている形だ。
東京には07年に初出店し、現在19店舗。駒場常務は「どこの地域でも、『くつろぎたい』というニーズはある。今後も東北、九州への出店を強化する」と話す。
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〈コメダ珈琲(コーヒー)店〉 1968年、名古屋市で創業。東海地区を中心にフランチャイズ方式で店舗を展開し、関東には2003年6月に横浜市、関西には06年11月に奈良市に初出店した。08年に国内投資ファンドが買収してからは、全国展開が加速している。名物メニューに、温かいクロワッサンにソフトクリームがのっている「シロノワール」がある。
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