スプラウト 会計のはなし、日々のはなし

名古屋市千種区の税理士法人スプラウトの税理士/社労士/CFP®が綴る日々の様々なこと。

コハダと大トロはどちらが儲かるか?

2008-10-29 17:06:09 | Weblog
「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?」
を読みました。

もう2年くらい前に出た本で
すっと気にはなっていましたが
ようやく買って読みました。

いわゆる会計本ですが
会社経営に必要な会計の見方を
小説形式で紹介しています。

ストーリーは

父である社長の死により
突然社長に就くことになった経営の素人である娘が、
近所に住む会計士にコンサルを受けながら
会社の立てなおしをする・・

という感じで
話の中ににうまく会計の考え方を絡めています。

主人公はこの会計士と月に1回、
おいしいものを食べながらコンサルを受けるんですが

ある寿司屋に行ったとき
「コハダと大トロはどちらがもうかるか」
をいう話になり

「大トロは一貫500円。 
 それに対しコハダは一貫100円。(原価率はどちらも50%) 
 単価が高く利益も大きい大トロの方が儲かるに決まっている。」

 と主人公は答えますが

「実はコハダのほうが全然儲かるし、資金的な効率もコハダの方がよい」
ということを会計士は数字を使って理論的に解説します。


それとタイトルにもなっている
「餃子屋と高級フレンチはどちらが儲かるか?」 については 

 ・餃子屋と高級フレンチでは固定費と変動費の構造が違う
  
 ・餃子屋は利益率は高くないが固定費が少なくてすむので
  商売としてリスクは低い。  
 
 ・逆に高級フレンチは固定費が高い分利益率も高くしてあり
  繁盛すれば大変儲かるが、店がつぶれるリスクも高い。

という視点で上手に解説していました。

著者が
「経営に役に立たない会計は、ほとんど意味を持たない。」

「経営における会計の使命は、会社の活動を「可視化」すること。」

といっていたのは私も「そのとおり」と思いました。

会計をわかるには
(会計のプロになるのでなければ)
簿記を勉強するよりも
こういう本をたくさん読んだほうがいいですね。

バランスシート

2008-10-22 18:20:30 | Weblog
クライアントと
数字を見ながら話をしていると

「損益計算書はわかるけど
 貸借対照表は何を見ればいいのかわからない。」

という方が非常に多い。

損益計算書は
今期いくら売上があって
かかったコストはいくらで
結果、黒字なのか赤字なのか

という表ですので理解しやすいですが

貸借対照表って
どこを見ればよいのか
わかりにくいかもしれません。

貸借対照表のつくりは
左側に「資産」
右側に「負債」と「純資産」
と並んでいて

右側が「お金をどこから調達したか」を表します。
 「負債」は他人から借りたお金 → 返済が必要
 「純資産」は自分(株主)のお金 → 返済不要

左側の「資産」は「集めたお金の運用形態」です。

集めたお金で商品を買ったり
商品を売った代金が売掛金になったり
車や備品を買ったりするわけで

その状況が「資産」として表示されます。

貸借対照表のポイントはいろいろありますが
まず最初に見るべきは
「純資産」です。

いい状態の会社は「純資産」が大きいが
状態の悪い会社は「純資産」がマイナスになっていたりします。

「純資産」は
商売につかっているお金のうち
「自分のお金」のことですので

「純資産」がマイナスっていうことは
商売に必要なお金を全て他人からの借入でまかなっている
という非常に危険な状態を意味します。

利益が出るとそのお金は
「純資産」に含まれるので
いい状態の会社はどんどん「純資産」が膨らんでいきます。

あと大事な点は
左側の「資産」は
お金になりやすい順番で上から配列されていますので
「頭でっかち」の状態の方が
資金的な安定感があります。

右側の「負債」と「純資産」は

「1年以内に返すお金」
   ↓
「返済期間の長いお金」
   ↓
「返す必要のない自分のお金」

という順番で並んでいるため
下の金額が大きいほうがよい状態です。

とりあえず
これだけ確認するだけでも
会社の状態がおおむね把握できます。

「木よりも森を見ましょう」

図解する

2008-10-15 18:19:10 | Weblog
数字が並んだだけの決算書って
わかりにくいですね。

もちろん
我々はプロなので
数字を見れば
会社がどんな状態なのかは
わかるのですが

プロでない人が見ても
わかりやすいものが作れないかを
ずっと考えていました。

決算書が読める人というのは
あまり細かいところは見ないで
全体を俯瞰しています。

なので細かい数字は無視して
大事な数字だけまとめて提示できないか?

と、その結果たどりついたのが
「決算書の図解」です。

ただし私のエクセルの知識では
思っているようなものを作ることができず
実現できないままになっていました。

先日スタッフに
「決算書の図解」について
「こういうのが作りたいんですよね。」と
いう話をしてみると

「それなら、多分作れますよ。」と
思っていたのにかなり近いものを作ってくれました。

ためしに
いくつかの会社で作ってみましたが

「いい状態の会社」と「悪い状態の会社」が
一目瞭然でした。

「悪い状態の会社」から
「いい状態の会社」になるには

「いい状態の会社」と同じ形の決算書を目指せばいいはず。

では「いい状態の会社」と同じ形にしていくには
まずココをこうしないと・・・

というように使っていきたいと思っています。





















アスクル

2008-10-08 17:35:20 | Weblog
「アスクル」
よく利用します。

分厚いカタログを見て
ネットで注文すると
翌日には届きます。

早いときは
午前中に注文して
その日の午後に
届くこともありびっくりします。

「アスクル」は
文房具メーカーのプラスが
はじめたビジネスですが

アスクルができるとこで
既存の取引先である文房具屋さんが
危機的な状況になるのを避けるため

アスクルのビジネスモデルの中に
町の文房具屋さんをうまく取り込んでいます。

アスクルはカタログの製作、受注、配送などを手がけ
文房具屋さんは顧客の新規開拓、代金の回収を行います。

文房具屋さんは自分で開拓した顧客がアスクルで買い物をする都度
その代金の何%かを受け取るという仕組みになっているようです。

先日、アスクルで
ケシポンという
郵便の宛名を消す
スタンプを購入しました。

今まではいちいちシュレッダーをかけたり
シュレッダーはさみで細かく切ったりと
手間がかかりましたが

このケシポンはスタンプを押すだけなので
とっても楽です。

資金繰り

2008-10-01 18:30:27 | Weblog
会社にとって
資金繰りは
身体をめぐる血液のようなもの。

売上がどれだけ増えても
利益がどれだけ上がっていても

資金が回らなくなったら
事業はできなくなります。

長い目で見れば
売上が増え、利益が増えれば
それはいずれ必ず
資金の増加に結びつくはずですが

売上、利益の立つタイミングと
資金が入ってくるタイミングは
ズレることが多く(大体入金が遅れます)

儲かっているはずなのに
資金が苦しくなる

ということもよくおこります。

なので
多くの企業は
金融機関から融資を受けて
このタイミングのズレによる資金不足を解消します。

金融機関が融資の審査をする際に
重要なのはやはり
「決算書」です。

税金のことだけ考えると
赤字にするのが一番ですが

赤字では融資を受けるのが厳しくなります。

金融機関がチェックする
「決算書」のポイントは以下のとおりです。

1.損益計算書
  ・経常利益、営業利益
   → 本業の利益を表す経常利益、営業利益が黒字かどうか。
     減価償却はきちんとしているかどうかもチェックします。

  ・役員報酬
   → 代表者の役員報酬はどのくらいか。代表者は連帯保証人になるため
     代表者の役員報酬があまり少ないのはマイナスです。

  ・売上
   → 過去の売上と比較し、どのように推移しているか。
     それと同じ利益でも売上の総額の多いほうがプラスです。
     (入金の多い会社の方が回収しやすいから)

2.貸借対照表
  ・純資産の部(資産-負債)
   → ここは金額が多いほど評価されます。
     逆にマイナスの場合(債務超過)は厳しい評価になります。
  
  ・資産の部
   → 資産の部は基本的に現金化しやすい順に上から並んでいるため、
     流動資産の割合が多いほど評価されます。
     
  ・負債の部
   → 流動負債と流動資産の関係を見ます。
     短期の借入である流動負債が現金化しやすい流動資産で
     まかなえているかどうかがチェックされます。
     あと税金の滞納があると融資は受けられません。

融資をうけることのできる金額の目安は
一般的に月商の2~3ヶ月分といわれています。

但し借りる際には
「返済能力(税引後当期利益+減価償却費)> 年間の返済額」
となるように条件設定しないと
その後返済不能に陥りますので注意しましょう。