スカーレット手帖

機嫌のいい観客

猫と裁判

2014-06-18 | 観劇ライブ記
思い出し舞台感想その3



6/7 ソワレ。そう、この日は1日二本立てだった。(昼は赤鬼
夜に見にいったのが「猫と裁判」でした。
会場は新宿のスペースゼロ。会場名はよく聞くところだったので、ここも1回行ってみたいなと思っていたんです。
イケメン舞台聖地のひとつでしょう。機会があってよかったな。

今回は朗読劇、そして、事前にちらっと原作の情報を見たところ、なんだかどう見ても暗そうだ。
そんで、猫の話だけど、私べつに猫が好きなわけでもないのね。(あんまり関係ないか?)
まあ、もう演目よりも村井くんを見に行くの日であったので、正直期待値はさほど高くありませんでした。
村井くんどうやってやってるかなって。あと、なるせゆうせい演出でどうなるのかなって。
あとは、もっくん(太田基裕)元気かなって…。
そんな感じで、ある意味気軽に見に行きました。

そんな低い期待値は、いい意味で裏切られました。
なにこれ。わりかし緊張感とスピード感があるじゃないの。
話はなんというか「嫌われ松子の一生」のような、自業自得も含めてとてつもなくかわいそうな女が、
かわいがっていた猫までかわいそうなことになって、救いようがなさすぎてもうめっちゃくちゃかわいそう!!
・・・って感じの話なのですが、
松子もそうだったけど(あれは演出もあったけど)、
ひどすぎる悲劇って、匙加減によってちょっと面白かったりするのですね。
そんなアホな、みたいな感じになって。
けっこうグロテスクな表現(会話だけだけど)も含まれていたせいもあったのか、
それと同じような、ちょっとしたキッチュさを個人的には感じつつ、100分ほどの展開を飽きずに観終えました。
退屈するかなと思ってたんだけど意外だった。
終演時には鼻をすする音も聞こえて(私は泣いていないが)、まじめに見て刺さるというのもあるんだな、と思った。

出演者はみんな白い衣装を着て登場してきた。
舞台上にいくつかイスが置いてあって、場面に合わせて座り換えたりしながら表現していくスタイル。
その中で、村井くんの役だけが、自由に舞台上を行ったり来たりしながら語っていく。
殺人被害者の役で、もう死んでるからね。

・・・すごい偉そうなこと言っていいでしょうか?

村井くん、日本語うまくなった。

村井くんのことは、ファンと自覚しているのですが、それ故に気になっていることあった。
華がある、動ける、歌える、体力あるしお芝居のカンもイイ、と万能感があるから逆に目立って感じるのか、
以前からところどころ、セリフが「ん?」となるところがあるなぁと思っていたんです。
どこというのが具体的に説明できないんだけど、
言葉のつなぎ目のところでアクセントがちょっと不自然になるタイミングがある。
いつもではなくて、たまになんだけど。
イメージでいうと、
国語の時間に一生懸命本読みしてるんだけど、知らない言葉なのでその単語だけ実感がこもってなくて、
アクセントが合ってない
みたいな不自然さ。(うーん、説明しづらい。)

それが、今回ほぼなかった。少なくとも私が見ている範囲では。
朗読劇で言葉に集中せざるを得ない演目だっただけに、
これは個人的に、けっこう感動しました。(何様やねんお前的な指摘は甘んじて受けるよ!)
動きが派手なときだとごまかされちゃうと思うんだけど、言葉を聞かせる演目で言葉が美しいのは、
あたりまえだけどとても良い。
きっと途切れない仕事にストイックに取り組んでいる内にいろんなものが磨かれていってんだろうなーと、
しみじみ思いました。
大御所の大和田獏・そしてこちらも意外やけっこう上手い白石美帆という先輩俳優に囲まれて、
そん色のないセリフ回し、そして相変わらずの存在感(これは天性のものもあるのかもしれない。うまいね。)でした。
ほんとに、村井くんってまあまだ3年ぐらいしか見ていないんだけど、
そんな私から見ても「メキメキ」と音が鳴るほどのキャリアの積み方と成長っぷりと思うので、
今後も見ていきたい。素敵です。

もっくんは出番が少なめだったものの、これもソツなくこなしていた。
声が細めだと思っていたけど、結構腹から出ているのかもしれない。聞きやすかった。
ペダルのおかげか?バンドの賜物なのか?
一部セリフで村井くんとユニゾンになるところがあり、ここは息の合った呼吸を見せてもらいました。

背景にときどき映し出すパワーポイントのような映像がなんか気分を削ぐ場面もあったけど
(あれ別に背景なくてもよかったんじゃないのかな、BGMだけで)、
脇も熱演の光る、おおむね面白いステージでした。
うむ、朗読劇も意外といいものかもしれません。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。