マーサの昔話

デジカメでの景色や花、動物などの写真
海外体験談、今日の一品、糖分控えめ?なおやつ等‥‥‥

赤い糸の伝説 ?  SR8

2009年03月28日 | Scottish Romance
  
 エディも私が全く、違う事を考えているということは、既に分かっていたようでした。
 ある面、エディではなくて、マイケルと踊っていたのかもしれません。
 措きかえられたエディにとっては、堪ったものではありませんが
 いや、それは、私の考え過ぎかもしれません。

 ダンスタイムも終わり、席に戻り私は、質問攻めにあった。 

 「 君、恋しているね。 地元の人かい? 同じ旅行者? 
   それとも、日本のボーイフレンドを思い出しているの? 」

 「 いいえ、そんな方、いらっしゃればいいのですけれど。 残念ながら、いませんの・・・
   ただ先程、友人と食事に出かけた時に、少し、もめてしまって、怒っているだろうか?
   とか色々、思い廻らせているだけですわ。 」

 「 そう、それで、その友人というのは男性だね? 」

 「 ええ、確かに、ご推測の通りよ。 」 

 「 そんなに心配されているなんて、何て、幸せな奴なんだ。 うらやましいよ。 」 
 
 「 そんな、ただの友人よ本当に。 今日のお昼過ぎに知り合ったばかりの青年で・・・ 」

 「 君は、その青年に恋している様に思える。 先程、ダンスをした時、随分楽しそうに
   踊っていただろう。 最初、気づかずにいたが、君の目を見た時、僕の姿が映って
   いなかったし、君が全く他の事を考えていたのも分かった。 
   そんなに、君を釘付けにしているなんて、何て幸せな奴なんだ。 」

  と青い瞳を輝かせながら、口髭を撫ぜている。

 「 エディ、彼の事はもういいのよ。 本当に、半日だけのお付き合いで、終わった
   人なんですから。 もう、二度と逢えないだろうし、・・・ もう、いいの。 」 

  と少し投げやり気味に話す。 エディは、つかさず言ってきた。 

 「 じゃあ、今は、僕が君に名乗りを挙げてもいいんだね。 
   実はね、君に対して、奇妙な関心が湧いてきたんだ。
   君とは、何か見えないものに操られている様な、そんな感じがしてならない。
   君に対して、すごく興味が湧いている。 いきなり、こんな事言うのは、早い? 」
 
 「 どういう意味? ( 赤い糸の伝説って言いたいのかしら。 ) 」

 「 君が、ちょっぴり気になるのさ。 今日、逢ったばかりだけど、不思議な位
   よく会うし、お互いが引き寄せられている様な気さえする。 
   そして、出逢う度に、僕の心の中で、君のウェイトが大きく占める様になったのさ。
   おかしいかい? 」

 「 エディ、それは考えすぎよ。 同じ階の部屋だったら、使うエレベータも同じ日に
   2、3回位、エディ以外の人だって、会っている人はいるわ。
   そんな理由じゃ、付いていかないわ。 
   未だハッキリと好きなタイプだという方が、裏がなくてストレートでいいわ。 」

 暫らく話題がとぎれてしまったのは、私のせいのようでした。 いとも簡単にエディの
気持ちを、潰しにかかって、憎たらしささえ、その時の私は、持っていた様でした。
 私は、夜景を見て、その数少ない灯りの中に、マイケルを想い浮かべておりました。
 そして、溜息ばかりついていました。 数少ない灯りの中に、車が通って行くのを
見つめながら、ふと淋しくなりつつある私を、自分自身で、感じとっていました。

 エディは、又タバコを吸い始め、時折、私の方を、ちらちらと見ている。
 エディの顔、ボーっとしか見えませんが、私が思うのには、あの髭がなければと
言えるほど、似合ってはいないのです。 クラーク・ゲーブル程、威厳のある人なら
未だいいのですが、エディは未だ若い故、何か中途半端な気がします。
 私は、極力エディとは、目をあわさない様にしている。 
 でも、ついに二人の目が合ってしまった時、エディは、重い口を開いた。 

 「 僕を軽蔑しているのかい。 何て、単純でバカな男なんだと。 君は違う男性を
   慕っているのに、僕が中に割り込もうとしているので、何てうるさくて嫌な
   奴なんだと思っているだろう。 確かに、僕はパートナーを探している。 
   でも今は、君と飲んでダンスして、話をしたいだけさ。
   だから君もリラックスして、楽しいひとときを送ろうよ。 
   そして、欲を言えば、コンタクトレンズを入れて、僕もよく見て欲しい。
   少しは、僕の良さも分かってもらえる筈なんだけど。 」

 とゆっくり話してくれた。
 
 コンタクトレンズだって、失礼しちゃうわ。 何て、一言が多い人かしら・・・
 でもよく分かったわね。 私、又、目を細めていたのかしら・・・
 と考えながら、先程、シャワーを浴びた時、外したのを思いだした。

 エディの観察力には、少々、驚かされたが、記者という職柄なのかもしれない。
 私はレンズを入れて出直しましょうかというと、 

 「 いいよ、いいよ、ただ、今、君の目の前にいるのは、僕なんだからね。
   もう少し、興味を持ってくれればと思っただけなんだ。 」

 その言葉を聞いて、今更ながら、申し訳なく思えてきたのでした。
 


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