ソーシャルワークの TOMORROW LAND ・・・白澤政和のブログ

ソーシャルワーカーや社会福祉士の今後を、期待をもって綴っていきます。夢のあるソーシャルワークの未来を考えましょう。

介護保険施設や訪問介護事業者の離職要因について①

2009年08月14日 | ケアや介護
 介護職の離職や高いということで介護職が集まらないということで、大阪府下の特別養護老人ホームと老人保健施設の介護保健施設を悉皆で調査した。他方、大阪市内の在宅の訪問介護事業者を悉皆で調査した。これは、事業者の管理者を対象にした実態・意識調査であるが、調査にお応えいただいた皆さんに感謝する次第である。

 そこで、介護保険施設と訪問介護事業者の2回に分けて、調査結果のポイントと課題について示しておきたい。

1 介護施設における職場の特徴と施設職員の離職との関係<施設管理者への調査をもとに>

 介護保険施設の需要が高まっているが、介護施設における職員の離職率が高く、問題となっている。本研究では、施設管理者に対する調査をもとに、どのような職場の特徴が、職員離職率に関連しているかを明らかにし、施設における職員定着率を向上させるための提言を行う。

 調査方法は、大阪府の介護保険施設527ヵ所の管理者に郵送調査を実施し、回収率は29.6%(N=156)だった。

 調査の結果、離職割合について、「大変高い」が4.1%、「高い」が47.6%、「低い」40.4%、「とても低い」が4.8%と管理職が意識しており、離職意識に介護保険施設間で大きな差があることが分かった。

 管理者の捉える介護保険施設の状況について因子分析にかけた結果、「職場内外での関係」、「職場の研修体制」、「職員の待遇」、「事業所としての支援体制」、「職員に対する尊重」の5因子が抽出された。すなわち、管理職の意識として、上司や同僚や地域の人の評価といった「職場内外との関係」、職場内と外での「研修体制の整備」、給与等の「職員の待遇」、休暇等の「事業所としての支援体制」、職員の意見の反映といった「職員に対する尊重」の5つでもって、介護保険施設の構造としていることが分かった。

 この5因子を従属変数、離職状況を独立変数としてt検定を行った結果、「職場内外の関係」と「職員の待遇」において高い有意差が示された。これにより、施設内において良好な人間関係を保つことや、利用者・地域からの高い評価を得ること、職員に対する給与や福利厚生を充実させることが、施設の介護職の離職を改善することに有効であることが分かった。

 これは、管理職の意識調査であり、離職者調査でない限界はあるが、管理職の意識として、国なり介護保険施設がどのような施策を行う必要があるかが明らかになった。

 今年度は、いくつかの介護保険事業所にモデル的にお願いして、これらの明らかになった課題を具体的に解決していくことで、離職率に抑えることができるかを検証してみたいと思っている。

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1 コメント

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面白い調査ですね (訪入)
2009-08-14 15:29:03
回収率が思わしくないようですが、面白い調査ですね。

特養、老健、その他居宅介護事業所。規模の大小とは別に、その経営者の事業に対する姿勢というのも、大きな要因になるのではないでしょうか。少なくとも私は報酬の額や福利厚生だけでは(勿論大事なことですが)、職場を選びたくありません。

革張りの椅子にふんぞり返っているだけの口だけトップと、きちんと現場を把握しているトップや自らも現場業務を行っているトップとでは、どちらが良い職場環境になるでしょうか。