カラスのたまり場。

日記と詩と雑記のオンパレード。
思いついたものを思いついただけ書きます。

蝉の話

2011-08-16 21:53:32 | 断片
母と海へ行った。
母は船酔いしやすい体質で、
浮き輪の上で海に浮かんでいるだけで酔うそうだ。
30分も浮き輪の上でプカプカしたら「もう限界だ」と海岸に上がって海を眺めていた。

私はというと、水中眼鏡に浮き輪を持って海中散策。
ただ魚が泳いでいる様を見ているだけが楽しい。
綺麗な貝殻を見つけて拾ってみてはヤドカリが住んでいて海に返したり
磯巾着を見つけては石を置いて捕獲させてみたりと、
一人でも結構遊べるものだ。

しばらく一人遊びしてるとふいに母が言った。

「あっ蝉が」

「…えっ?蝉?」

「ほら、さやちゃん蝉が飛んでて急に海に落ちた」

「えっ?どこ?」

「ほら、2m先くらい」

母の指指す方を見ると、確かに蝉が海面に揺られていた。
近付くと、既に腹を上にして、もがいている様子も無かった。
死んだか…可哀相に…と思ったが、私は手で掴むのが出来なかったので
浮き輪を使い少しずつ海岸へと寄せた。
途中、浮き輪に蝉がしがみつき出したのでまだ生きているのがわかった。

「何蝉?」

「わからない。何か緑色っぽい」

「ミンミン蝉かな?」

「わからない」

海岸近くまで来ると、母が蝉を掴んだ。
私はぎょっとした。と同時に虫を素手で掴む母を尊敬した。
掴まれた蝉は「ミンミンミンミ…」と大きな声で鳴き出した。

「ほら、やっぱりミンミン蝉だ」

母は嬉しそうに流木の上に蝉を置いてあげた。
蝉の羽は濡れていて、飛べそうにもない。
よじよじと少しずつ歩き出す蝉を私はしばらく眺めていた。

「あ、くもの巣がひっかかってる」

よく見ると確かに羽にくもの巣がついている。
それが原因で海に落ちたのだろうか?

可哀相に、と言いながら母がくもの巣をとってあげる。
また蝉は触るなと言わんばかりにミンミンミンミンと鳴き出した。

「こら、取ってあげてるんだから騒がないの」

「ミーンミンミン…」

私はただその情景を眺めていた。
それは少し微笑ましくて、笑みが零れる。

「ほら、さやちゃん、蝉が木の汁を吸ってるよ」

「本当だー。でも流木なんか吸っても美味しくないよね…」

「この蝉もう死んじゃうのかなぁ」

確かに蝉は地上に出てから7日しか生きないらしいので
今死ななくてもその内に死ぬ。
しかしここで懸命に生きようとしている蝉を見ると
少しでも長く生きて欲しいと思った。

「ミーンミンミン…」

蝉はしばらく鳴いたり歩いたり、羽を広げたりを繰り返していた。
少し飛んだ。
また落ちた。
仰向けになった。

「あっ…もう死ぬのかな…」

今度はバタバタともがいていた。
近くにあった石を蝉に近づけて掴ませ、起こしてあげる。

「折角だから…、木に返してあげようかな…」

と思ったが触れないので、木の枝に捕まらせてあげようと
枝を近づけたその瞬間

「あっ」

バササササッ

羽を広げ、蝉は飛んだ。
上手く飛べるか見ていたが
落ちる事なく森に向かって飛んでいった。

「ばいば~い、元気でね~!」
恩返しはきっと無いと思うけど
一つの命を助けた事は
いい夏休みの思い出になりそうだ。

信じるって難しい

2011-08-15 21:51:09 | 衝動詩
君の言葉はふいに優しい
僕の心を見透かしたように
欲しい言葉をくれる
それは安心という名の薬
僕がいつも欲しがっているもの

君の言葉はたまに冷たい
僕の心を遠ざけるように
遠ざける言葉を吐いて
僕を試してくる
そしてまた不安になる

僕の気持ちはいつまでも
君の一言に左右される
信じるって難しい

どうして

2011-08-14 08:28:49 | 衝動詩
どうして離れているのだろうか。
すぐに会えない
すぐに触れない

自分の気持ちが歪んでいるのか
心が離れて行く気がする

追いかけて追求するのは、きっと重たいね。


なんだか本音を隠されてる気がして
気づいてって言われてる気がする
そりゃ君の機嫌を損ねないようになっていくよ
相手が自由にしたくて檻を開けるけど
足に糸が絡まったまま


君の事を考えると
何だか動いちゃ行けない気がして
一途なんだよ?
でも自由でいたいの。