明けましておめでとうございます。新年は幕末軍装で迎えさせていただきます。
慶応三年正月に描かれた錦絵「調練歩行の図」より、幕府陸軍・組合銃隊の司令官を描いてみました。
赤い笹縁と袖口に折り返しの付いた紺か紫のレキション羽織に緋色のベスト、金で破軍星と雲の描かれた韮山笠をかぶっています。
絵では後に続く鼓手は黄色のそぎ袖羽織、笛手は紺のレキションにバスドラム担当は緋色のレキション。教導方の下士官は紺のそぎ袖羽織を着ているようで、兵卒はいたって普通な韮山頭巾に筒袖ダンブクロ姿です。しかし隊長のみならず、楽手も下士官も革靴履きです。
一隊ごとに相当金かかってます…。
慶応二年の兵制改革では洋式銃隊の拡充を図るべく、従来の歩兵組とは別に旗本の石高に合わせて決められた数の兵卒を雇わせ、雇い主の旗本を士官とする「組合銃隊」制を定めました。
これは七千石以上の家で歩兵小隊が一個出来る計算でしたが、六百石くらいだと十個以上の家の人員を合わせなければ小隊が揃いませんでした。
これでは一個大隊作るだけで大変で、しかも各家から差し出された士官と兵員の質がバラバラという有様でした。
結局見直しが決定されて翌慶応三年九月に廃止となり、一度雇った兵士も解雇されました。その数実に4000人!この多数の失業者の群れは江戸の社会問題にもなりました(最も歩兵組も人員増強の必要があったため、再就職は可能だったでしょう)
その軍装ですが、士官兵とも各家・小隊ごとに朱色や黄色、萌黄のそぎ袖羽織に装飾の施された韮山笠や突盃頭巾など、それぞれが意匠を凝らして着飾っていたようです。
期間は短かったものの、その派手な姿が町人には面白く写ったようで、よく錦絵の題材にされて今日にその姿が残っています。
組合銃隊の一個大隊が日本橋を渡る図、越中島の訓練場で大規模な調練を行ってる図。また双六の題材などにも使われました。
軍装の一例
第一小隊は連雀町の皆川連之丞の隊にて真先に二つ巴の定紋染め抜いたる縮緬の旗を押し立て二人の鼓手は緋羅紗のそぎ袖に白羅紗揃ひの
戎服に金紋打ったる韮山笠を冠り歩兵は紺呉絽揃ひの服装にて笠は役員と同じものを戴き意気揚々たる後とに続いて第二番小隊は駿河台の…(太田臨一郎「日本近代軍服史」より)
それではこの記事をもって新年のご挨拶とさせていただきます。(なんて無理やりな…)今年もよろしくお願いします。
幕末軍装を製作しようと思っておりまして、色々と拝見させて頂きました。
隊長クラスは、中島さん辺りを資料とすれば大丈夫でしょうか・・・(苦笑)
また、更新の方を楽しみにしております。
それでは失礼しました。
軍装の自作!?すごいです。自分は縫物好きだけどいまだにミシンが使えない無進歩者ですので、うらやましい限りです。
(所持している軍装は南北戦争の軍服改造品とか和服屋さんで作ってもらった筒袖ダンブクロとか、買い合わせばかりです)
どうしてもレプリカの手に入らない韮山笠とか歩兵刀とか、裁縫よりもクラフトにいってしまいがちなもので…。
幕軍将校の洋装でしたら、戊辰~函館戦争時の頃のでしょうか?写真ではシングルやダブルブレストのフロックコートみたいなのが多いみたいですね。決まった形のものはなく、中古やテーラーメイドなどゴチャ混ぜで着ていることが多いので割とフリーダムで問題ないと思われます。
中島三郎助さんはマントを羽織ってますね。あの写真はカッコいいと思います。
それでは。近々更新しようと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
娘には、こちらの司令官の格好をして貰おうと思います。
羽織の折ってある所を流石に更紗は無理なので、綸子を使ってそれらしく再現出来たらと思っております。
>使うのはウール地ではなく、ポリになってしまうのですが・・・。
私は、洋装で、何処かの隊長クラスの格好が出来ればともくろんでおります。
また出来上がったら、お知らせしにこれたらな、と思っております。
それでは失礼致しました。
来年から来月へ変更とは、なんと大変な…!
小生のイラストで参考になればよいのですが・
古写真などで見ますと、レキション羽織の折り返し部分は表の生地と同じであることも多いです。(その分、若干地味になってしまいますが…)
今更で難なのですが、参考文献としましては、
太田臨一郎「日本の軍服 幕末から現代まで」国書刊行会 1980年
の最初の項に幕末軍装の写真が多く掲載されております。(書籍自体高いうえに絶版なのですが、大型の図書館などであればたぶん閲覧可能です)
時間など、まだ間に合えばご参考ください。
また何かありましたら、気軽にお声かけてください。
当日暑くて、大変でしたが、本人も楽しんでいたのでよしとしました(苦笑)
塗りの笠迄流石に手が出せず、今回は一本帯刀+なんちゃって指揮棒?の様なものを持たせました。
来年また参加出来れば、今度は蝦夷共和国海軍で是非参加出来たら良いなともくろんでおります。
時代祭でしょうか?素晴らしいです(学生時代にいくつか参加しましたが、社会人になってから行く機会が…楽しかったなあ)
イラストの(正確には錦絵の)レキション羽織が現実に形になっていますね。
独特の洋式コート+陣羽織の雰囲気が素晴らしいです。
陣笠よりは帽子なしか鉢巻(鉢鉄)だけというのもかっこいいかもしれないですね。
実戦では脇差を省略して打刀のみの士官も多かったようなので、一本差も正解だと思います(笑)
。
袖の合印から、戊辰戦争後半の新撰組とお見受けします。
次回は箱館共和国海軍を予定とのこと、
もしなにかありましたら、またお気軽にお声をかけてください。
幕府海軍のイラストを前々から計画中で資料を集めております。(完成は未定ですが…)