『………!!!』
そのつぶやきが聴こえた瞬間、何とも不快なモヤが頭の中を覆った………。
先日、バスに乗った。
曲がりなりにも………俺的には一応、今年の仕事?初めでもあった。
身体はどこまで行っても不調ながらも…それなりに体調を整え、早起きしてシャワーを浴び隠れ家を出発したのだった。
厳冬の空気は澄んでおり、バス停を吹き抜ける風は冷たかったが透明だった。
爽快な朝だった……。
その爽快さが曇りがかって来たのは定刻を10分近く遅れて到着したバスに乗り込んでからであった。
なぁに………通勤通学時間帯のド真ん中、バスが遅れたり客が満員でごった返している事ぐらい想定範囲内。出来れば遭遇したくは無いが…心得ている。
しかし何より先ず気になったのは………………運転手。
1番冷静でなくてはならない肝心の運転手が明らかに苛立っているのだ。
それはバスの奥の奥………運転手の溜め息まで聞き取れる車内スピーカーの真下で立っていた俺には良く分かった。
車内は賑やかだった。
確かに満員だというのに車両前方、乗車口の真ん前に陣取り大声で喋りまくって動かない女子高生には俺も辟易したが………………それは日常のバスにおいて特別な事では無い。
そんな事は他の誰でも無い運転手が1番知っている事であろう。
『ならば何が………』
そんな事を考えながら、車内でも一際高い位置に立っている180cmは辺りを見回した。………………………………と程無く、フロントガラス越しに1台の青色のバスが目に入った。
確かにそのバスは俺の待っていた停留所でもこのバスの直前を走行していた。
そして………………………………………………………………………………………………車椅子の子供達を乗せていた。
そう、それは『養護学校』のスクールバスだったのだ。
俺の乗ったバスはどうやらこの早朝の混雑する片道2車線の道路で、偶然にも養護学校のスクールバスのスリップストリーム(要するに真後ろ)に潜り込んでしまったらしい………。
遵守すべき時間のある市バスさんには少々お気の毒な気がしないでも無いが、それはさすがに……誰の目にも仕方の無い事。
しかしそのスローな挙動にこちらの運転手は余程イライラしているらしく………「ハァ~………」という溜め息が頻繁にスピーカーから漏れて来る。
そして事件?は俺が乗って10分も経たない内に起きた。
依然として前を走っていた養護学校バスが再び停車し、親と共に待っていた生徒を収容し始めた。
こちらのバスは最初後ろで待っていたのだが………暫くして舵を右に取り、前のバスを抜かそうと発進した。が、それと同時に養護学校バスも生徒の収容を終え発進を始めた。
そのまま養護学校バスは右の車線に入り、俺の乗った市バスは当然の如く左車線に戻った。
それはごく普通の光景………に俺は見えた。
しかし次の瞬間、頭上のスピーカーから信じられない言葉が………
「………っとぉしぃ!!」
吐き捨てるように発せられたその言葉はまさしく『鬱陶しい』である。
悪びれた思春期の子供が良く使うヤツと全く同じイントネーションの………アレだ。
様々な状況を加味してみても最も当てはまる言葉でもあるし………。
車内は一瞬、氷の空気に包まれた。
おそらく『それ』に気付いたのは俺だけでは無かったのだろう。
運転手もさすがにマズイと思ったか……直後に取って付けた様な咳を数回放ったが、時すでに遅し。
オマエは、言った。
イカンだろ、それ。
「オイ、コラ………」
超満員の車内で低く静かに俺の声が………………………………………………………………………いや、俺の『心の』声が響き渡った。
今までバスを含め、公共交通機関と呼ばれる乗り物に乗った事はたくさん有る。
しかしこんな車内放送は初めてだ。
運転手に同情出来ん訳では無いが仮に………もし仮に思っていたにしても口に出してはいけないだろう。
名古屋市交通局に通報すれば、当然運転手はお咎めを受けるのだろうし、何よりマスコミが喜びそうな話題だ。
ほんの数分前まであんなに清々しかった朝が、台無しになってしまった。
案の定………では無いが、その一言は俺の1日を示唆するかのように、その日は全く良い事が無かった。
というより、稀に見る最悪な1日になってしまった。
新年早々、嫌な感じだねぇ………。
そのつぶやきが聴こえた瞬間、何とも不快なモヤが頭の中を覆った………。
先日、バスに乗った。
曲がりなりにも………俺的には一応、今年の仕事?初めでもあった。
身体はどこまで行っても不調ながらも…それなりに体調を整え、早起きしてシャワーを浴び隠れ家を出発したのだった。
厳冬の空気は澄んでおり、バス停を吹き抜ける風は冷たかったが透明だった。
爽快な朝だった……。
その爽快さが曇りがかって来たのは定刻を10分近く遅れて到着したバスに乗り込んでからであった。
なぁに………通勤通学時間帯のド真ん中、バスが遅れたり客が満員でごった返している事ぐらい想定範囲内。出来れば遭遇したくは無いが…心得ている。
しかし何より先ず気になったのは………………運転手。
1番冷静でなくてはならない肝心の運転手が明らかに苛立っているのだ。
それはバスの奥の奥………運転手の溜め息まで聞き取れる車内スピーカーの真下で立っていた俺には良く分かった。
車内は賑やかだった。
確かに満員だというのに車両前方、乗車口の真ん前に陣取り大声で喋りまくって動かない女子高生には俺も辟易したが………………それは日常のバスにおいて特別な事では無い。
そんな事は他の誰でも無い運転手が1番知っている事であろう。
『ならば何が………』
そんな事を考えながら、車内でも一際高い位置に立っている180cmは辺りを見回した。………………………………と程無く、フロントガラス越しに1台の青色のバスが目に入った。
確かにそのバスは俺の待っていた停留所でもこのバスの直前を走行していた。
そして………………………………………………………………………………………………車椅子の子供達を乗せていた。
そう、それは『養護学校』のスクールバスだったのだ。
俺の乗ったバスはどうやらこの早朝の混雑する片道2車線の道路で、偶然にも養護学校のスクールバスのスリップストリーム(要するに真後ろ)に潜り込んでしまったらしい………。
遵守すべき時間のある市バスさんには少々お気の毒な気がしないでも無いが、それはさすがに……誰の目にも仕方の無い事。
しかしそのスローな挙動にこちらの運転手は余程イライラしているらしく………「ハァ~………」という溜め息が頻繁にスピーカーから漏れて来る。
そして事件?は俺が乗って10分も経たない内に起きた。
依然として前を走っていた養護学校バスが再び停車し、親と共に待っていた生徒を収容し始めた。
こちらのバスは最初後ろで待っていたのだが………暫くして舵を右に取り、前のバスを抜かそうと発進した。が、それと同時に養護学校バスも生徒の収容を終え発進を始めた。
そのまま養護学校バスは右の車線に入り、俺の乗った市バスは当然の如く左車線に戻った。
それはごく普通の光景………に俺は見えた。
しかし次の瞬間、頭上のスピーカーから信じられない言葉が………
「………っとぉしぃ!!」
吐き捨てるように発せられたその言葉はまさしく『鬱陶しい』である。
悪びれた思春期の子供が良く使うヤツと全く同じイントネーションの………アレだ。
様々な状況を加味してみても最も当てはまる言葉でもあるし………。
車内は一瞬、氷の空気に包まれた。
おそらく『それ』に気付いたのは俺だけでは無かったのだろう。
運転手もさすがにマズイと思ったか……直後に取って付けた様な咳を数回放ったが、時すでに遅し。
オマエは、言った。
イカンだろ、それ。
「オイ、コラ………」
超満員の車内で低く静かに俺の声が………………………………………………………………………いや、俺の『心の』声が響き渡った。
今までバスを含め、公共交通機関と呼ばれる乗り物に乗った事はたくさん有る。
しかしこんな車内放送は初めてだ。
運転手に同情出来ん訳では無いが仮に………もし仮に思っていたにしても口に出してはいけないだろう。
名古屋市交通局に通報すれば、当然運転手はお咎めを受けるのだろうし、何よりマスコミが喜びそうな話題だ。
ほんの数分前まであんなに清々しかった朝が、台無しになってしまった。
案の定………では無いが、その一言は俺の1日を示唆するかのように、その日は全く良い事が無かった。
というより、稀に見る最悪な1日になってしまった。
新年早々、嫌な感じだねぇ………。