くまだから人外日記

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【偽書】虹メイル・アン 〔第八話〕藍深き深海より聖者は鐘を打つ 2

2018-01-14 10:02:33 | 【偽書】シリーズ
「いや、何も素潜りして貰うつもりは無いよ。確かに行き先は海底七千メートル先だが」
「どのような状況なのでしょうか?」
アンが全員を代表して難波刑事(さん)に問う。
「幾つかの国が連合して深海探索チームを組織しているのだが、その最新鋭の探索挺が帰還不能に陥っているんだ。悪い事に探索挺と海上の母船を繋ぐケーブルのうち、通信用ケーブルが切断してしまい、無線装置も故障ときている。なにせ海底七千メートル以上の場所だから、訓練を受けていない人間を簡単には送り込めないんだ」
「つまり私達メイルが救助の探索挺で向かうミッションになりますね」
「そうだが、救助を待つ探索挺が使用不可能な場合、救援側に乗員を移す必要があるかも知れない。従ってこちらから向かう人員は二名だけだ」
「操舵や指示で一名、作業に一名ではギリギリですね」
「浮上不可能な探索挺には三人が搭乗している。国籍は別々だが挺長を始めチームワークが取れていると聞く。頼めるかい?翔太郎君。みんな」
「ノーとは言えないでしょう」
アンは僕が頷くのを見て答える。

「で、誰が行く訳?」
リンダが尋ねた。
「海上で指揮を執るのはアン。操舵はセイラ、作業にはメルティと言いたい所だけれど、万が一の場合乗員の怪我などへの対処や動力源の供給にも適したサニーが適任でしょう」
カレンがそう指名した。
「カレンの案が最適でしょうね。では至急現場へ向かいましょう」
「近くのヘリポートに輸送ヘリを呼ぶのでそこへ向かおう」
難波刑事(さん)の指示で僕ら等は迎えの車へ急ぐ。
「今回は複数の国が絡んでいるんで僕はその母船へは立ち入れないんだ。現地では国の役人が居る。超党派の省庁で組織した探索班のリーダーは僕の大学で同期だった男がいる。個別に頼んでおくので、彼を頼るといい。名前は正宗誠志朗だ。少しばかり役人らしからぬ男だが仕事は出来る」
「へえ。なら難波刑事(さん)とは正反対なんだね」
復帰即早速ルナが難波刑事(さん)をからかう様に言う。
「何だか懐かしいな。ルナにそう言われるのも久しぶりだな」
「ルナが居ないと物足りないんでしょ。仕方がないな〜」
「やれやれ。出戻った途端これだよ。この迷子の黄色いポンコツは」
「ルナ、ポンコツじゃいもん。迷子でも無いし」
「十分迷子だろ。他国にまで行って」
メルティは呆れた様に言う。
「自分から行った訳じゃないもん」






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筆者敬白

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