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「引き算」 心と器 7

2008年07月23日 | 前ブログ 心と器シリーズ

7回目の今回は少し突っ込んだ内容で・・・

 

前回記事 「ベイブ」心と器 6


さて、基本的な思いや傾向は伝わったかと思いますが、今回は具体的に・・。


最も多い2パターンの思考傾向として、


例えば、(例1)


貴方が実力以上の評価をされ、もしくは上のポストに急に空きが出来、急遽重要ポストに内示が出ました。

貴方は「そんな器じゃないので」と、人事部長に一応断りを入れましたが、

「他に居ないからどうしてもやってくれ!」と結局配置されたとします。

 

それはそれは実際にやってみると、傍目から見ていたのとは大違いでした。

自分が動かす「額」の大きさ、その影響、責任の重さ、仕事量、気を使う量と質、

傍目からは全く分からなかった、知らなかった事ばかりでした。


そのうち、プレッシャーに押し潰されそうになり、指示の失敗、配慮の欠如による部下との確執など、
今まで一緒に仕事してきた仲間が部下になった事での妬みにも似た陰湿な態度。

さらに上司からは「なんだ、その程度だったのか」とも取れる冷たい視線。

出来ないレッテルを貼られたような孤独感を覚え、徐々に孤立してきました。


さて、

普通の人ならどうするでしょうか?(普通という定義が一番難しいのだが)

「一旦、引き受けたからには今更逃げる訳にはいかない」と、自分に足りない所を素直に見つめ直し、

上司やそういう立場に居る他の友人とかの話を積極的に聞いたり、「生き方本」や「自己啓発本」を読みあさるなりして、

徐々に「人として」「上司として」のスキルを身につけようとする筈です。



しかし、その「共通点」を持った方々の考えは、

1・「だから私は『出来ない』と言ったのに・・・」と、失敗があろうと上司の質を問われようと

「だから? 私はやりたくなかったのにやらされている」と開き直ります。

もしくは、
2・「出来ないのは自分が至らないからだ」と、考えます。

もの凄く考えます。 そして、自分を責めます。

「自分が至らない事」に対してはすごく責任を感じますが、

そこから先、「じゃあどうする?」という時に「人の力」を借りるとか頼る事をしません。


1も2も感情こそ違いますが、そこから先が同じなのです。

足りないのだから、自分一人ではどうにも出来ないのに
そういう先輩や上司の話を聞き(というか、ヒントは上司でなくてもどこにでもあるんだけど)
自分に置き換えて考えてみるという「他人の力やアドバイス」を仰ごうとしないのです。

自分中心、自分が全て(自分が一番)と普段から思っている傾向が強いからこうなるんですね。

参考過去記事「想像力」

そして、結局スキルアップ出来ないまま日々の激務に潰されながら、又、自分の不甲斐なさを痛感し「自分の精神」を壊していくのです。
壊れていく過程さえも気付かない人が多いのも特徴です。

「自分の想い」だけに固執しているから・・・。


 

次に、自らが過酷な状況をどんどん作ってしまう場合。

(引くを知らない「足し算傾向人」と私は勝手に呼んでます)

(例2) 

パート女子社員が、昨今の不景気で、就業時間を減らされ月給が少し下がったとします。

安いアパートを借りて、多少の借金もあり、毎月ギリギリの生活をしていましたが、食う事には困っていると言う状況ではありません。タバコも吸います、ビールもたまに飲みます。
幸い徒歩での通勤距離なので、車は所有していません。移動手段に自転車を持っているだけです。

時間削減を言い渡され、パート社員は怒ります。
「私はキチンとやっているし、生活も一杯なのにあんまりだ!」と。
かといって転職する勇気も特別なスキルも資格もありません。

転職も一旦は考えるかもしれません。
しかし、いくら時給が良くても時間を長く働けても、自転車の通勤となれば距離が限られてきます。
結果、いい条件のところもなさそうです。


この場合も普通ならどうします?

「仕方ない、もっと節約すればなんとかなるだろう」
「最悪タバコも辞めりゃいいし、もっと削る事を考えよう」
「働ける場所があるだけマシだ」と、そこに勤め続けるでしょう。引き算』


しかし、その「共通点」の方々は、

「○○万円ないと今の生活が送れない!」と、削られた給料をなにかで補おうとします。足し算』

必ずといって、そういう方々は、

減ったら減ったなりの生活に自分が変わろうとせず、自分を変えないまま、外側を変えようとします

で、自転車で通える夕方からのバイト先を探します。

そして、パート社員とバイトを掛け持ちして、以前より少し収入が多くなりました(ここまでならまだいいです)


しかし、元々身体がそう強くない彼女は、体調を崩し始めます。

この時点で普通なら気付く筈です、「身の丈にあった生活パターンにしなければならない」と。
(この場合、身体がそう強くないのだから、掛け持ちして無理をするより、自分の生活を見直し、もっと節約してパートだけで頑張ってみる、と)


しかし、そういう「共通点」を持った方々は、足し算』にこだわるのです。

夕方からのバイトを休んでしまったら、少し増えた収入が減ってしまう、そうなったら大変だ!
「夕方から自転車で行くのがキツイから、そうだ、安い軽自動車でも買おう!」と、
普通の人が聞いたらひっくり返るような論点のすり替えを本気で考え、実際にやってしまうのです。

決まった以上の「収入」にだけ固執しているから・・・。

いくら軽自動車でも、車を所有するという事は、保険は必要です、税金もかかります、ガソリン代もかかります、故障すれば修理費用も発生します、それは当然支出増になるのに・・。

やってしまうのです(笑) 人の意見は耳に届きません。


アンテナがずれているから・・・。 「アンテナ」 心と器 5


結局、収入自体は増えたが、支出も増え、食費等自由に使える金額は変わらず、車移動出来るメリットこそあるものの、掛け持ちして体力的にきつくなっただけです。

そして、パートも休みがちになり、さらに評価は下がり、収入も以前よりももっと減ってしまう事態まで起きてしまうのです。


自らが辛くなる事を、冷静になれば誰でも想像出来る事を、人の忠告を全く耳に入れず、

自らがどんどん増やしてしまうのです足し算』



この例の「固執先」は収入でしたが、何でも同じです。

例えば、「今の仕事が好きだから」とか、
(いくら体力的にキツクても辞めない、諦めない)

いくら好きでも、健康第一です。続かない事を無理に続けようとすると必ずしっぺ返しにあいます。
優先順位は続けれる仕事であって、好きな気持ちではない、だからその仕事がいくら好きでもその仕事を『引き算』しないとダメです。

「今の地位(ポスト)を絶対に維持しなければならない」とか、
(降格とか部署替を受け入れられない)

降格や移動が嫌な気持ちは分かります、誰だって同じです。
でも、器が足りてない事に無理にしがみ付いても、支障をきたすだけです。
ポストを降りるという『引き算』をしなければいけません。

この様に、自分の現状に則していない事に「固執」するという意味では、「固執先」が何でも一緒です。



例えば、不倫して離婚して再婚して・・・って方、

それらを経験しなくてはいけないって事は、少なくとも経験しないでおくよりも、

確実にノルマ(自身に対する器の大きさ・経験値・処理能力)は、より多く必要になる訳です。

その能力のない人間性の状態のクセに、「今ある幸せ」に気付けないクセに、

次の「幸せ」を『足し算』しようとするから支障が生じるんです。


昨日も一昨日もそういう意味の事を書きました。
昨日記事「利用」


何事も、コトを増やすというのは、それだけ同等以上のリスクが生じるんです。

リスクが増えるって事は、それだけ必要能力も増やさないと対処できないって事なんですよ。


それが根本的にわかっていないのが最も共通する傾向です。



「固執」するって事は『引き算』を知らないって事です。

 

しかし、

「足るを知る」一番の方法は『引き算』です。


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