oregonian way of life. 

オレゴンでの学生生活から南下して社会人生活へ。IT産業でホットなサンフランシスコ・ベイエリアで地味~に文系の仕事してます

大量消費社会

2005-10-22 | 消費文化
タイがアメリカ産牛肉輸入再開に踏み切ったので、アメリカ政府は日本にもそうしろよ(follow suit)と言っているとか。アメリカ産牛肉は安全だから食え!っと。

肉で思い出すのが、アメリカの社会主義者Upton Sinclair が1906年に発表した小説『ジャングル』。シカゴの食肉処理場の労働状況がいかにひどいかを描いたものらしいです(自分は読んでません)。Sinclairがこの小説を書いた目的は、劣悪な労働状況や資本主義の不条理さを告発することでした。が、消費者は自分たちが食べる肉の品質ばかりに注目し、結局、同年「食肉検査法」を制定する後押しをしたかたちになりました。確かに、機械の穴に落ちた労働者が砕かれてソーセージに混じり、そのソーセージがそのまま市場に出ていった、なんてきけば消費者はおののきます。Sinclairが言った 

"I aimed at the public's heart, and by accident I hit it in the stomach"

というのはよく引用されます。うまく訳せないけど、労働者への同情を誘おうとした、つまり、世間の目を肉の生産状況へ向かせようとしたけど、思いもかけず、低品質の肉を食べることによる健康への影響のほうを心配させた、ということでしょうか。

この反応は、アメリカがいわゆる「生産者社会」から「大量消費社会」へと移行したことの象徴だともいわれています。消費者への安全さえ確保されれば、生産過程などどうでもいいのです。現在のアメリカ産牛肉への反応をみていれば、つくづく日本も含めて大量消費社会だと実感します。

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