oregonian way of life. 

オレゴンでの学生生活から南下して社会人生活へ。IT産業でホットなサンフランシスコ・ベイエリアで地味~に文系の仕事してます

ガラスがもたらした「欲望の民主化」

2005-12-07 | 消費文化
ガラスが上の方にいくにつれて勝ち組度がアップする、という趣旨のことを先日書きました。それでは、
下にあるガラスの役割は?

デパートのショーウインドーに飾られている服などはおそらく、消費者の注目を引くためにイチオシのモノを飾っているのでしょう。どのようなモノを飾るにしろ、ショーウインドーに飾られているモノは何となく良く見えるものです。その中に入っているということは「選ばれた」わけだし、ガラスは光が当たると反射して中に飾っている商品がきれいに見えます。ショーウィンドーに限らず、デパチカなどでケーキやチョコレートなどがガラスケースに入っていると実際以上においしそうに見えるというか・・・。少なくとも、コンビニの棚に積まれているお菓子とは「格」が違って見えます。実際に違うのでしょうが。

皆様、クリスマス・ショッピングをお楽しみですか?街で(ウィンドー)ショッピングをしていると、ショーウィンドーやガラスケースは当たり前のように目にしますね。それでは、ショーウィンドーやガラスケースは、消費文化の形成にどのような影響を与えているのでしょうか?

ある学者は、「欲望の民主化」を促進したと主張しています。どういうことか?19世紀後半に欧米でショーウインドー付きのデパートが誕生する前は、商品は全て店の中に積まれていました。つまり、実際に店の中に入って店員に頼まないと品物自体を見れなかったわけです。特に裕福層御用達のお店はそれなりの身分の人しか入れず、高級製品というのはそれ相当の身分の人しか見れませんでした。それが、ショーウィンドーやガラスケースが出現してどう変わったか?貧乏人も見分不相応な製品を目にする機会ができたわけです。特に世転換期のアメリカは、多くの貧困層を含んだ移民ラッシュの時代。ニューヨークをはじめとする多くの大都市に移民が流れ込み、スラム街を形成していました。そんな貧乏移民でさえもデパートの前を歩きさえすれば、ショーウィンドーに飾られた高級服を目にすることができたわけです。当然のように、「(自分が着ているボロ服ではなく)ああいう服が欲しい」と思います。貧乏人を含む全ての人間が高級製品を目にし、その製品に対する欲望をかき立てられる機会を与えられるようになった・・・。ガラスがもたらした「欲望の民主化」です。

その製品に触ってみたいけれど、(そのガラスを壊さない限り)触れない、触れることができない・・・。もちろん、そんな製品を買うお金もない。「愛は障害があるほど燃える」といいますが、この場合も同じ。ガラスという障害物が邪魔してその製品に手が届かない・・・、「ああ、もどかしい、、、欲しいのに!」っとその製品に対して益々欲望が湧く仕掛けになっているわけです。「自分も一生懸命働けば、いつかあんなモノがいっぱい買える日が来る」っと、実際多くの移民が思ったようです。ガラスがなかったら俗にいう「アメリカン・ドリーム」という概念も生まれなかったかも!?

何はともあれ、今度街へショッピングに出かけ、ショーウィンドーに飾られている服や高級宝石店でガラスケースに入った宝石などに欲望をかき立てられたときは、あなたはまさに「欲望の民主化」状態にあるのです。


(きゃー!これいい!高~い!でも欲しい!!)

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