こんにちは!公認会計士の青山です

パブリックセクターを中心に会計その他のお手伝いをしています。徒然なるままに仕事やプライベートについて紹介します。

少しあたたかい話

2015-02-08 | 日記

ここ数年、自治体の仕事で青森県や秋田県によく行きます。

以下は、12月初旬に1人で弘前の小料理屋に入った時の話。 

のれんをくぐって店に入ると、

「すいません。10時までなので。」と店のご主人。時計を見ると、すでに9時30分を過ぎていました。、

翌日の仕事のために夕方に東京を出て、現地のホテルに到着後すぐに荷物を置いて出てもこんな時間になってしまうのですね。

「生ビール一杯とつまみ程度で良いのですけど。」と返すと、

「なら、どうぞ。」とご主人

まだ雪は積もっていませんが、かなり寒い日だったので店に入れたことにまずはほっとし、改めて店の中を確認。私が座ったカウンターと2、3席あるセーブルには他の客はいません。ただし、奥のふすまの先からは話し声が聞こえているので、座敷には何人かいるようです。

私は、カウンターに座り注文を済ませ、「これで、約30分はゆっくりできる。」と思いながら、自分のタブレットを見始めました。

その内、10時近くになり、奥の客も帰ったので、

「そろそろ、お会計お願いします。」と頼むと、

「もう少しゆっくりしていてもいいですよ。」とご主人、続けて、

「お客さんはどちらから、」という質問に、

「東京からです。三鷹というところです。」と答えると、

「私も、以前東京に住んでいたのですよ。中央線沿線なので三鷹も知っています。」とご主人。

聞くところによると、若いころは東京の料理屋で修業をしていたそうです。その内、店も任されるようになり、最後は平河町の料理屋で店長をしていたそうです。土地柄、土日の客は少ないけれど平日は結構賑わっていたらしい。しかし、徐々に店長の職がプレッシャーとなっていったようです。

「店長の仕事が重荷になってね、ついに通勤できなくなってしまったのですよ。」とご主人。

「大変だったのですね。」と私。

「当時はね。結局、店を辞めて弘前に戻ってきました。」

その話を聞いて、改めて店の様子を確認。奥様と(たぶん)娘さんで店を切り盛りしている様子。私がこの店を知ったのも宿泊するビジネスホテルに勧められたからなので、それなりに評判なのだろうと思いつつ、

「でも、弘前にこんな素敵な店を開けて良かったではないですか。」

「戻った後もいろいろあったけど、今は良かったですかね。」

その後もいろいろと話は弾み、あっという間に11時近くになってしまった。結局、

「いろいろな話ありがとうございました。また、来ます。」と告げて店を出てきたのは11時過ぎ。

弘前の冬は寒いけれど、少しあったかい気持ちになった夜でした。そして、いつかまたこの店に来たいと思ったひと時でした。きっとご主人は覚えていないと思うけれど、それはそれで良いですね。


独立行政法人会計基準の改訂

2015-02-07 | 公会計

 平成27年1月27日に独立行政法人の会計基準(※1)が改定されました。主な改定内容は、1)セグメント情報の充実と2)運営費交付金の会計処理です。特に、運営費交付金の会計処理は独立行政法人会計の根幹部分ですので、今回の改定は各独立行政法人に大きな影響を与えることが予想されます。

 運営費交付金の会計処理の内容については改めて記載し、今回は改定の意味について説明します。独立行政法人の財務諸表は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書、利益処分(損失処理)に関する書類、行政サービス実施コスト計算書及びこれらの附属明細書から構成されています。その内、損益計算書と行政サービス実施コスト計算書は、ともにコストを扱う財務諸表として類似していますが、最も大きな違いは運営費交付金の扱いにあります。損益計算書では運営費交付金を収益として扱い、一方、行政サービス実施コスト計算書は運営費交付金を考慮しません。運営費交付金は独立行政法人にとっては収入でも国にとっては同額の支出なので、法人の業務運営に関して国民が負担するコストを示す行政サービス実施コスト計算書では、差引ゼロの運営費交付金を考慮しないのは当然です。

 つまり、今回の改定で運営費交付金の会計処理を見直したことは、損益計算書の内容を見直したことに他なりません。今まで、独立行政法人における損益計算書はあまり役に立たないと言われてきたことも事実です。特に、当期総利益の意味については議論の余地がありました。今回の改定は、このような損益計算書について法人を評価する上で役に立つものにしていこうとする強い意図があるものと思われます。  

 また、管理会計的にも意味を持ちます。今後、改定後の損益計算書を活用し、各独立行政法人は自立的マネジメントの実現を図ることが求められるでしょう。

 (※1)「独立行政法人会計基準」及び「独立行政法人会計基準注解」