お話

日々思いついた「お話」を思いついたまま書く

幽霊屋敷の管理人

2021年04月21日 | 怪談
「ここが有名な幽霊屋敷ですか、管理人さん?」
「ええ、そうですよ」
「昨晩泊まったのですが、何も出ませんでしたよ」
「宿泊料を入り口に置きましたか?」
「いいえ、置いていませんけど……」
「じゃあ、出てきませんよ。宿泊料に応じて出て来るんですから」


「ここが有名な幽霊屋敷ですか、管理人さん?」
「ええ、そうですよ」
「昨晩泊まったのですが、何も出ませんでしたよ」
「宿泊料は入り口に置きましたか?」
「はい、たっぷりと、相場の三倍ほどを置きましたよ」
「じゃあ、あなたは思い切り幽霊に嫌われているんですねぇ……」


「ここが有名な幽霊屋敷ですか、管理人さん?」
「ええ、そうですよ」
「じゃあ、早速入ってみたいんですが……」
「それは出来ません」
「どうしてですか? 幽霊屋敷なのでしょう?」
「そうなのですが、屋敷自体が幽霊なのですよ。ですから、入ることが出来ないんです」


「ここが有名な幽霊屋敷ですか、管理人さん?」
「ええ、そうですよ」
「じゃあ、早速入ってみたいんですが……」
「それは出来ません」
「どうしてですか? 若い女性の霊が出るんでしょう?」
「そうなのですが、まだお化粧が終わっていなくって……」


「ここが有名な幽霊屋敷ですか、管理人さん?」
「ええ、そうですよ」
「ベッドの上の幽霊だと聞きましたが?」
「そうですね」
「何でも、夜な夜な、大きな悲鳴を上げるとか?」
「実は、眠っている幽霊なのですが、怖い夢を見て悲鳴を上げながら飛び起きるんです」


「ここが有名な幽霊屋敷ですか、管理人さん?」
「ええ、そうですよ」
「屋敷中をうろつきまわる幽霊だと聞きましたが?」
「そうですね」
「何でも、夜な夜な、大きな悲鳴を上げるとか?」
「実は、探し物をしている幽霊なのですが、何を探していたのかを忘れて悲鳴を上げているんです」

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