社会不安障害:SAD、ボランティアとセカンドライフ

SADで会社を休職したが、一年で復帰し、無事定年を務めて、その後の生活とボランティアについて気ままに掲載中

松岡圭祐の世界その20『千里眼の水晶体』

2008-07-26 13:25:40 | 趣味(読書)

松岡圭祐の世界その19『千里眼 ファントム・クォーター』の続き、つまり、新シリーズ第三弾です。 <カバー裏のストリー紹介> 戦後長らく忘れたれていた旧日本軍の生物化学兵器。高温でなければ活性化しないはずのウィルスが、折からの気候温暖化によりより暴れだした!羅患から死に到るまでわずか数十時間。 感染した親友の命を救うために、岬美由紀は唯一の手がかりを求めてハワイ・オワフ島へ飛ぶ。 ワクチンを手に入れることはできるのか?第2作を超える巧緻なプロットと人間ドラマ。進化し続ける新シリーズ一挙3冊刊行、書き下ろし第3弾!

千里眼水晶体A.jpg<解説:中辻 理夫氏の本作での抜粋> 生物化学兵器に関わる事件が主軸に置かれた。日本臨床心理士会の事務室に一人の男がやって来る。羽田空港に勤務している国土交通省職員・米本だった。山形県庄内発羽田着の機内で乗客・篠山里佳子がトラブルを起こしているという。フライト中から洗面所に閉じこもり、際限なく顔を洗い続けているのだ。しかも、東京の空気は汚れているので外へ出たくないと主張していた。問題解決のため、美由紀は空港へ直行する。 里佳子は極度の不潔恐怖症だった。美由紀の適切な説得が功を奏し、里佳子はホテルへ宿泊することを同意する。そこへ山形県警の警部補が訪ねてくる。同県内で起きた山火事に放火の疑いが浮上し、それに里佳子が関与しているようだという。里佳子は断固否定するが、ほどなくして原因不明の昏睡状態に陥り、似た症状の者達が美由紀の周囲でも続出し始める。これも山火事と関係した突発事故なのか?美由紀は原因究明に乗り出す。

書 籍:『千里眼 水晶体』
発行年:2007年1月25日初版発行
発行所:株式会社角川書店
価 格:514円+税 縦一段組み272ページ+解説

概要は、上記で既にあらかた述べられているので、結末と本作の題名『水晶体」について考察しておく。

<概要まとめ> 夫篠山周平の東京支店転勤の為、下準備で東京に出てきた不潔恐怖症の篠山里佳子は、羽田で飛行機から出られなくなく。国土交通省の米山の依頼で出向いた岬美由紀は、同じ不潔恐怖症友人雪村藍を知っているだけに親身になって里佳子を飛行機から引きはなしホテルに泊まらせる事に成功する。しかし程なくして、山形県警の警部補が訪れ、山形で起きた山林火事の実行指示犯として、里佳子が浮上するが、夫周平の里佳子が犯人ではない事を証言する事がウソでない事を確信する。警部補を説得し、実行犯と言う男に会う事で、美由紀はその実行犯のウソ(放火したと言っているが実際はやっていない事)を見抜く。 真の山火事の実行犯は西之原夕子と言う女であり、女詐欺師として手配されている女であった。一方この事件を追っている間に、突然のウィルス性の患者が多数発生し、病院に担ぎ込まれる。その中に篠山里佳子と美由紀の友人雪村藍の存在があった。 旧日本軍が開発したウィルス(もともと亜熱帯でないと効果を発揮しない)兵器冠魔であったが、米軍もそれを当時は危険な物とはみなしていなかった為、防衛庁も気づかないまま、秋田の博物館にビンで展示されていた。温暖化による亜熱帯化で、この冠魔の資料を古物商の篠山周平は手に入れ、愛する妻の為に不潔恐怖症を直す為に使おうとした。 もちろんワクチンがすぐ発見される事を考えて実行したが、ズット異母兄弟で兄(篠山周平)を慕って生きてきた西之原夕子は、これが許せなかった。その為にワクチンの存在の可能性のある山を焼き払った。全てを知った岬は自己愛性人格障害の夕子も救おうと考えるが、里佳子や友人の雪村藍を救うことを優先する。結果、ワクチンの成分表を千里眼の能力で見つけ、患者を救うが、そのワクチンを盗んだ、夕子に「てめえ、わたしを助けなさいよ!わたし、人格障害ぢゃん、カウンセラーならわかるでしょう。里佳子なんかより先にわたしを助けてよ!」、「結局、わたしってそうなのね。誰にも助けられない。岬美由紀にも、わたしは見放された」と言ってビルの谷間に落ちてゆく。

<本作品に作者が付けた水晶体の意味づけ?> 上記で概要は大よそ理解できると思うが、夕子が「岬美由紀先生てすごい人じゃん。~~ほんとはそうでもなかったみたいね。なんにも気づいていなかったの?こんな気弱な兄の嘘にだまされたっての?千里眼が本心を見抜けないなんて、どうなってんの?いっぺん眼科に見てもらえば?角膜に異常がなければ、水晶体がおかしくなってるのかも」と言う。 これに対し美由紀は本心を見抜けなかったわけではないが、見抜いていたから真実に近づけなかった。 篠山周平の動機は純粋な妻への愛情による物であり、それを彼は悪意あるものを思っていない。罪の意識もない。だからわからなかった。 と言うくだりがあるが、これから題名が付いたのかなと個人的には思っています。

 


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