<気虚・気滞・血虚・瘀血・陰虚・痰湿>
☑血をつくる「鉄」
体内に存在する鉄の量は約3~4gと微量ですが、血液の成分として不可欠なミネラルです。
野菜や果物に多く含まれるビタミンCやクエン酸は変換作用を持ち、酵素の働きを補ってくれるため、
一緒に摂取することで鉄の吸収を促進することができる。
(レバー、バジル、青のり)
☑コラーゲンの形成に関与する「ビタミンC」
人は体内で合成することが出来ないため、食事から摂取する必要があります。
ビタミンCは体内でコラーゲンが形成されるときに必須となる成分です。
コラーゲンは皮膚や血管、骨など体の様々な組織の構造を支える繊維状のタンパク質です。
コラーゲンを構成するアミノ酸の一部を変化させる反応にビタミンCが不可欠です。
柔軟性のある血管、張りのある肌、丈夫な骨を保つためにビタミンCが必要です。
☑血管拡張作用を持つ「酢酸」
酢酸は唾液の分泌を促進し血圧や血流の改善作用、中性脂肪の代謝促進など様々な生理活性があります。
こうした作用から高血圧や」血の巡りが悪い方には酢の摂取が推奨されている。
米酢は精米からですが、黒酢は玄米を使用するためアミノ酸や有機酸が多く含まれています。
(玉ねぎなどの辛味野菜)
☑血行を促進させる「アリシン」
玉ねぎやニンニク、ニラなど食物を切る、潰す、加熱調理をすることによってアリインという物質が
分解されることで作られる。
血液が固まりやすくなるのを防ぎ、血栓がつくられないようにする効果があり、心筋梗塞や脳梗塞の予防に役立つ。
さらに、血行を促進する効果もあり、血液をサラサラ状態に保つ働きがあります。
アリシンはビタミンB1と結びつく作用を持ち、エネルギー代謝をスムーズにし、熱生産を高め、疲労回復を促すビタミンです。
☑血流改善・抗酸化作用を持つ「ビタミンE」
末梢の毛細血管の拡張を促し血行をよくする働きがあるため、冷え性や肩こりなどの緩和、
また高い抗酸化作用で血中のコレステロールが酸化されて、血管壁に留まることで生じる動脈硬化も予防することが出来ます。
ビタミンE単体よりもビタミンCが同時に存在していることがより効果的です。
(かぼちゃ、サツマイモなど冬に取れる根菜類)
☑体を温める「ジンゲロール」「ショウガオール」
生生姜は末梢の血管を拡張させ血流をよくする働きがあるため手足の先が冷える末端冷え性などの改善に効果的。
殺菌効果があり食中毒や風邪の予防におすすめです。
ジンゲロール(体の深部の熱を手先、足先に運ぶ)
→加熱・乾燥→
ショウガオール(体の深部の熱をつくり出して温める)
☑エネルギー代謝・体熱産生を促進する「カプサイシン」
体内にカプサイシンが入ると血液によって運ばれた中枢神経を刺激し、その刺激が副腎に伝わり
アドレナリンというホルモンが分泌されます。アドレナリンは体脂肪の分解を促進し、
エネルギー代謝を高めるため体熱産生の上昇から発汗を促し、結果効率よく脂肪を燃焼させることにつながります。
カプサイシンを大量に摂取すると胃腸が炎症を起こす場合があるため注意が必要です。
(唐辛子、キムチ、豆板醤、タバスコ)
☑やる気を起こす「ドーパミン」「ノルアドレナリン」
ドーパミンからアドレナリンがつくられます。
アミノ酸 → ビタミンB6、ナイアシン・鉄 → ドーパミン → ノルアドレナリン
(フェニルアラニン) (元気さ、快感) (やる気、判断力)
(フェニルアラニンはタンパク質を豊富に含む肉や魚、卵、大豆製品などに多く含まれ ています)
☑ストレスを緩和する「GABA」
脳に存在する抑制系の神経伝達物質として、ストレスを和らげ、興奮した神経を落ち着かせる働きをします。
また、血圧降下作用、肝機能改善作用、肥満防止作用などの機能を有します。
(トマト、ミカンなどの野菜や果物、発芽玄米、発酵食品などに多く含くまれている)
☑精神を安定させる「セロトニン」
幸福感を感じさせ精神を安定させる作用を持つ神経伝達物質です。
セロトニンの原料となるのが必須アミノ酸のトリプトファンで、多く含む肉、魚、大豆製品などの食物を摂取することで
セロトニンの生成を高めることが出来ます。
朝、太陽の光を浴びることやウォーキングやジョギングなどのように一定のリズムを繰り返す運動によっても体内で分泌が
高まります。
セロトニンは体内でメラトニンというホルモンに変わり眠気を促し睡眠の質を高める働きにもつながっています。
☑血液をサラサラにする「n—3系(オメガ3)脂肪酸」
DHA/EPAには脂肪分解酵素であるリパーゼを活性化する作用があります。
摂取することで、効率的に脂肪を燃やすことが出来ます。
リパーゼによって脂肪がグリセリンと脂肪酸に分解されるとともに、心臓や肝臓、骨格筋などを動かすための
エネルギーを生み出すことが出来ます。
EPAは血小板擬集抑制作用に優れており、血液の粘土を下げ、血液をサラサラにし固まりにくくします。
脳梗塞や心筋梗塞など血栓症の予防に効果的です。
(DHA/EPAはマグロ、カツオ、サンマ、アジ、サバ、イワシ、ブリなどの青魚)
青魚が苦手な人は、n⁻3系(オメガ3)脂肪酸であるα⁻リノレン酸の摂取がおすすめです。
(えごま油、亜麻仁油、くるみ、チアシードなど)
☑脂質吸収阻害・むくみを改善させる「アルギン酸」
水溶性食物繊維はコレステロール吸収阻害作用や、腸の機能改善作用が認められており、血中コレステロール値や
おなかの調子が気になる人に向けた特定保健用食品にも利用されている。
また、ナトリウムを吸収し体外に排泄する作用を持つため、むくみや高血圧の改善に期待されている。
(昆布・わかめなどの海藻、こんにゃく、オクラ、ゴボウなど)
☑利尿作用をもつ「カリウム」
強い利尿作用があり、腎臓でナトリウムの再吸収を抑制し、尿中への排泄を促進させ、余分なナトリウムや水分を
体外へ出す作用を持つ。そのため、血圧を下げ、むくみの解消につながるほか、尿とともに熱が放出されるため、
体を冷やすことにもつながります。
(胡瓜、トマト、茄子、西瓜、バナナなど夏が旬の野菜や果物に多い)
<その他の食養生>
☑麹(麹菌)
酵素の働きにより、素材を柔らかくした発酵食品の旨味や甘味を引き出したりします。
食材が柔らかくなることで体内の消化・吸収が効率よく行えるようになります。
さらに、麹菌は豊富なビタミンやミネラルなどの栄養素をつくり出すため、疲労回復や美容促進にも効果的です。
☑甘酒
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、葉酸、ブドウ糖、オリゴ糖、アルギニン、グルタミン、と云った
アミノ酸など含まれていることから「飲む点滴」と呼ばれ、」発酵食品であり、整腸作用を持つため、
便秘改善、美肌効果などが期待できる。
☑納豆
必須アミノ酸を豊富に含んだタンパク源です。納豆菌は胃酸に強く生きたまま腸に届くため、
腸内の善玉菌を増やす作用がある。
ナットウキナーゼと云う酵素には血液中の血栓を直接溶かす働きと血栓を溶かすために働く
ウロキナーゼと云う酵素を活性化させる働きがあり、脳梗塞や心筋梗塞の予防に役立ちます。
しかし、血液の凝固にかかわるビタミンKが多く含まれており血液をサラサラにする
ワーファリンの作用を妨害してしまい、これを服用の方は納豆の摂取を控えてください。
☑もち麦
大麦の一種で特徴は食物繊維の多さです。玄米の3倍含有しβ―グルカンと云う水溶性食物繊維を多く含んでいます。
Β―グルカンは血糖値や血中コレステロール、中性脂肪を低下させる働きがあり、腸内環境を整えるため、
肥満予防、便秘改善におすすめです。
☑小豆
タンパク質、食物繊維、ビタミンB1、ビタミンB2、カリウム、鉄、アントシアニンなどを豊富に含んでおり、
ポリフェノールの含有量は赤ワインを越えています。外皮に含まれるサポニンも抗酸化作用があるほか中性脂肪や
コレステロールを低下させる作用もあります。
こしあんより外皮が含まれる粒あんの方がおすすめですが、砂糖を添加するため取り過ぎには注意が必要です。
☑緑茶
紅茶、ウーロン茶などカテキンと云うポリフェノールを含んでいますが、最も多く含むのが緑茶です。
殺菌作用があるため、風邪の予防や風邪のひき始めの症状の緩和にも効果的です。
日本成人病予防協会「ホスピ」より