青春のエディンバラ

2011年07月20日 | Weblog
                (スコットランドの青い「国旗」がはためくパブ。客はみな、労働者たち。スコティシュ・ビアは、やっぱり、うまい)


▼スコットランドの古都、エディンバラで開かれているICGH(国際ガス・ハイドレート学会)に出席して、今日で3日目です。
 まだまだ学会は続くし、学会が終われば、再びフランス入りしてから帰国するので、今週の関西テレビの報道番組「スーパーニュース・アンカー」は参加(出演)できません。

 RKB毎日放送(福岡)のラジオは、エディンバラのホテルから電話で、いつものようにナマで参加します。
 スコットランドの時刻で、この深夜、日本時間だとあと5時間ほどあとの7月20日水曜の朝ですね。

 関テレ「アンカー」も来週の7月27日水曜は、いつものように参加(出演)します。
 25日には帰国して、福島原子力災害をも踏まえて開かれる、原子力委員会(内閣府)の原子力防護専門部会の会議や、総合資源エネルギー調査会(経産省)の核セキュリティをめぐるワーキンググループ会議などに出る予定ですから。
 これら会議では、いつもの通り、完全に自由な立場から発言します。


▼国際ガス・ハイドレート学会は、福島原子力災害もあって、世界のエネルギーの専門家から、まさしく注目が集まっている学会です。
 日本海のメタン・ハイドレートをめぐって韓国などに激しい動きがあることが、あらためて手に取るように分かって、衝撃的であると同時に、詰まりに詰まった日程を無理にでもこじ開けて、参加して良かったと考えています。

 それにしても中国からの参加者のなかに、マナーのあまり良くないひとが、少数ながらいるのは、中国と世界のために良くない。
 ふつう学者は、国際学会で人を押しのけるような行動を決してしないものだけど、観光地で怒濤のごとく買い物をしている中国のひとと同じく、諸国の学者を押しのけ、足を踏んで気づかずといったひとも少数いることに、やはり驚いてしまう。
 このブログを読むひとにも、中国のひとも少なくはないようだからこそ記しておきたい。
 学会であれ何であれ、国際社会はまったく違う文化や言語、大中小さまざまな国力の人々が交差する社会だから、誰もがご存じのように、マナーは絶対不可欠ですね。
 中国からの参加者も、話してみれば良き人がたいへん多いけど、バッドマナーで突進する人はとにかく目立ちます。
 簡潔に静かに、忠告をさしあげても、そういうひとに限って、聞く耳を持たずに、険しい顔で睨(にら)みつけるだけだったりもします。
 ぼくの言うことがフェアかアンフェアか、せめて一度ぐらいは耳を傾けてから、考えてほしいなと願います。


▼さて、今回の出張では「海外に出て、体調は大丈夫ですか」という書き込みやEメールを、思いがけず沢山いただいています。
 みなさん、ありがとう。
 大丈夫ですよ…というか、むしろ国内の時よりマシかも。

 癌の手術前の体力が充分に戻っていないのは、ちと辛いけど、いつものように時差はほとんど感じません。
 日本は今、7月20日の未明2時すぎ、スコットランドは19日の夕方6時すぎですから、かなりヘビーな時差があるし、エディンバラは緯度が高く(北緯56度)、日本で言えば北海道を突き抜けて、樺太の最北端よりも、さらに北です。
 だから7月でも寒い! 涼しいというより、間違いなく寒い。今年はなぜか、特に寒い。酷暑の日本から行くと、突然に冬に叩き込まれるに近い。

 そのために同道している独研(独立総合研究所)の青山千春博士(自然科学部長)と研究員の二人はいずれも風邪を引いて、四苦八苦しています。
 ぼくは、何も変化がない。
 昔から、世界のどこへ行っても、その気候がそのまま身体に馴染み、時差もほとんど影響しません。
 大腸癌をはじめ大病を立て続けに四つ、やったあと初の海外出張だから、苦しむかなぁと思っていたけど、環境の変化が影響しない体質そのものは何も変わらないことが分かって、ちょっとだけ良かったです。


▼ヨーロッパに来て、いちばん思うのは、日本でしきりに「福島原子力災害のためにヨーロッパをはじめ海外で日本不信が広まっている」と週刊誌、月刊誌、新聞、テレビで強調して報じられていることに、真実味がないことです。
 福島原子力災害の起きる前とまるで変わらず、お寿司をはじめ日本食はヨーロッパ人に大人気です。その食材の多くは、日本から輸入されたものです。

 だからといって福島原子力災害がきわめて深刻であることに変わりはありません。
 ただ、どうしてこうも日本のメディアは、祖国を貶めることに一生懸命なのか、元記者のひとりとして考えずにいられません。

 なでしこJAPANの凄絶な奇跡を、フランス人もイギリス人もドイツ人も、そして決勝で戦ったアメリカの人々でさえ、こころの底から応援してくれた雰囲気が、ヨーロッパに色濃く漂っていて、街角で、ふと涙が込みあげそうになります。


▼エディンバラは、不思議な街です。
 この街のカフェで、ハリー・ポッターの第1作が書かれたことで、すっかり有名になり、そして街並み全体が世界遺産にもなっているけど、そうしたことの前から、この古都の隠れファンは世界に多いと思います。

 ひとびとは、いつの季節にも穏やかで、街も地味といえば地味なのに、どこか青春の香りがする。

 まぁ、ぼくにとっては、かつて訪ねた地球上の印象深い街は、好きなところも好きになれなかったところも、20歳代で行ったところも50歳代で行ったところも、すべて区別なく、青春の街です。
 かつて住んだところも、どこも、そうだし。
 たとえば京都は、共同通信の記者時代に34歳ぐらいまで住んでいたけど、30歳をか~な~り~過ぎようが何しようが永遠に、青春の京都です。
 そして、独研(独立総合研究所)の本社は何度か移転していて、元の本社があったところはどこも、われらがみんなの青春の地です。竹芝から始まって、汐留、そして昨年まで本社があった新橋(いずれも東京都港区)。みんな、そう。
 なぜって、独研は日本という国家の青春のひとかけらのような会社でいたいから。

 これって、独研の社員ならみんな知っていること。秘書さんが「社長、いつまで青春ですか」と笑いながら、でも、ちゃんと分かってくれていること。
 しかし、今回のエディンバラはちょっと格別なのです。

 スコットランドは、ご承知のように大英帝国の一部だけど、独立を望む声も市民に強く、エディンバラは古都であるだけではなく、スコットランドの「首都」でもあります。
 屈せず、おのれの生き方を貫いて、それを内に秘めて穏やかでいる。
 うん、その気配が、すがすがしい。
 清(すが)しい空気が、物書きとしてのぼくを、もう一度、目覚めさせてくれる。
 その予感があるのです。





▽街並みは、こんな感じ。静かに個性を主張してる。







▽エディンバラ城。 ね?ハリポタですね。




▽疲れて、何気なく入ったカフェ。
 チョコレートケーキを頼んだら、なかに唐辛子のカケラが大量に入っていたので、びっくり。
 激辛のチョコケーキ! やっぱり寒いからかな。




▽ありふれた光景だけど、スコットランドは、これです。
 街角で演奏されるバグパイプ(さっきまで、マグパイプと間違って書いてアップしていました。ふひ)
 スカート(キルト)が音色と、いつもよく似合っている。


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