NOKIBA CAFE

雨が降ったら、雨宿り。
アニメやゲームの世界を、勝手気ままに、
歩きます。

夏の月 1/4

2009-03-03 13:24:40 | おはなしーSS-
夏の月  廊下を移動する乱暴な足音が、エフレム神父の滞在している部屋の前で止まる。 ドンドン、ドンドン! 「エフレム神父、まだですかぁ。僕たちで先に行きま・・・。」 ドアはすぐに開かれ、鋭い声が返ってくる。 「いったい、どこへ行くというのですか?キリト。就寝時刻は、もう過ぎていますよ。」 長崎での合宿2日目の夜。 隊の皆で近くの海へ行くことになったから、と水鏡はキリトに言った。言われた時間に外 . . . 本文を読む

夏の月 2/4

2009-03-03 13:24:26 | おはなしーSS-
「さ、行きましょうか、マリア。」 水鏡が当然のように歩き始め、つられてマリアも歩き出した。しばらく、ゆるい坂道が続く。昼間の熱を含んだ石畳の道が、温かい。 「あの、水鏡さん・・・。キリト、待ってなくてよかったんですか?」 「ああ、キリトですか。彼なら、もう、来ませんよ。」 「えっ?」 「来ないでしょう、多分。エフレム神父がそれを許すわけがないですから、ね。」 少し考えて、マリアが、たずねる。 「え . . . 本文を読む

夏の月 3/4

2009-03-03 13:24:12 | おはなしーSS-
ふたりで黙って歩くうちに、潮の香りが強くなった。丘からの涼しい風が、ふたりの背中を押す。 「波打ち際まで、あるけますか。」 月明かりに馴染んだマリアの目に、秀麗水鏡のやさしい笑顔が映る。 「あっ、はい。」 引いていく波が残したきれいな砂の模様のうえに、ボールがぽつんと残されている。 「あっ、水鏡さん、あれって、昼間の・・。」 「ああ、・・・・ボールだけ、置いていかれたようですね。」 だれも居ない浜 . . . 本文を読む

夏の月 4/4 

2009-03-03 13:23:55 | おはなしーSS-
どのくらいの時間がたったのだろう、目の前には広大な砂浜が広がり、波の音も遠くなっていた。さえぎるもののない空にかかる大きな月を指差しながら、突然、水鏡が言う。 「マリア、・・・話を聞いてくれたお礼といってはなんですが、あの月を、あなたにプレゼントしますよ。」 「あの、月を?」 「ええ、そうです。」 「あの空の、あのお月様ですか?」 マリアが楽しげに笑いながら、月と水鏡を交互に見る。 「そんなの無理 . . . 本文を読む